【選書】動画クリエイター必読「超クリエイティブ」

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フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

これからの映像クリエイターは「尺」「スクリーンのサイズ感」で専門領域が別れていくでしょう。映像クリエーターは自分がどの尺とサイズ感において強みがあるか自覚的である必要があります。

クリエィティブディレクターの三浦崇宏さんは「超クリエイティブ」の中で映像制作者の未来像についてこう語ります。

ポストコロナの時代、社会は激変するものと予想されます。しかし、変わらないのは本質的な価値です。本質的な価値とはコンテンツをつくる理由であり、社会的な背景です。

制作者として納得できる仕事を行うためには、本質的なものとは何か考えながら、実装つまり行動を起こして行かないと目指すべきゴールを見失うのです。

これから広告系の動画制作を目指す人もそうでない人も必読の本。クリエイティブを取り巻く状況を理解しておくと、いざというとき役立ちます。

超クリエイティブ

世界の複数性を踏まえた「多面的な思考力」を持たないと、多くの人の心に響くもの、あるいは社会にとって真に有益な価値は生み出せません。特にコピーライターは職業的にこの多視感を大切にします。

広告業界で様々な企画やイベントを企画・プロモーションしてきた著者が、クリエイティブな仕事を志す人たちに向けて著した本です。教科書並みに何回も読み返せるほど濃い内容です。

ともすれば派手な部分にスポットライトがあたりぎみのこの業界ですが、世界を変えたいという大きな志を持つ人にとってはチャレンジしがいのある世界がのこされています。

「誰に何を伝えるのか」という本質の部分の掘り下げ方に説得力があり、ビジネス書としても門外漢の心に響きます。

これからビジネスを始めたいというクリエイターがまず直面するのは、売れる企画書をつくることかと思います。しかし、クリエイティブも含めた企画をまとめるのは至難の業です。なぜならクリエイティブは組織と密着しているからです。

数あるビジネス系の自己啓発本と異なるのは、実際に広告宣伝の現場で行われているメソッドを使いながら思考プロセスが語られていることです。

例えば第五章では実際に広告企画の説明現場でも使われているプロセスが具体的に整理されています。

GOAL プロジェクトで達成すべき目標
 定量的 どこに何を作るなど 
 定性的 イメージを変えるなど
Vision 企業・ブランドのあるべき姿
Fact 武器になる企業・ブランドの事実
 理不尽や不合理など変化せざるを得ない問題。ブランドが抱える課題
Moment 注目すべき社会の変化
Insight 顧客の心情
 社会から浴びる視線
Catalyst for change 変化のきっかけとなる考え方
 これまでの何をどうしたいか。それはなぜか。
Rule この企画が成功する内外の条件
Action 実際の活動
Flow 実際の段取り
Image PRの予想
Contract 契約条件と見積もり

実践的で、企画を立てる際に押さえておかなければならない要素がわかります。この部分を精読し実践するだけでも、有料の講座を受講するほどの価値があると思います。

本質とはなにか

技術的な点もさることながら、この本の魅力は、実際に作業をプロデュースする現場の視点で語られていること。なかでも読者の興味を掴んで離さないのは本質論です。世の中や人の動きを読みながら的確なメッセージを伝え続けるために必要なのは本質であると著者は言います。

本質発見力とは、シンプルに言えば「これってこう言うことですよね?」と世の中での大きな意味に置き換えられる力です。望ましい変化の方向へと翻訳する力と言ってもいい。これをできるだけ解像度高く言語化(表現)するのがクリエイティブの肝です。

複数の視点への多面的考察は、同時に「みんな共通して持っている欲望」を発見する力にもつながります。世の中の集合的無意識への気づきです。

どんなストレスを抱え、どんな願望を持ち、どんなサービスを求めているか。見えないものに気付けるかどうかがクリエイティブの分かれ道なのではないでしょうか。

著者が推薦する必読本

本書では著者推薦本10冊が紹介されています。

「人間の大地」サン=テグジュペリ
「ツァラトゥストラはかく語りき」ニーチェ
「堕落論」坂口安吾
「永久平和のために」カント
「実存主義とは何か」カント
「新訳 ソシュール」フェルディナン・ド・ソシュール
「野生の思考」レヴィ=ストロース
「デザインのデザイン」原研也
「暇と退屈の倫理学」國分功一郎
「切りとれ、あの祈る手を—〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話」佐々木中

納得のいくものを作りたければ過去の名作を浴びるほど鑑賞することだといわれます。私もそれは正解だと思います。名作には多くの人の視線をくぐり抜け生き残った内容と知見が詰まっているからです。

まとめ

広告制作からムーブメントまで視野を広げ、仕掛けていくのが三浦さん流の仕事ぶりです。将来動画制作を仕事にしたいと思っているなら、いずれ必要になるのがプロの世界です。プロたちが何を考えどこに向かおうしているのか。参考になるヒントが詰まっています。

  • Anger 怒り 社会の理不尽や不合理に対して怒る 諦めない姿勢
  • Alliance 連帯 あらゆる場所にいる仲間たちと結託する
  • Accident事件 既存のルールや常識を飛び越えて事件を起こす




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。