映像制作者に刺さる!アニメ「映像研には手を出すな!」

映像制作者ならこれを見ろ!アニメ「映像研には手を出すな!」
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

担当したのは情報やドキュメンタリーの実写番組でした。アニメーション番組に携われなかったのがちょっと残念です。

映像制作を志す人の心に刺さるアニメーション番組をご案内したいと思います。

アニメはゼロからつくるもの

実写の番組では撮れたものがすべて。”撮れ高”がすべてを決めます。たとえると海で魚を追う漁師のようなもの。運河良ければ大漁に巡り合えますが、天気が悪いと海に出られません。若干言い訳できるところがあります。

ところが、アニメはすべて自力勝負。人物の動きも背景も、すべてゼロから作ります。映像は天から降って来ません。

自分で絵を描きストーリーをつくり、世界観を組み立てる・・・。百パーセント自分が動かないと進まない世界。映像の世界に身を置く者としてはやりがいのある仕事だと思います。

アニメ番組は絵が描ける人だけの仕事だと思う人がいますが、それは違います。

アニメ制作の知識や技術が全くなくても大丈夫。大切なのは「つくる熱意」と「売る能力」です。どちらが欠けてもうまくいきません。

映像制作に携わる者に「映像制作とは何か」を問いかける番組がスタートします。

伝えたい心は形になる

その思いを強くしたのが、2020年の冬アニメ 『映像研には手を出すな!』 原作は大童澄瞳さんの連載マンガです。

映像研には手を出すな!

原作のネーム。高校生キャラクターの枠を乗り越えて、制作に携わる者の心に刺さってきますよね。

だいたい、映像制作を始める人たちはイメージ先行。自分が描きたいものが描ければそれでいいという人が多いのです。

ところが、醒めたネームにあるように、映像制作とはビジネス。見てもらった代金を回収しないと成り立たないことをしっかり突いています。

アニメーション制作を夢見る高校1年生の浅草みどりは、同級生の金森さやかとともにアニメ研の上映会へ。すると、カリスマ読者モデルとして知られる水崎ツバメが声をかけてきた。水崎はなぜか黒ずくめの男たちに追われていた。浅草と金森は彼女を助け、男たちを撃退する。

そして2人は水崎が意外にもアニメーター志望であることを知る。浅草と水崎の即興での合作が始まり、意気投合した3人の前に「最強の世界」が広がっていく…。

女子高生三人組がアニメを制作する青春ストーリーです。

しかし、その中身はもっと芯の強い作品です。 モノづくりの方法論、クリエイター間の信頼関係、ビジネス論。

ものを作る過程で私たちが必ずぶつかる様々な試練と、その対処法を三人の主人公はうろたえながらも乗り越えていきます。

名監督が惚れた原作

「あなたがダメだと思うから、この作品はダメなんですよ。他人なんて関係ない」「監督なんすよ あんたは」

監督なんすよ、あなたは・・・駆け出しのころ、現場でうろたえる自分に年配のカメラマンが「監督!」と呼びかけたシーンを思い出しました。このシチュエーションで監督と呼ばれることは、明らかにダメ人間という意味です。

現場のことを取材しているから、このような厳しい表現ができると納得しました。

アニメーションシリーズの監督を務めるのは、国内外で高い評価を得る湯浅政明監督です。5年ぶりにテレビシリーズした背景には、原作の持つメッセージ性に強い興味を持ったのだろうと思います。

湯浅政明監督が惚れ込んだのがよくわかるのが、原作のこのカット。創作の逡巡する仲間に向かって、パワハラな檄を飛ばすのは三人の主人公の一人金森さやかです。

金森は、絵が描けません。アニメの知識もまるでなく、興味のあるのはお金のことばかり。しかし、このキャラクターが繰り出す発言の力が強いのです。

湯浅政明監督作品!女子高生3人がアニメ制作に挑戦 映像研には手を出すな!【1分動画】|予告動画 |NHK_PR|NHKオンライン

この作品の楽しみ方は、ネームの中身を評価するのではなく、ネームを読んで制作者としての自分が感じた心の変化を感じ取ることです。

「そう言われても現実的にムリ」という場面もあるでしょう。自分の中にわき上がる理屈を見つめ直すことに意味があると思います。

好きなものなら作り続けよう

下手な企画を出し、取材は何度も空振りし、ロケではカットを取り残し・・・惨憺たる目に何度も会いました。

それでも番組は途切れることなく放送にこぎ着けることができました。

放送された瞬間に苦労して作った番組は空の彼方に消えてゆきます。商品として手元に残らない商品が放送番組です。

そんな商品にこだわり続けることができたのも、完成した作品に喜んでくれる人がいたからです。

映像制作にもし行き詰まっている人は見てください。「映像研には手を出すな!」の中に壁を乗り越える自分の姿を見つけることができるかもしれません。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。