今日は「Affinity で写真のピンぼけを直す方法」を、初心者でも迷子にならないようにガイドします。
Affinity Photoのピンぼけ補正テク【保存版】
言い切りますが――ピンぼけは“完全復活”は難しいです。

だけどね、見せ方として“それっぽくシャキッと見える”ところまでなら十分持っていける。大事なのは順番とやりすぎない感覚です。
まずは診断:どの“ボケ”ですか?
- ピントの外し(わずかな前ピン/後ピン)
→ 細部はある程度生きてる。シャープ化で持ち直せることが多い。 - 手ブレ(方向性のあるスジ)
→ 復元は難しめ。弱めのシャープ+ノイズ処理+見せ方でごまかす。 - レンズの甘さ(周辺や開放でふわっと)
→ クランチ(Clarity)とHigh Passが効く。 - 被写体ブレ(動く子ども・犬猫)
→ 完全復活は厳しい。選択的に顔だけ強調して“印象を救う”。
この見立てが最重要。以降の手順の効き方が変わります。
共通の準備:非破壊でいこう
- 写真を開く
- レイヤーパネルで背景を複製(Cmd/Ctrl + J)
- 以降の調整はすべて 「レイヤー > 新規ライブフィルターレイヤー」 から。
※ライブフィルターはあとから強さもOn/Offも変更可。安心。
手順A:基本の「ノイズ→シャープ→微調整」三段ロケット

