
音声さんに話を聞く機会があったので、投稿動画全体に見られる気になる傾向を聞きました。
動画投稿の世界は、最近はプロの参戦も目立つなど、量だけでなく品質も格段に向上しています。編集代行といった分業も進んでいて、映像技術の向上もめざましいものがあります。
気になるのは音声だといいます。映像内容は素晴らしいのに音が足を引っ張っているケースが多いというのです。具体的に言うと、
- 雑音が入っている
- 無駄な効果音を使いすぎる
- 音のバランスが悪い
- 声が小さい
この4点に気を配ればもっと内容は良くなるといわれました。少し気を付けるだけで改善の余地はあるので、そのコツをご紹介します。
雑音が入っている
雑音とは、録りたい音といらない音に分けてみると改善策が見えてきます。録りたい音の背景にはなにかしら不要な音が鳴っています。その差が大きければ全体のレベルを下げることで不要な音。つまり雑音を気が付かないレベルまで下げることができます。
ところが、録りたい音と雑音のレベルが接近していると、全体のレベルを操作しても雑音は聞こえてしまいます。
こうしたことが起こりやすい原因の一つが、録りたい音に対するマイクの距離が遠いことです。
- 音の収録レベルが下がりすぎて補正がきかない
- 人の発声が明瞭に拾えない
- 背景の音を拾ってしまう
- 残響音も拾いやすくなる
特に注意しなくてはならないのが、音のレベルです。
プロの動画制作では音声の編集を行うMAという作業があります。いる音といらない音の選別や、効果音付けなどの作業を行う音声編集です。
ここで小さい音は適正なレベルに音声信号を上げたり、ノイズなどが持つ特定の周波数をカットする作業を行います。
この時、あまりに音が小さいと、適正なレベルに上げる際、本来ならばカットしたい環境音などのノイズも一緒に持ち上がってしまうのです。
こうした事態を避けるには、音源の近くにマイクを置いて、音源の音声信号だけをメリハリよく収録することが大切になってきます。
理想は音源ごとにマイクを使うことです。グループで会話しているようなシーンでも、一人一人にマイクを付けて音を拾うのは、編集する際のことを考えてのことです。
ミキサーは複数の音声を適切な音声にまとめて、聞きやすい音声に調整する機械です。ピンマイクとガンマイクどちらも調整でき、ミキサーを使うことにより、編集もしやすくなります。音声さんはミキサーを肩から掛け、ガンマイクを扱いながらミキサーを操作します。これが基本スタイルです。
映像技術解説~TV番組等の収録現場での『音声さん』の仕事・収録方法について | 株式会社撮れ高 – 映像技術・撮影技術・映像制作 – 東京・新宿
プロの現場では、素材の音を拾う際、音声さんが長い竿の先に超指向性のマイクを付けて音を拾う姿をよく見かけます。これも録りたい音といらない音のレベルを離して録音するためです。
予算的な制約がある投稿動画では、わざわざ高級な超指向性のマイクを使わずに、ピンマイクを使って音を録った方がコスパが上がります。録りたい音は至近距離で単独に録ることを心がけると劇的に動画の質が変わると思います。
まとめ
音声の仕事は一発勝負。いい音は録り逃すと映像のリテイクよりも難しいといわれます。いい音を録り逃すことのないよう、映像撮影にもまして注意を払って撮影に臨みましょう。
- マイクと音源の距離は近づけ音源以外の音はカットして録る
- 高価な機材より、安価なピンマイクを有効に使う
- 動画制作は意味もなくいろいろな音を混ぜない
いい音はうまく録れればそれだけでスクープ映像に匹敵する価値があります。