拾う、貰う、盗む。仁義なきネタ探し【企画の壺】

こんにちは、フルタニです。放送局で番組づくりをしていました。

映像制作の仕事は、大きく言ってふたつあります。一つは、創作系の映像制作。もう一つは情報系の映像制作です。

映像制作をめざす人の中には、放送局に入ったらクリエィティブな創作ができると勘違いする人がいます。でもそれは大きな勘違いです。

放送局が作るのは情報系の番組。クリエティブな番組はよそから買って放送するからです。

拾う、貰う、盗む。仁義なきネタ探し

ネタは天から降ってこない。番組づくりを初めて痛感したのはネタ探しが想像以上に難しいという事実でした。

ふだん何気なく見ている番組でも、全ては企画から始まります。

その企画を見つけてくるのは番組制作者の役割です。企画が採択されるためには基準をクリアしなくてはなりません。その基準とはこれまで見たことがない企画であること。

つまりゼロから一を産むようなものでなくてはならないのです。

ゼロから一を産むというのは、一を百にすることより数千倍、数万倍大変なことです。入試試験のような正解がある訳ではありません。自分で考えながら見たことがない番組を作らなくてはならないのです。

途方に暮れる新人制作者たちを前に、先輩制作者はこう言いました。

「番組屋は拾い屋で、貰い屋で、盗み屋のようなもの。変なプライドは早く捨てて足で稼ぎなさい」

何か得体の知れない仕事についてしまったという恐怖を感じたのを覚えています。

もちろん番組には様々なバリエーションがあり、理屈だけでも作れたりする番組もあります。

しかし、どの番組でも根っこにあるのは上からではなく、最底辺から見上げるような目線と行動力であることしかないことを学び続けることになりました。

「見たことがない話」とハードルをあげられたように感じていた企画のネタは実はすぐそばにありました。

すごい準備

すごい準備

番組制作者ならば誰もが一度は通る獣道があります。

その獣道とは人探しです。

人探しの体験をものすごくライトな筆致で伝えてくれる本があります。

ヒットを連発した日本テレビの名物プロデューサーが自らの体験を元に、番組づくりの肝を振り返った本です。

段取りの良し悪しが成否を決めるのがテレビ番組です。その仕組みを一般的な仕事にも広げようと書かれた自己啓発書です。

テレビ屋としての体験談も克明に書かれているので、就職を考える人たちにとってのガイドとしても価値がある内容になっています。

「見たい、が世界を変えていく。」

中でも印象に残ったのが、著者が体験した新人時代の記録でした。同じ放送局の仕事にもこんなに違いがあるのかと驚きました。

  • 新人研修はナンパ競争
  • 覚せい剤女子高生にインタビュー

日本テレビの社訓は「見たい、が世界を変えていく」なのだそうです。見たいが意味することは硬派から軟派まで幅広いようです。

新人に課せられた課題は、六本木で夜美人をナンパして局まで連れてくること。連れてきた女性の美しさで順位を決めるというミッションが実際に行われていたというのもびっくりですが、著者は一等になったのだそうです。

渋谷センター街に張り込んで覚せい剤を使う女子高生の肉声を録画するという経験談にもシビれました。

若干、調子よく誇張して書かれた部分も感じられましたが、放送を業とする以上避けて通れないのが人探し。取材交渉の経験は番組づくりの基本です。

タフな神経でないとやって行けない部分があることを理解してもらいたい本です。

上手くなるにはどうすればいいか。

事件や事故などのニュースを除き、情報系の番組はまず企画ありき。企画を出さないことには番組が作れない仕組みになっています。

その企画会議で必ず問われるのが「なぜ今なのか」「何が言いたいのか」という問いかけです。

情報番組と言っても千差万別。お知らせもあればニュース企画もあります。グルメ旅リポも情報ですし、ドキュメンタリーも情報番組の一種です。

情報番組に期待されるのは視聴者が知りたいことに答えること。

重視されるのはタイムリー性や、意味合いです。裏を返せば、知りたいという欲望にいち早く答えることができれば番組として成立するわけです。

ものを伝えるには一定のルールがあります。作文の授業などで習った人もいると思いますが、「5W1H」の要素です。

5W1Hは、一番重要なことを先頭にもってくるニュース記事を書くときの慣行です。「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素をまとめた、情報伝達のポイントのことです。

この要素の組み合わせ方には一定の法則があるので、基礎を会得することが最低限必要になります。

情報系の番組作りは「基礎を学んだら、現場の経験を多く積むこと」につきるのです。他人の作品づくりを経験できるのは現場しかありません。

つまり
1.ネタ探しに没頭した
2.人の作品を見てマネをした
3.ひたすら企画を書きまくった

この三つの課題をクリアーすることが上手くなるための方法なのです。

情報番組の宿命は、自分の力だけではどうにもならないことです。ブラックだと感じるならば別の仕事を探したほうがいいです。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。