もっとも失敗しにくい王道。軽いピンぼけならまずこれ。
1) ノイズを先に整える(Denoise)
- メニュー:レイヤー > 新規ライブフィルターレイヤー > ノイズ除去(Denoise)
- 目安:
- 輝度ノイズ:5〜25%(夜景や高ISOなら上寄せ)
- 色ノイズ:10〜30%
- コツ:ディテールが溶けない最小限で止める。やりすぎると“のっぺり”して後のシャープが刺さらない。
2) 主役のシャープ(Unsharp Mask)
- メニュー:新規ライブフィルターレイヤー > アンシャープマスク
- 目安(2400万画素・100%表示基準):
- 半径(Radius):0.8〜1.5px(人物は小さめ、風景はやや大きめ)
- 量(Factor/Amount):0.6〜1.2
- しきい値(Threshold):1〜4(肌のザラつき防止)
- コツ:ハロ(白い縁)が出たら半径を下げる。量で誤魔化さない。
3) 立体感の押し出し(Clarity)
- メニュー:新規ライブフィルターレイヤー > クラリティ
- 目安:+5〜+15
- コツ:全体に掛けると固くなりがち。マスクで主役だけに薄く掛けると自然。
小ワザ:Clarityを50%くらいの不透明度で薄く使うと“ちょっとだけ高級レンズ風”。
手順B:High Passで“エッジだけ”狙い撃ち
髪の毛、ヒゲ、布の織り目…細部の質感を出したいとき。
- 新規ライブフィルターレイヤー > ハイパス(High Pass)
- 半径:1.2〜2.5px(細部用)/8〜12px(広域のコントラスト)
- レイヤーブレンドをオーバーレイまたはソフトライト(強めならリニアライト)
- 不透明度 30〜70%で調整
- 必要に応じて黒マスク→白ブラシで主役だけ見せる
これ、アンシャープより破綻しにくいのがメリット。僕は人物の髪と目、ガジェットのロゴで多用します。
手順C:人物の“肌は守って目だけ鋭く”
いわゆる選択シャープ。仕上がりの印象が一気にプロっぽくなる。
- ハイパスまたはアンシャープを作成
- そのライブフィルターのマスクを黒で反転(Cmd/Ctrl + I)
- 白ブラシで「目・まつげ・眉・髪の生え際・口角」だけ塗る
- ブラシ硬さ:40%前後
- 目のキワは倍率200%でチェック
- 肌は基本ノータッチ。どうしても眠い場合はクラリティ+5を頬骨の外側に薄く
“目がピタッと合う”と、全体がシャープに見える。人の視線が集まる場所を賢く盛るのがコツ。
手順D:手ブレ・被写体ブレを“印象で救う”
正直、ブレは魔法のようには戻らない。だから戦略を変える。
- **局所コントラスト(Clarity +10前後)**で“芯”の錯覚を作る
- High Pass(半径1.5〜2px / ソフトライト)を顔・ロゴなど重要部だけに
- ノイズ除去を控えめにして“微細ノイズ=粒状感”を残す
- 仕上げにトーンカーブで微増(黒レベル締め)→輪郭が締まる
- 最終的にモノクロ化や粒状フィルム風で“アート寄り”に振るのもアリ
「事故を作品にする」ってやつ。ブログなら“質感のストーリー”として押し通せる。
プロの順番(何度でも使える型)
- 露出・ホワイトバランス(必要なら先に整える)
- ノイズ(最小限)
- シャープ(Unsharp / High Pass)
- Clarity(必要なところにだけ)
- 部分マスク(主役を狙い撃ち)
- 色・トーン微調整
- 出力用シャープ(書き出し時にもう一段)
出力(書き出し)シャープを忘れない
画面で“ちょうど良い”は、縮小書き出しすると緩むのが常。最後にもう一押し。
- ドキュメントを書き出しサイズにリサイズ(ブログなら長辺1600〜2048pxが多い)
- 新規ライブフィルターレイヤー > アンシャープマスク
- 半径:0.3〜0.6px
- 量:0.6〜1.0
- しきい値:0〜1
- 100%表示で文字の縁が滲まないギリ手前で止める
- ファイル > 書き出し:JPEG 品質80〜90、Web用ならsRGB
やりがちな失敗と解決
- ハロ出まくり問題
→ 半径を下げる/High Pass+オーバーレイに切替/不透明度を落とす。 - 肌がザラザラ
→ アンシャープのしきい値を上げる、または肌領域をマスクで外す。 - のっぺり化
→ Denoiseを下げる/Clarityを10→5へ/微細な粒状感を少し残す。 - 効いてる気がしない
→ 100%表示で判断。縮小表示だと誤魔化される。 - やりすぎる
→ 一回席を立って戻ると分かる(マジ)。On/Off比較して「自然」を選ぶ。
シーン別・具体的レシピ
1) ブログのガジェット置き撮り(製品ロゴをくっきり)
- Denoise:輝度10/色15
- High Pass:半径1.8px → オーバーレイ、不透明度60%(ロゴ部分だけ白ブラシ)
- Clarity:+8(被写体のみ)
- 出力シャープ:半径0.4/量0.8
2) 夜の街スナップ(手ブレ微妙あり)
- Denoise:輝度20/色25
- Unsharp:半径1.0/量0.7/しきい値2
- Clarity:+12(看板・人物だけ)
- トーンカーブ:黒レベル少し締め
- 最後に**粒状感(ノイズ少し戻す)**で“味”に
3) 子ども&ペット(動体ブレを印象でカバー)
- Denoise:輝度15
- High Pass:半径1.5px → ソフトライト、不透明度70%(目・鼻先だけマスク)
- Clarity:+6(顔の周りだけ)
- 彩度:+5で生命感アップ
- 出力シャープ:控えめ(半径0.3/量0.6)
4) 風景(木の葉・建物の窓をくっきり)
- Denoise:輝度10
- Unsharp:半径1.2/量0.9/しきい値0
- High Pass(広域):半径10px → オーバーレイ 30%(全体)
- Clarity:+10(地面や空は弱め)
- 出力シャープ:半径0.5/量0.8
ちょっと上級:周波数分離で“シャープは高周波だけ”
ほんのり眠いだけの写真に効く、事故りにくい方法。
- フィルター > 周波数分離を実行(半径は2〜3pxから)
- 高周波レイヤーを選び、アンシャープ(半径0.8/量0.8)
- 低周波レイヤーは触らない(色面が荒れない)
- 必要なら高周波レイヤーにHigh Passを足してブレンドオーバーレイ
→ ディテールだけがキリッとする。肌が荒れにくいのが良い。
“それでもダメだ…”と思ったら
- トリミングして“解像の要”を画面いっぱいへ
- 白黒化+コントラストで“写真表現”に逃がす
- テキストや図形で“意図のあるデザイン”に寄せる(サムネはこれが強い)
- そして、次回撮影はシャッター速度1/2f以上・手ブレ補正ON・連写。編集は救急、撮影は予防。
仕上げチェックリスト
- ☐ 100%表示でハロ出てない?
- ☐ 主役だけに効いてる?(余計な所がうるさくなってない?)
- ☐ 出力サイズで再チェックした?
- ☐ Before/Afterを1m離れて見ても自然?
- ☐ JPEG書き出し後のファイルも一度開いて確認した?
まとめ
ピンぼけ補正は魔法じゃなく料理です。素材(元画像)を見極め、塩(シャープ)と胡椒(Clarity)を少しずつ。味見(100%表示)をしながらやりすぎない。この感覚さえ掴めば、あなたの写真はブログでもサムネでも“ちゃんとしてる感”で見せられます。
ら、目と髪だけマスクで効かせる位置まで一緒に詰めますよ。さて、あなたの“眠ってた一枚”、起こしにいこう。













こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity でピンぼけを補正する方法を書きます。