今日のテーマは「Affinityでモザイクをかける方法」。
SNSに上げた写真で、うしろの人の顔とか、車のナンバーとか、うっかり写り込んだ書類の住所とか——「あっ、これ見せちゃダメなやつ!」って瞬間、ありますよね。
そんなときの“守りの一手”がモザイクです。
しかもやるなら、素早く・きれいに・やり直しやすく。この記事では Affinity Photo(中心)、そして Designer でもほぼ同じ流れで使える 4つのやり方 を、初心者向けにやさしく、でもプロ目線でガッツリ解説します。
Affinity で画像の一部を安全に隠す4つのテクニック
まずは全体像です。モザイクのかけ方には大きく4つの流れがあります。それぞれ得意な分野がありますので使い分けできるようにしましょう。
- ガウスぼかし(ふわっと滑らか。自然に隠したい時)
- ピクセレート(いわゆる“ザ・モザイク”。はっきり隠す)
- 拡散(ノイズ)(粒状のザラッと隠す。質感を崩して見えなくする)
- ぼかしブラシツール(手描きでなぞって即ぼかし。ピンポイントに強い)

基本は「範囲を選択 → フィルターで処理」。
直感派は「ブラシでなぞる→完成」でもOK。
作業前の“プロ習慣” 2つ

よくあるトラブルの中でも多いのが、間違ってオリジナルデータを損傷してしまうミス。取り返しのつかない事態を避けるため安全対策をまず行いましょう。
- 背景を複製してから作業:レイヤーパネルで画像レイヤーを
Ctrl/Cmd + J。万一ミスっても即戻せます。 - できれば“ライブフィルター”:
ピクセル > 新規ライブフィルターレイヤーからガウス/ピクセレート等を使うと“非破壊”で後で数値変更できます。これ、後から「やっぱり強すぎた!」を救ってくれる神機能です。

まずは範囲を決めよう:3つの選択ツール
※対象レイヤーを選択してから操作!ここ大事。

1) 選択ブラシツール
被写体のカタチに沿って選びたい時に最強。髪や輪郭など、自然物にも強い。
手順
- 左ツールバーの選択ブラシを選ぶ
- ブラシの太さを調整(
[と]キーで素早く) - 隠したい部分を塗る → はみ出したら
Alt/Optionを押しながらなぞって削除

2) 自動選択ツール
色差がハッキリしている時に爆速。単色の壁やはっきりしたロゴなど。
コツ:許容値(トレランス)**を上げ下げして、取り過ぎ・取り足りないを調整。複雑な写真では無理せずブラシに切り替え。

3) 選択ツール(長方形/楕円/フリーハンド)
スピード重視。四角や丸で“エリアごと”サクッと隠す。
例:ナンバープレート、書類の住所ブロック、名札の名刺サイズなど。


仕上がりを自然にするなら、選択したら 「選択境界をぼかす(フェザー)2–3px」 を軽く入れると、縁のカクつきが消えてプロっぽい。
方法1:ガウスぼかし(自然に隠す定番)
使う場面:背景の顔、生活感のある小物、PC画面の一部など「気づかれにくくしたい」時。
手順
- 隠したい範囲を選択
ピクセル >新規ライブフィルターレイヤー > ぼかし >ガウス- 半径を上げ下げしてプレビュー。目安は8–25px(解像度により調整)
- OK。ライブなら後から数値を動かせます

ワンポイント:テキストや数字は“残像”が読めない程度まで。ズームして読めるなら強度不足です。
方法2:ピクセレート(ザ・モザイクで確実に隠す)
使う場面:顔、ナンバー、バーコード、顧客情報など“絶対見せない”。
手順
- 範囲を選択
ピクセル >フィルター >ゆがみ > ピクセレート- 量子化レベル(ブロックの大きさ)を調整
- 4:軽め(まだ判別できること多し)
- 8:実用ライン(多くの情報が読めなくなる)
- 12–20:鉄壁(解像度が高い写真でも安心)


