動画撮影に立ちはだかる壁

こんにちは、フルタニです。放送局で番組づくりをしてました。

放送局を離れて個人で映像制作を始めると、改めて組織の力の強さを感じます。私の場合はドキュメンタリー系の動画ですが、取材・撮影が放送局の経験とは比較にならないほど断られることが多いのです。

一応、完成した動画は地域情報を発信するサイト経由で公開するのですが、それでも了解を取り付けるまでにはかなりの力を使います。放送局のネームブランドだけで取材できたようなイベントの取材ですら、事前の根回しが半端ありません。

今日は、地域のイベントなどを撮影して公開を目指す人向けに、アプローチの注意点を考えます。

動画撮影に立ちはだかる壁

同じ内容の取材でしたら、ペンと写真での取材ならば簡単に応じてくれるような内容でも、動画取材となると途端に相手の反応が変わってくるのには理由があります。

  • カメラという装置が威圧感を与える
  • 活字取材以上に人柄が世間にさらされる
  • メディアの信頼が測りがたい

テレビのニュースでよく目にするのが、記者会見などの会場に詰め掛けたテレビカメラの姿です。カメラや音声、照明など数人が取材クルーが一つのユニットを構成しています。そんな集団に囲まれて取材を受ける立場に立ってみると、相当なプレッシャーを感じると思います。

取材する側に立つと、活字媒体ならば取材はメモと記憶力がしっかりしていればなんとかなりますが、映像の撮影はカメラなしには成り立ちません。どうしてもゴツい機械が取材する側とされる側の間に入らざるを得ず、心理的な壁を作ってしまうのです。

次の壁は、晒される範囲の広さです。活字の取材であれば話の内容だけですみますが、撮影になると伝わる範囲が広がります。機嫌よく取材を受けているのか、それとも不機嫌なのか、同じ内容の取材でも人物像が丸裸になってしまうのです。

メディアの力もものを言います。全国的な知名度を誇るメディアの取材であれば伝わり方や影響もある程度予測がつきますが、知名度のないメディアからの取材だと、描かれ方も公開された後の反響も計算できません。

映像制作を始めるにあたり、可能な限り取材される側が抱くであろう不安を解決しておくことが必要です。

取材される側に慣れてもらう

今年の春、報道カメラマンとして知られる田沼武能さんの写真展「東京わが残像 1948-1964」が世田谷美術館で開かれました。インタビュー撮影をさせていただく機械に恵まれたので、撮影をする極意とは何かお聞きしました。田沼さんは「電信柱のように側に立つことです」と即座に答えていただけたのが印象に残りました。

自分が取材される立場に立つと、カメラを向けられたら多分カメラが気になってしまうはずです。迷ってしまったり、誇張してしまったりして自然に話などできないでしょう。

そうして撮影した映像には、どこか不自然な印象が付きまといます。この不自然さは最終的に見ている視聴者まで届いてしまいます。

電信柱のように立つということは、撮影する側の気配を消すこと。気配はあっても無害だと安心させること。業界用語でいうと、共犯関係になること。とにかく取材される側にカメラに慣れてもらうことに尽きるのです。

撮影をうまくやる秘訣とは

取材先で同業他社の批判を聞くことがあります。そのほとんどはコミュニケーションに関する苦情です。「突然やってきて撮影するだけ撮影して帰っていった」などは典型的。私も作る側にいたから切羽詰まった状態はわかりますが、準備不足は後々のトラブルに繋がります。

現場の下見やロケハンが有効

可能な限り事前に根回しを済ませ、できれば現場の下見やロケハンを行っておくのが回り道のように見えて実は近道です。

ロケハンなど事前の根回しにはメリットがあります。

  • 取材相手の距離が近くなる
  • カメラの可動域が広がる
  • 映像プランが広がる

撮影前に取材相手のヒアリングをしておくと、その人の習慣やものの考え方などを知ることができます。親しくなると事前に仕入れた情報以上に面白い話を聞けることがあります。交友関係などから話の奥行きを見つけ出したり、取材相手だけしか知らない世界に入る便宜をいただけるかもしれません。

現場によっては行動が規制されたりするケースがあります。明るさが足りずに照明が必要な場所もあります。ロケに使う車両についても駐車申請書を警察署に提出することで駐車ができる場合もあります。事前に根回しを行うことで、当日の貴重な撮影時間をロスすることなく撮影に専念できるのです。

撮影する側から見たメリットは、現場を見ることで撮影プランが広がることがあります。時間的な余裕があれば三脚をしっかり立て構図や照明に力を入れることもできます。その場その場で許可をとるような取材ではできない映像の奥行きが表現できます。

事前の準備ができなかった場合

事前の準備ができなかった場合は、撮影に入る前に取材される側にこちらの狙いを口頭ではっきり伝えるのも一つの解決策です。

この取材はいつどのメディアで公開するのか。その取材のためにこのシーンはどういう狙いで撮影しているのかを取材される相手に手短に伝えて理解してもらうことです。私の場合は、ロケ用に作った名刺を手渡し、手短に取材の趣旨を伝えたりします。

取材される側はカメラを目の前にして、何を聞かれるのか不安を感じています。その不安に答えるとともに、答えることによるメリットに気づいてもらえるよう情報を公開するのです。

撮影の仕方にしても、警戒されないような振る舞いを心がけたほうが得です。面と向かってマイクを差し出すのではなく、取材される側の傍に立ち、何かをやってもらいながらそのことに付いて聞き始めるなどの方法もあります。また、不必要だと思いながらも撮影を始め相手の気持ちをほぐすこともてです。つまりカメラへ向けられた警戒感の視線をそらすのです。

まとめ

活字による取材は、取材が終わった後から補強の取材を重ねて原稿を太らせることができますが、映像制作の場合は一度逃した撮影チャンスが再び手に入ることは稀です。ですから現場で取りきれるだけの絵を撮る。撮った絵で勝負するしかありません。

アプローチの仕方は様々ですが、撮るべきと感じたものは妥協せずに撮る。そのためには自分をさらけ出して理解してもらうこと。信念をもって誠実に相手に接することしか内容に思います。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。