手ブレ写真も印象で救う! Affinity Photoのピンぼけ補正テク【保存版】

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity でピンぼけを補正する方法を書きます。

今日は「Affinity で写真のピンぼけを直す方法」を、初心者でも迷子にならないようにガイドします。

Affinity Photoのピンぼけ補正テク【保存版】

言い切りますが――ピンぼけは“完全復活”は難しいです。

だけどね、見せ方として“それっぽくシャキッと見える”ところまでなら十分持っていける。大事なのは順番やりすぎない感覚です。

まずは診断:どの“ボケ”ですか?

  1. ピントの外し(わずかな前ピン/後ピン)
    → 細部はある程度生きてる。シャープ化で持ち直せることが多い。
  2. 手ブレ(方向性のあるスジ)
    → 復元は難しめ。弱めのシャープ+ノイズ処理+見せ方でごまかす。
  3. レンズの甘さ(周辺や開放でふわっと)
    クランチ(Clarity)とHigh Passが効く。
  4. 被写体ブレ(動く子ども・犬猫)
    → 完全復活は厳しい。選択的に顔だけ強調して“印象を救う”。

この見立てが最重要。以降の手順の効き方が変わります。

共通の準備:非破壊でいこう

  1. 写真を開く
  2. レイヤーパネルで背景を複製(Cmd/Ctrl + J)
  3. 以降の調整はすべて 「レイヤー > 新規ライブフィルターレイヤー」 から。
    ※ライブフィルターはあとから強さもOn/Offも変更可。安心。

手順A:基本の「ノイズ→シャープ→微調整」三段ロケット

もっとも失敗しにくい王道。軽いピンぼけならまずこれ。

1) ノイズを先に整える(Denoise)

  • メニュー:レイヤー > 新規ライブフィルターレイヤー > ノイズ除去(Denoise)
  • 目安:
    • 輝度ノイズ:5〜25%(夜景や高ISOなら上寄せ)
    • 色ノイズ:10〜30%
  • コツ:ディテールが溶けない最小限で止める。やりすぎると“のっぺり”して後のシャープが刺さらない。

2) 主役のシャープ(Unsharp Mask)

  • メニュー:新規ライブフィルターレイヤー > アンシャープマスク
  • 目安(2400万画素・100%表示基準):
    • 半径(Radius):0.8〜1.5px(人物は小さめ、風景はやや大きめ)
    • 量(Factor/Amount):0.6〜1.2
    • しきい値(Threshold):1〜4(肌のザラつき防止)
  • コツ:ハロ(白い縁)が出たら半径を下げる。量で誤魔化さない。

3) 立体感の押し出し(Clarity)

  • メニュー:新規ライブフィルターレイヤー > クラリティ
  • 目安:+5〜+15
  • コツ:全体に掛けると固くなりがち。マスクで主役だけに薄く掛けると自然。

小ワザ:Clarityを50%くらいの不透明度で薄く使うと“ちょっとだけ高級レンズ風”。

手順B:High Passで“エッジだけ”狙い撃ち

髪の毛、ヒゲ、布の織り目…細部の質感を出したいとき。

  1. 新規ライブフィルターレイヤー > ハイパス(High Pass)
  2. 半径:1.2〜2.5px(細部用)/8〜12px(広域のコントラスト)
  3. レイヤーブレンドをオーバーレイまたはソフトライト(強めならリニアライト
  4. 不透明度 30〜70%で調整
  5. 必要に応じて黒マスク→白ブラシで主役だけ見せる

これ、アンシャープより破綻しにくいのがメリット。僕は人物の髪と目、ガジェットのロゴで多用します。

手順C:人物の“肌は守って目だけ鋭く”

いわゆる選択シャープ。仕上がりの印象が一気にプロっぽくなる。

  1. ハイパスまたはアンシャープを作成
  2. そのライブフィルターのマスクを黒で反転(Cmd/Ctrl + I)
  3. 白ブラシで「目・まつげ・眉・髪の生え際・口角」だけ塗る
    • ブラシ硬さ:40%前後
    • 目のキワは倍率200%でチェック
  4. 肌は基本ノータッチ。どうしても眠い場合はクラリティ+5頬骨の外側に薄く

“目がピタッと合う”と、全体がシャープに見える。人の視線が集まる場所を賢く盛るのがコツ。

手順D:手ブレ・被写体ブレを“印象で救う”

正直、ブレは魔法のようには戻らない。だから戦略を変える

  • **局所コントラスト(Clarity +10前後)**で“芯”の錯覚を作る
  • High Pass(半径1.5〜2px / ソフトライト)を顔・ロゴなど重要部だけに
  • ノイズ除去を控えめにして“微細ノイズ=粒状感”を残す
  • 仕上げにトーンカーブで微増(黒レベル締め)→輪郭が締まる
  • 最終的にモノクロ化粒状フィルム風で“アート寄り”に振るのもアリ

