秋の夜長にミステリーを読んでいるといつの間にか明け方になっていた。そんな体験ありませんか。読書には気分を邪魔しないお気に入りの音楽があるといいですよね。
そんな時よくお世話になるのがYouTube。
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・「【癒しBGM】自律神経に優しい、花や草木の香りを感じるようなハープの音色の音楽」
421万 回視聴 3 年前
「癒し音楽」「ヒーリング BGM」「ローファイ」――これらのキーワードで YouTube を検索すると、再生数が桁違いのものがゴロゴロ出てきます。
60 万回以上再生されている実績があれば収益化のハードルもクリアできそうです。今日は癒し系音楽動画の作り方を掘り下げます。
Suno で作る癒し音楽チャンネルの始め方|AI ✖ YouTube 収益化完全ガイド

—— はじめに:なぜ今、癒し音楽チャンネルなのか?
人は常に、「集中したい」「眠りたい」「リラックスしたい」というモードを日常で持っているので、こういう“流しっぱなし”音楽には根強い需要があるんです。
で、これを「自分でゼロから作る」のは普通は大変なんですが、生成系AIである Suno を使えば、コストも最小限、技術ハードルもだいぶ下がります。
ただし“AI で作ったから勝手に稼げる”わけじゃない。法的・プラットフォーム的ハードルもちゃんと知っておかないと、後で痛い目を見る。この記事では、「制作 → 公開 → 収益化」までの流れと、成功のポイント・注意点を具体例とともに語っていきます。
Step 1:Sunoでヒーリング音楽を作る
1-1. Suno の基本と注意点
Suno は文章(プロンプト)を入力すると、音楽(歌/楽器付き、またはインストゥルメンタル)を生成してくれるサービス。
ただし重要な点があります:
- 無料プランや “Basic” プランでは、生成した音楽は 商用利用不可 という扱いになります。
- Pro や Premier など有料プランにアップグレードすると、商用利用権が付与され、動画への組み込み・公開が可能になります。
- ただし、AI が出力した音楽そのものが「著作権保護される対象になるか」は法律的に曖昧な領域です。アメリカなどでは、「人間の創作性」が絡まない AI 出力は著作権の対象とならない、という見解を持つところもあります。
- また、Suno が学習に使ったデータに既存著作物を使っているかどうか、訴訟も起きています(米国の大手レーベルが Suno を著作権侵害で訴えているニュースあり)
要点としては、「Suno の商用利用規約を守る」「AI 出力だけでなく、人間的な編集・付加価値を入れる」「将来的な権利リスクを意識しておく」ことがマストです。
1-2. 実際にプロンプトを使って癒し楽曲を作る

Sunoのアカウントを取得します。私はgoogleから入りました。生成するには左サイドバーのメニューからCreatをクリックします。

曲を作るには、曲の説明と表示された部分にプロンプトを入力します。無料版でも初回50クレジットが付与されます。消費されるクレジットは生成一回で10クレジットでした。

実際に僕も試してみた例を交えて。
プロンプト例(ヒーリング BGM 用):
“Dreamy ambient harp and soft piano, 432 Hz, gentle nature sounds, calm, meditative”
こんな感じで入力すると、10〜30秒ほどで出力が返ってきます。出力は一分程度のダイジェスト版(フルバージョンにアップグレード可能)と完奏版の二種類。

それを聞いて、「この曲いいな」と思ったものを選びます。編集は右の枠を開いて数分〜十数分に伸ばしたり、ループさせたり調整します。

もし「歌付き」が欲しいなら、プロンプトに “soft vocal, no lyrics” や “ethereal voice” と入れるなどして実験してみます。ただし、歌詞を入れると権利面で複雑になるリスクも上がるので、最初はインストゥルメンタルで十分でしょう。

確定したら曲の右にあるボタンからダウンロードを選択するとmp3でダウンロードができます。(有料版ではWAV形式も可能)

