これまで個人技でヒットを飛ばしてきたYouTubeに放送局が参入するとどうなるのでしょう。
映像のプロが作った動画は映像の質やストック、編集スキルで個人事業者を遥かにしのぎます。
放送局がその気になればYouTubeのビジネスモデルがかわるかもしれません。
髪を切るときマスクが邪魔になりますよね。そこである美容師が開発したのが“貼る”マスク。耳にかけるひもはありません。美容院以外での意外な使い方も。
NHKの朝のニュース情報番組「おはよう日本」が制作した4分の動画。テーマは「貼るマスク」 のニュースです。
注目したいのは、ナレーションがないこと。映像とテロップだけを使って「貼るマスク」の紹介をするトレンドニュースです。
つくりは紙芝居
つくりを見ていきましょう。尺は40秒。スマホで見る視聴者に特化してチラ見で中身がわかる仕掛けに徹しています。音声ナレーションがないのは朝の時間帯などで特にみられる傾向ですが、画面だけで中身がわかること。
これは日本経済新聞社が力を入れている「ヤング日経」と同じ戦略ですね。
ヤング日経(@nikkei_young) • Instagram写真と動画
ノーナレーションは、放送局で動画編集をする立場に立っても好都合です。ナレーターに原稿を読ませた場合その分制作時間が長くなる上、スタジオリソースも必要です。内容チェックにも手間がかかります。
構成
全体構成を見てみましょう。カットは2秒~5秒。それを論理的に構成した上で説明テロップをつけて並べています。
- 顔マスク登場
- 商品の説明 2カット
- 商品A
- 商品B 2カット
- デメリット情報
- 具体例1
- 具体例2
- 開発者のメッセージ ※ここ重要 エビデンスだから
- 実績 ※ここ重要 エビデンスだから
- 気づき 取材者ならではの発見
- 開発者のメッセージ ※ここ重要 エビデンスだから
上記の構成を見てわかるように、構成はシンプルです。シンプルというより、マニュアル的。ファーストフードの調理法のようにもみえます。
ひな形の構成をあらかじめ作り置きしておけば、誰が編集しても一定のクオリティの商品ができる仕掛けです。
放送局には主たるコンテンツであるニュース番組があります。当然映像はこのニュース番組用に撮影され編集されています。したがってこの動画は二次利用作品です。
ニュース企画は数分程度の枠がありますが、いったんニュース動画を作っておけば、その中から投稿向けに使えるカットやシーンを探し出すのは超簡単です。
手間がかかるとしたら、動画にあわせたテロップ原稿にすること。簡潔で無駄のないテキストを書くのにはそれなりのスキルが必要なので、この部分だけば局側の担当がつくはずです。
エフェクトについてはAfter Effectsなどのスキルを持った人が担当しますが、おそらくこれはスタッフがつくります。
放送局の制作による動画はファクトチェックはしっかりしている上、ステマなどの心配も無用。速報性、信頼性が高いのでこの分野で商売していた投稿動画には影響が大きいと思います。
さらに、YouTubeの広告収入を放送局が本気になって取りに行くことになると、トレンドニュースだけでなく、ほかの動画にも影響があるかもしれません。
まとめ
オワコンと呼ばれ続けた放送業界。その気になって投稿動画に乗り込むのであれば放送業は通信業に看板を架け替えた方がいいようにも感じます。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 ノーナレ を書きます。