「事故を作品にする」ってやつ。ブログなら“質感のストーリー”として押し通せる。

プロの順番(何度でも使える型)

  1. 露出・ホワイトバランス(必要なら先に整える)
  2. ノイズ(最小限)
  3. シャープ(Unsharp / High Pass)
  4. Clarity(必要なところにだけ)
  5. 部分マスク(主役を狙い撃ち)
  6. 色・トーン微調整
  7. 出力用シャープ(書き出し時にもう一段)

出力(書き出し)シャープを忘れない

画面で“ちょうど良い”は、縮小書き出しすると緩むのが常。最後にもう一押し。

  1. ドキュメントを書き出しサイズにリサイズ(ブログなら長辺1600〜2048pxが多い)
  2. 新規ライブフィルターレイヤー > アンシャープマスク
    • 半径:0.3〜0.6px
    • 量:0.6〜1.0
    • しきい値:01
  3. 100%表示で文字の縁が滲まないギリ手前で止める
  4. ファイル > 書き出し:JPEG 品質80〜90、Web用ならsRGB

やりがちな失敗と解決

  • ハロ出まくり問題
    → 半径を下げる/High Pass+オーバーレイに切替/不透明度を落とす。
  • 肌がザラザラ
    → アンシャープのしきい値を上げる、または肌領域をマスクで外す
  • のっぺり化
    → Denoiseを下げる/Clarityを10→5へ/微細な粒状感を少し残す。
  • 効いてる気がしない
    → 100%表示で判断。縮小表示だと誤魔化される。
  • やりすぎる
    → 一回席を立って戻ると分かる(マジ)。On/Off比較して「自然」を選ぶ。

シーン別・具体的レシピ

1) ブログのガジェット置き撮り(製品ロゴをくっきり)

  • Denoise:輝度10/色15
  • High Pass:半径1.8px → オーバーレイ、不透明度60%(ロゴ部分だけ白ブラシ)
  • Clarity:+8(被写体のみ)
  • 出力シャープ:半径0.4/量0.8

2) 夜の街スナップ(手ブレ微妙あり)

  • Denoise:輝度20/色25
  • Unsharp:半径1.0/量0.7/しきい値2
  • Clarity:+12(看板・人物だけ)
  • トーンカーブ:黒レベル少し締め
  • 最後に**粒状感(ノイズ少し戻す)**で“味”に

3) 子ども&ペット(動体ブレを印象でカバー)

  • Denoise:輝度15
  • High Pass:半径1.5px → ソフトライト、不透明度70%目・鼻先だけマスク)
  • Clarity:+6(顔の周りだけ)
  • 彩度:+5で生命感アップ
  • 出力シャープ:控えめ(半径0.3/量0.6)

4) 風景(木の葉・建物の窓をくっきり)

  • Denoise:輝度10
  • Unsharp:半径1.2/量0.9/しきい値0
  • High Pass(広域):半径10px → オーバーレイ 30%(全体)
  • Clarity:+10(地面や空は弱め)
  • 出力シャープ:半径0.5/量0.8

ちょっと上級:周波数分離で“シャープは高周波だけ”

ほんのり眠いだけの写真に効く、事故りにくい方法。

  1. フィルター > 周波数分離を実行(半径は2〜3pxから)
  2. 高周波レイヤーを選び、アンシャープ(半径0.8/量0.8)
  3. 低周波レイヤーは触らない(色面が荒れない)
  4. 必要なら高周波レイヤーにHigh Passを足してブレンドオーバーレイ
    ディテールだけがキリッとする。肌が荒れにくいのが良い。

“それでもダメだ…”と思ったら

  • トリミングして“解像の要”を画面いっぱいへ
  • 白黒化+コントラストで“写真表現”に逃がす
  • テキストや図形で“意図のあるデザイン”に寄せる(サムネはこれが強い)
  • そして、次回撮影はシャッター速度1/2f以上・手ブレ補正ON・連写。編集は救急、撮影は予防。

仕上げチェックリスト

  • ☐ 100%表示でハロ出てない?
  • ☐ 主役だけに効いてる?(余計な所がうるさくなってない?)
  • ☐ 出力サイズで再チェックした?
  • ☐ Before/Afterを1m離れて見ても自然?
  • ☐ JPEG書き出し後のファイルも一度開いて確認した?

まとめ

ピンぼけ補正は魔法じゃなく料理です。素材(元画像)を見極め、塩(シャープ)と胡椒(Clarity)を少しずつ。味見(100%表示)をしながらやりすぎない。この感覚さえ掴めば、あなたの写真はブログでもサムネでも“ちゃんとしてる感”で見せられます。

ら、目と髪だけマスクで効かせる位置まで一緒に詰めますよ。さて、あなたの“眠ってた一枚”、起こしにいこう。