AIで動画編集が自動化できる」は本当? DaVinci Resolve×Claudeを実際に使って分かったこと

「AIに動画の編集を任せられる」というニュースを、最近よく目にするようになりました。けれども、実際に何ができるのか、どうすれば自動化できるのかが分からない。そんな落とし穴にはまっている人は少なくありません。私もその一人でした。

私が使っているのはDaVinci Resolveの有償版(Studio)です。最新の21.1でAIアシスタント「Claude」との連携ができるようになったので、さっそく試してみました。

結論から言うと、すべてをAIに任せられるわけではありません。想像力を働かせるカット編集や色補正、音の調整は、今も自分でやった方が早いです。一方で、無音部分の削除、字幕起こし、メディアの整理のように「面倒で繰り返しの多い作業」は、任せた方が圧倒的に早いことが分かりました。

この記事では、私が一番よく使っている「字幕の修正作業」を例に、連携の手順と、使ってみて分かったメリット・デメリットをお話しします。

◆そもそも何が変わったのか

DaVinci Resolve Studio 21.1から、AIと外部ソフトをつなぐ共通規格「MCP(Model Context Protocol)」が標準で組み込まれました。これにより、ClaudeなどのAIアシスタントにチャットで指示を出すと、AIがDaVinci Resolveの内部の仕組み(スクリプティングAPI)を使って、裏側から操作してくれるようになりました。

イメージとしては、「編集の腕がいいアシスタント」が来たというより、「段取りを正確にこなす助手」が来たと考えると分かりやすいと思います。

◆連携の手順

準備するものは、次の2つです。
・DaVinci Resolve Studio 21.1以降(無料版は非対応)
・Claude Desktop(パソコン版のClaudeアプリ)またはClaude Code

手順1 DaVinci Resolveを21.1以降に更新する
起動画面で「バージョン 21.1.1」のように表示されていれば準備完了です。私の環境は21.1.1でした。

手順2 メニューから「Setup AI Assistants…」を選ぶ
メニューバーの「ファイル」を開くと、下の方に「Setup AI Assistants…」があります。日本語表示の画面でも、ここだけは英語のままです。

手順3 登録完了のメッセージを確認する
「AI Assistants Configured」という画面が出て、パソコンに入っているAIアシスタントの一覧が表示されます。私の場合は「Claude Desktop」と「Claude Code」の2つが登録されました。「OK」で閉じます。
Claude Desktopの横に「opened, please finalize installation(インストールを完了してください)」と出ている場合は、続けて手順4に進みます。

手順4 Claude Desktop側で「インストール」を押す
Claude Desktopに「DaVinci Resolve Studio」の拡張機能の画面が自動で開くので、「インストール」を押します。
このとき「コンピュータ上のすべてのデータへのアクセス権が付与されます」「開発者情報はAnthropicによって検証されていません」という注意書きが表示されます。少しドキッとする文言ですが、DaVinci Resolve自身のメニューから呼び出した拡張機能なので、提供元はBlackmagic Design(DaVinci Resolveの開発元)です。内容を確認したうえでインストールしました。

手順5 Claude Desktopを再起動し、話しかけてみる
DaVinci Resolveを起動したまま、Claudeに「DaVinci Resolveは起動していますか?」と聞いてみます。
すると「Claudeが『DaVinci Resolve Studio』の『Get resolve status』を使用しようとしています」という確認が出ます。選択肢は「拒否する」「常に許可する」「1回だけ許可する」の3つです。
最初のうちは「1回だけ許可する」を選び、AIが何をしようとしているのかを毎回確認するのがおすすめです。慣れてきて、状態の確認のような安全な操作だけ「常に許可する」に切り替えればよいと思います。

これで連携は完了です。設定そのものは数分で終わります。難しいのは設定ではなく、「何を任せるか」を決めることでした。

◆実例:字幕の修正作業

私の動画はナレーションが中心です。ナレーション音声をDaVinci Resolveの自動文字起こしにかけて字幕を作っていますが、ここに毎回手間がかかっていました。

自動文字起こしは便利ですが、作家名や作品名、専門用語をよく聞き間違えます。また、私の番組では「字幕に句読点を入れない」「書名は『』でくくる」というルールを決めているので、その直しも必要です。

これまでの流れはこうでした。

  1. DaVinci Resolveで字幕を自動生成する
  2. 字幕ファイル(SRT)を書き出す
  3. AIに渡して、固有名詞の誤りや表記を直してもらう
  4. 直したファイルをDaVinci Resolveに読み込み直す

連携後は、書き出しと読み込み直しの往復がなくなりました。Claudeに次のように頼むだけです。

(指示の例)
「今開いているタイムラインの字幕を確認して、作家名と書名の聞き間違いを直してください。句読点は削除し、書名は『』でくくってください。台本はこれです」
【指示と結果の画面写真】

ポイントは、台本も一緒に渡すことです。正しい表記の手がかりがあると、AIの修正の精度が上がります。

【ここに実際の修正例:誤)〇〇 → 正)〇〇 を2〜3件】

◆使ってみて分かったメリット

  1. 単純作業の往復がなくなる
    ファイルの書き出し、受け渡し、読み込み直しといった「作業のための作業」が消えました。1本ごとの差は小さくても、毎週続けると大きな差になります。
  2. 決まったルールを毎回同じように守ってくれる
    句読点や記号の扱いのように、人が目で追うと見落としやすいルールを、取りこぼしなく適用してくれます。
  3. 頭を使う作業に時間を回せる
    字幕直しに使っていた集中力を、構成やカットの判断など、自分にしかできない部分に回せるようになりました。

◆デメリットと注意点

  1. 「元に戻す」が効かない
    AIが行った操作は、Ctrl+Z(Macはcommand+Z)で取り消せません。指示を出す前に、プロジェクトやタイムラインを必ず複製しておくことをおすすめします。
  2. 最終確認は人の仕事
    AIは自信満々に間違えることがあります。特に固有名詞は、直したはずの名前がさらに別の誤りになっていないか、最後に自分の目で確認が必要です。
  3. 有償版でしか使えない
    無料版のDaVinci Resolveでは利用できません。
  4. 創造的な作業は任せられない
    色補正の細かい調整や、Fusion(映像効果)・Fairlight(音声)の高度な操作は、AIからは実行できません。ここは今まで通り、自分の手で行います。
  5. 指示の出し方に慣れが必要
    「何を、どの範囲で、どんなルールで」を具体的に伝えるほど、結果が安定します。最初は少し試行錯誤が必要でした。
  6. 許可の範囲を理解しておく
    インストール時の注意書きにあるとおり、拡張機能はパソコン上のデータに広くアクセスできます。必ずDaVinci Resolveのメニューから正規の手順で導入し、操作の許可は最初は「1回だけ」にしておくと安心です。

私はうっかり『常に許可する』を選んでしまいましたが、これは起動状態を確認するだけの操作なので問題ありませんでした。許可は操作ごとに個別に求められるため、プロジェクトを書き換える操作では、改めて確認画面が出ます。

◆まとめ

AIによる動画の自動編集は、「全部おまかせ」ではなく「面倒な定型作業の肩代わり」と考えると、うまく付き合えます。

私の場合、字幕の修正がいちばん効果を実感できた作業でした。毎回同じ手直しをしている作業がある人は、まずその一つから試してみてください。プロジェクトの複製さえ忘れなければ、失敗しても怖くありません。