コツ:スマホ縦長4K写真などは大きめに。サムネ閲覧だけで読めないことが重要。
方法3:拡散(ノイズで崩す)
使う場面:質感を保ちつつ“情報を壊す”。テクスチャ背景やガラス越しのものに馴染みやすい。
手順
- 範囲を選択
ピクセル >新規ライブフィルターレイヤー >ノイズ > 拡散- 量(%)を調整
- 1–3%:軽めでも視認性はガクッと落ちる
- 上げすぎると境界が広がり、逆に“薄く”見えることがあるので要注意


使い分け:情報秘匿の“強度”はピクセレートに軍配。ただし画全体の雰囲気を保ちたいときは拡散が自然。
方法4:ぼかしブラシツール(手早くピンポイント)

使う場面:ちょっとした反射、テカリ、ロゴの端っこ…“そこだけ”をサッとなぞりたい時。
手順
- 左ツールからぼかしブラシ
- 上部の幅/不透明度/流量/硬さ/長さを調整
- 隠したい部分をなぞるだけ。重ね塗りでどんどん強くなる

設定の目安
- 幅:対象より少し広め(エッジが出にくい)
- 不透明度:80–100%
- 流量:40–70%(様子を見ながら)
- 硬さ:低め(0–30%)で自然に
注意:強度の再調整がしづらいのが欠点。別レイヤーにスタンプ(修復)で写してからぼかすと安心。
“ワンステップ派”と“ツーステップ派”
- ワンステップ(ぼかしブラシ):直感的・速い・細部に強い。ただしムラになりやすく、後から数値で調整しにくい。
- ツーステップ(選択 → フィルター):仕上がりが均一・強弱の再調整がラク・事故が少ない。基本はこっちを推奨。
ツーステップの黄金手順
- 範囲を選択(ブラシ/自動/四角)
- フェザー 2–3px →
- ライブフィルターでガウス or ピクセレート →
- 必要ならマスクで微調整(黒で塗れば隠し、白で出す)
具体的な“モザイクが効くシーン”5例
- 運動会の動画から切り出したスチル:他の子の顔 → 選択ブラシ+ピクセレート(量子化 10–16)
- 車のナンバー:長方形選択 → ピクセレート(12 以上)。縁フェザー 2px で自然に
- スクショの個人情報(住所/電話):テキスト範囲を長方形選択 → ガウス(15–25) か ピクセレート(8–12)
- ガラスに映り込んだ自分:選択ブラシで輪郭 → 拡散 2–4%+必要ならガウス 5–10を軽く足して判別不可に
- 製品レビューで映えは守りつつ型番だけ隠す:楕円選択で型番部分 → ガウス 10–18(見た目自然重視)
よくある失敗と回避ワザ
- 境界がギザギザ:選択後にフェザー、または選択を拡張/縮小 1–2px。
- まだ読める…:迷わずピクセレートの量子化を上げる。情報保護が最優先。
- 強すぎて浮く:ライブフィルターの**不透明度を80–90%**へ。周囲に馴染む。
- マスクがズレた:マスクサムネを
Ctrl/Cmd+Iで反転、位置は移動ツールで微調整。 - 複雑な髪の毛:選択ブラシ→境界を調整で“髪の毛を洗練”を使うと掴みやすい。
Affinity Designerでもほぼ同じ
ラスターベースの編集(ピクセルパーソナ)に切り替えてから、選択 → フィルターの流れは同様。UIのラベルが微妙に違っても、考え方はまったく同じです。
最後に:見せない優しさは、作品の“信用”になる
モザイクは“手抜き”じゃなくて“配慮”。撮る・作ると同じ熱量で、守るもやっていきましょう。ライブフィルターと丁寧な選択、この2つを覚えれば、スピードも品質も一気に上がります。






こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity で画像の一部を安全に隠す4つのテクニックを書きます。