有償版は月額1500円です。

Step 2:画像生成 AI でアートビジュアルを作る
音楽だけでは動画になりません。視覚側も癒し要素を持たせて、見る人の感情に訴えるようにビジュアルを選びましょう。
2-1. どんなテーマが有効か
癒し系/ヒーリング系だと、以下テーマが比較的ウケが良いです:
- 星空・天の川
- 森林・苔・滝
- 水面の反射・ゆらぎ
- 光や霧、オーロラ的な抽象表現
- 抽象的なカラーグラデーションと光の粒
2-2. プロンプト例(Midjourney/Stable Diffusion 風)
“a tranquil forest with soft morning mist, glowing light through trees, watercolor style, dreamy, soft colors”
これを画像生成AI(Midjourney、Stable Diffusion、あるいは Canva の AI 機能など)で作ります。
出てきた複数案から「最も心地よさそうなもの」を選ぶ。
Step 3:画像 → 動画化(アニメーション化)
静止画だけでも悪くないですが、ゆるやかな動き(フェードイン/フェードアウト、ズーム、ゆらぎ)を付けると、視聴者の滞在時間が伸びやすくなります。
3-1. 手軽なツール活用
- Canva や CapCut:複数画像をスライドショー形式でつなぎ、クロスフェードやズームイン/ズームアウトをかける
- After Effects / DaVinci Resolve:より本格的にアニメーションやレイヤー操作
- Runway/Kaiber:AI 手法で静止画にモーションを付与
YouTube投稿では動きのあるインパクトの強い動画が好まれますが、癒し系では逆効果。むしろ森の画像に “葉っぱがほんのり揺らぐ” 安定したアニメーションをつけた程度のゆったりした動画の方がウケがいいです。
静止画を 10 枚、5 分ごとに切り替える方式で BGM を乗せて投稿するより「木漏れ日がゆらゆら揺れる映像」を加えた動画の方が視聴時間が 10〜15%伸びるという報告を目にしました。
Step 4:音楽と動画の結合 & 編集
ここがいよいよ動画として形をなすフェーズ。
4-1. ループ設計と尺の作り方
癒し系 BGM は「聞き流し目的」であることが多いので、30 分〜2 時間程度の長さで作っておくと良いです。
曲が短ければ、ループさせてつなぐ。クロスフェード(曲がフェードアウト → 次にフェードイン)を自然につなげると違和感が減ります。
4-2. 音量調整・ノイズ処理
- BGM は「主張しすぎない」音量に
- 音量レベルが均一であること(急に音が上がったり下がったりしない)
- 必要ならリバーブやイコライザ調整で“奥行き感”を足す
4-3. タイトル画面・説明タイトルなどの挿入
動画冒頭に “この音楽は AI(Suno)で生成されたものです” とか “リラックス・ヒーリング・BGM” などのテロップを入れると、視聴者の期待値が整うし、信頼感も出ます。
また、動画の最後に簡単なクレジット(例:「音楽生成:Suno(有料プラン)」「画像生成 AI 使用」など)を入れるのも丁寧な演出。
Step 5:YouTube に公開、そして収益化を狙う
5-1. YouTube パートナープログラム(YPP)の条件
収益化を得るには、基本的には下記条件を満たす必要があります:
- チャンネル登録者数 1,000 人
- 過去 12 か月間の総再生時間 4,000 時間
- YouTube のガイドライン・広告主適性ルールに準拠
この条件自体は変わっていません。
5-2. AI/生成コンテンツに対する YouTube の最新規制
2025年7月から、YouTube は「偽造的/量産的 (mass-produced)、繰り返しコンテンツ (repetitive)」に対して、収益化制限を強める方針を出しています。
ただし「AI をツールとして使っているが、人間による編集・付加価値が入っており、オリジナル性や変化があるもの」は引き続き収益化対象になる可能性がある、という情報も出ています。
つまり、丸ごと“AI まる出し”の動画を量産するのはリスクが高く、必ず人間としての手が入った部分(編集、説明、演出、構成など)を付けることが推奨されます。
5-3. 収益化のパターン
癒し音楽チャンネルで考えられる収益源は:
- 広告収益(YPP による)
- チャンネルメンバーシップ
- スーパーチャット/スーパーステッカー(ライブ配信で使えるなら)
