Affinity Photoで前景の邪魔者を消す|修復ブラシとクローンの使い分け

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity Photoで前景の邪魔者を消す方法を書きます。


今日はね、「Affinity Photoで被写体にかぶさる不要なものを消す方法」について語ります

これ、正直ね、一番“現場感”のある修正テクです。
「後ろのゴミ」とか「背景の人」を消すのはわりと簡単なんだけど、“前にかぶってるモノ”を消すのは…そう、ちょっとした職人技

でも大丈夫。Affinityにはそのためのツールと手順がちゃんとあります。
今回は初心者でもわかるように、やる順番・ツールの使い分け・具体的なシーン例まで、丁寧に、リアルに解説していきます。

ではいこう!

Affinity Photoで前景の邪魔者を消す方法

🧩 よくある“かぶり”シーン、あるある

まずは「どんな状況で使えるのか」をざっとイメージしてみましょう。

  • 旅行写真:いい笑顔の友達の顔の前に、通行人の腕がニュッと…。
  • ペット写真:かわいい犬の鼻の前にリードの紐がかかってる。
  • ガジェット写真:製品のロゴに影やホコリがかぶってる。
  • Vlogサムネ:自分の顔の前にマイクスタンドがちょいかぶり。

「あともう少しだったのに!」っていうアレ。
Photoshopだと「生成塗りつぶし」で一発ですが、Affinityでも手作業+知恵で十分いけます。

💡 結論:3ステップで直すのが現実的!

Affinityで“かぶり”を消すときは、この順番が鉄板です。

① 修復ブラシでざっくり除去 → ② クローンブラシで再構築 → ③ マスク&ぼかしで自然になじませる

これ、いきなり1発で消そうとすると破綻します。
「まず形を戻して、あとで質感を整える」、これがポイント。

🪄 手順A:修復ブラシツールでベースを作る(第一段階)

1. ツール選択

左のツールバーから「修復ブラシツール(Healing Brush Tool)」を選びます。
ショートカットキーは J

2. 新しいレイヤーを作る(非破壊編集)

  • レイヤーパネルで「新規ピクセルレイヤー」を作成。
  • 上部のツールバーで「現在のレイヤーと下のレイヤーをサンプル」にチェック。

これで元画像を壊さずに修正できます。

3. 修正したい部分を塗る

Alt(Option)を押しながら、近い質感の部分をサンプル
そのままかぶっている部分をなぞるように塗る

  • ブラシの硬さ:30〜50%
  • 流量:60〜80%
  • サイズ:やや小さめ(Ctrl + [ / ] で変更)

修復ブラシは、周囲の色と模様を自動で“なじませてくれる”のが強み。
ただし、大きい範囲を一気に塗ると不自然になるので、細かく数回に分けて

🎨 手順B:クローンブラシで細部を作り直す(第二段階)

「修復ブラシだけだと模様が歪む」ってときに使うのがこれ。

1. クローンブラシツールを選択

ツールバーから「クローンブラシツール(Clone Brush Tool)」。
ショートカットは S

2. 同じく新規レイヤーを作成して非破壊に

  • 「新規ピクセルレイヤー」作って、
  • 「現在のレイヤーと下のレイヤーをサンプル」にチェック。

3. パターンを移植する

Alt(Option)+クリックでコピー元を指定し、不要部分になぞるように転写

  • 木の葉や布の模様など、規則的なテクスチャには最適。
  • 人の顔や肌など、自然なグラデーション部分は控えめに。

修復ブラシと違って、クローンブラシは**“塗り替え”ではなく“貼り替え”です。
必要なら、不透明度を
70〜90%**に下げて重ねていくと自然。

🪶 手順C:マスクで境界をなじませる(第三段階)

