
動画を撮り始めたけれど編集してみてもまとまらない。そんな悩みを抱えている人っていますよね。実は私もその一人です。
映像制作者とりわけ脚本家や監督、ディレクターにとって身に付けなければならないのが作品の根幹を支える物語の技術です。
物語とは人の心を動かす力のこと。ビジネスの分野でもプレゼンや広報における「ストーリーテリング」という観点から注目が集まっています。
でもどうしたら人を引き付ける物語が作れるのでしょう。
脚本家だけでなく、ドキュメンタリー作家、小説家、漫画家、ゲーム作家などが頼りにしている教科書があります。
日本語版の刊行から10年たった今でも売れ続けている物語づくりの教科書をご紹介します。
目次
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術

- ブレイク・スナイダーが著したハリウッド式脚本メソッドで、世界で最も読まれている脚本術のひとつ。わかりやすく、「使える」ことが最大の特徴。
「どんな物語にも決まった型がある。だから自分が描きたいものを描き始める前に型に当てはめてみると、仕上がりが見違えるほどよくなる」というのが本の特徴です。
そのために、著者は物語づくりに欠かせない黄金のルールといわれるテンプレートを用意しました。そのテンプレートとは「ブレイク・スナイダー・ビート・シート」といいます。
このテンプレートに沿って創作者はイメージを当てはめていくことで道に迷うことなく物語を最後まで書ききることができます。
多くの観客の心を動かした多くの名作映画や小説の構成を分析すると、「黄金のルール」がどの作品にも当てはまることがわかります。
- 序文
- イントロダクション
- 1章 どんな映画なの?
- ログライン
- 2章 同じものだけど、ちがった奴をくれ!
- 3章 ストーリーの主人公は…
- 4章 さあ、分解だ!
- 5章 完璧なボードを作る
- 6章 脚本を動かす黄金のルール
- 7章 この映画のどこがまずいのか?
- 8章 最後のフェード・イン
- 用語解説
- 訳者あとがき
魅力的な主人公
とりわけ役に立つと感じたのは観客の心をつかむための提案です。たとえばストーリーの主人公について。本書では魅力的な主人公には次のような要件を満たしている必要があるといいます。
- 共感できる人物
- 学ぶことのある人物
- 応援したくなる人物
- 最後に勝つ価値のある人物
- 原始的でシンプルな動機があり、その動機に納得がいく人物
最大の葛藤をし、感情面での変化が最も大きく、さらに誰もが応援したくなる動機を持っている人物こそが完璧な主人公というのです。
最近ヒットした作品で言うと、「鬼滅の刃」の竈門炭治郎がスッと頭に浮かびました。
主人公の変化の軌跡を「キャラクター・アーク」というのだそうですが、物語の構成術とキャラクターの設定術を身に付ければ動画制作も迷わずに進めて行けそうです。
デメリットもあります
本書を読んで感じたのは、作品の秘密を徹底分析したことによって、観客の視点で作品がの鑑賞ができなくなるデメリットです。
最近のハリウッド作品は、ほとんどがテンプレートにのっとってつくせれていることから、先が読めてしまうのです。あっと驚く展開でも、先が読めてしまうのは残念な気がしますが、プロを目指すのであれば仕方がないのでしょう。
まとめ
映像をつくる人にとって、世界で最も読まれており、最も「使える」物語創作術の本です。
そのエッセンスを身に着けて映像を作ると世界が広がるように思います。