- スポンサー案件(自然・健康・睡眠関連商材などとのマッチ率が高め)
- 音楽販売・配信(もし権利をクリアしていれば Spotify 等で配信)
- 独自ウェブサイトでダウンロード販売
たとえば、僕の仮想ラインを例にすると、月に 20 本動画を出して月間合計再生時間を稼ぎつつ、「チャンネルメンバー限定 BGM」「30 分版/1 時間版 WAV 高音質データ」なんかを有料化すれば、そこそこまとまった副収入になる可能性はあります。
メリットとデメリット
✅ メリット
- 低コストでスタート可能 楽器演奏能力やスタジオがなくても、AI と安価なツールで始められる。
- 量産性 1 本作るのに比較的時間が掛からないので、動画本数で攻められる。
- ニッチ需要が強い 癒し・睡眠・集中・マインドフルネス用途といった需要は継続性がある。
- 中~長期収益化が狙いやすい BGM ジャンルは一度ヒットすればロングテールで再生が続く可能性あり。
- 拡張可能なビジネスモデル 他ジャンル BGM(study, ambient, nature sounds)に拡張できる。
❌ デメリット・リスク
- 著作権・権利リスク AI 出力が法的にどこまで「著作物」として保護されるのかは未確定。訴訟リスクも存在。
- YouTube 側の規約変更リスク 量産型 AI コンテンツへの締め付けが強まれば、収益化が一気に難しくなる可能性。
- 差別化が難しい 似たような音楽・映像が溢れるため、目立たせる工夫や質の向上が必要。
- 視聴維持率が低くなる可能性 ただ流すだけだと途中で離脱されやすい。動きや演出、サムネ・タイトル設計が鍵。
- 収益化までのハードル 登録者 1,000 人・4,000 時間という壁を越えるには一定の努力が必要。
収益化について 長尺動画で登録者を集めるにはかなりハードルが高いですが、ショート動画で登録者500人は手が届く範囲内です。あとは試聴時間数さえ達成できればいいので狙い目です。
より効果を上げるための実践的なヒント
- シリーズ化・テーマ化:例「夜の森シリーズ」「雨音ブレンド」「月明かり BGM」など、テーマを揃えてファンを固める
- 短尺 → ロング版:YouTube Shorts やショート動画で BGM の切り出し版(15〜30 秒)を出して導線に使う
- SEO キーワード設計:タイトル・説明文に「癒し」「リラックス」「睡眠用」「集中用」など入れておく
- 視聴者の声を反映:コメントでリクエストを集めて、次回作に反映
- 統計をチェック:YouTube アナリティクスで視聴維持率・離脱ポイントを分析し、改修を繰り返す
- 高音質版をおまけで提供:たとえば、メンバーシップ特典で 48kHz WAV 版を提供するなど
- コラボ BGM:他ジャンルクリエイターとコラボして、癒し音楽を曲提供する形で相互流入を図る
具体的なシーン例
夜中、目が覚めてしまったときの BGM
真夜中、iPhone 片手に “月影の森 BGM” を流したら、静かなピアノ音と微かな風のノイズが脳を落ち着かせてくれて、知らぬ間に寝てた。視聴時間 2 時間を越えていた。
仕事中に集中したいときの BGM
「水面のゆらぎ+ハープソロ」という組み合わせを作って、作業デスクで流していたら、リズムが気にならずに集中が続いた。視聴者からも「作業用に使いやすい」とコメントをもらった。
ユーザーからのリクエスト例
「夜の森 BGM にフルート少しだけ入れてほしい」「海辺の波音入りにして」「30 分と 1 時間版、どっちもほしい」など。これを反映して出したバージョンが、リピート再生されやすくなった。
こういう“心が動いた瞬間”をイメージしながら作ると、視聴者も共感しやすくなるんですよね。
まとめと覚えておきたいマインドセット
Suno や画像生成 AI、動画編集ツールは、まさに「表現の民主化」の波を押し広げています。
それを使って、癒し音楽チャンネルを作って収益化を目指すのは、技術的には十分可能な時代になってきたと思います。
ただし、大事なのは「ただ AI に任せて量産する」のではなく、「人間の感性や編集の手を入れる」こと。
YouTube の規約や著作権リスクも無視できないので、安全側に立って動くこと。
そして、「聴いてくれる人の心に訴える」ようなコンテンツを作り続けることだと思います。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Suno で作る癒し音楽チャンネルの始め方を書きます。