ここまでで形は戻る。次は“自然に見せる”仕上げです。

1. 修正したレイヤーをグループ化

複数の修正レイヤーを選んで Cmd/Ctrl + G
グループにまとめると、あとからまとめてマスクできます。

2. グループにマスクを追加

レイヤーパネルで「マスクレイヤーを追加」をクリック。
マスクを黒ブラシで部分的に削ることで、修正と元画像をブレンド

  • ブラシ硬さ:20〜30%
  • 流量:50%くらい
    → ふわっと削るように塗ると、自然な境界になります。

3. 必要ならぼかしでさらに調整

最後に レイヤー > 新規ライブフィルターレイヤー > ぼかし(ガウスぼかし) をマスクに軽くかけると、
修正跡が“なじんで一体化”します。

🧠 手順D:どうしてもムリなときの“応急策”

正直、被写体の前を横切るモノって、完全に消すのは難しい。
そんなときは、見せ方の工夫で“ごまかす”のもアリです。

  • トリミング:フレームを少し寄せるだけで、かぶりを画面外に追い出せる。
  • 被写体強調
    • 被写体レイヤーを複製して露出+0.3EV / 彩度+5
    • 背景を軽く暗く(露出−0.3EV)。
      → 被写体が目立てば、多少のかぶりは気にならない。
  • ぼかし:背景全体に「レンズぼかし」を少しかけて、かぶりを“深度効果”に変える。
  • テキスト配置:サムネやブログ用なら、文字を被せて誤魔化すのもプロのテク。

「完璧に消す」より「気にならないようにする」。
これ、実は動画でもブログでも同じ哲学なんです。

📸 実践シーン別のリアルな使い方

シーン1:街中の人物スナップで“通行人の腕”が顔にかぶった!

  1. 修復ブラシでざっくり腕を削除。
  2. クローンブラシで背景の壁を再構築。
  3. 顔との境界をマスクで自然にぼかす。
    → 肌のトーンが歪まないよう、ブラシ硬さは柔らかめで。

シーン2:ペットの鼻の前に“リード”がかぶった!

  1. クローンブラシで鼻のラインを参考にしながらリードを消す。
  2. 左右対称の部分(反対側の鼻)をコピー元に。
  3. 最後に修復ブラシで微調整。
    → “鼻の丸み”を意識して塗ると違和感がなくなります。

シーン3:製品写真で“ロゴの上に影”が落ちてる!

  1. 修復ブラシで影部分を明るめに塗る。
  2. トーンカーブで中間調をほんの少し持ち上げる
  3. 必要に応じてクローンでロゴのラインを描き直す。
    → 細い線はズームして1px単位で。

シーン4:自分の顔の前に“マイク”が映り込んだVlogサムネ

  1. クローンで肌トーンを復元。
  2. 別撮りの「顔素材」から一部を重ねて合成(※上級)。
  3. トーンを合わせてマスクで自然になじませる。
    → ブログサムネなら軽く文字を重ねると完璧。

⚙️ プロがやってる細かいコツ集

  • ブラシをズームで切り替える:近距離では小さく、離れたら大きく。テンポよく調整。
  • Altクリックはこまめに:コピー元を固定しすぎるとパターンがバレる。
  • テクスチャは流れを読む:壁なら縦筋、木なら年輪の方向に沿って。
  • 境界線は“なじませるより、整える”:ぼかすより直線を意識したほうが自然。
  • Before/Afterを頻繁に切り替える(Cmd+Z / Cmd+Shift+Z):やりすぎ防止。
  • 最後は小さいサイズで確認:修正跡は拡大時よりも縮小時にバレる。

🧩 ここで差が出る「リアルな判断基準」

状況修復ブラシ中心クローン中心諦めて構図変更
背景が均一(壁・空など)不要
背景が複雑(人・木・建物)
被写体が人の顔・動物◯(構図変更推奨)

「自然に見えること」=成功。
「完全に消せた」じゃなくて、「目が止まらない」ことが大事です。

🧾 最後に:プロのチェックリスト

  • ☐ 修正部分の質感は周囲と合ってる?
  • ☐ 明るさ・色味がズレてない?
  • ☐ 境界が急に不自然じゃない?
  • ☐ ズームアウトしてもバレない?
  • ☐ 元画像を破壊してない?(レイヤー残ってる?)

これ全部YESなら、もう完璧。
あなたの写真は、“余計なものが消えた、気持ちいい一枚”になってます。