テロップは表示するタイミングによっても、見やすさやインパクトが違ってきます。
また逆にインパクトを重視しすぎると画面が文字だらけになり品格を損ねる場合があります。
テロップの当て方次第で、作り手の品格や教養が露見してしまうので注意するに越したことはありません。
最適なタイミングを選べるようになるポイントを紹介します。
強調したいタイミングで表示する
テロップは場面やコメントを強調するために使うものです。基本的に目立たせたい、盛り上げたい場面に入れることが効果的です。
また、テロップは内容が難しく映像や音声だけでは理解が難しい場面に、適切な補足をする助っ人役でもあります。
こうした補足のテロップを入れる場合は、視聴者の理解が追いつくように、映像が出た後や発言の後に入れるようにするのが効果的です。
吹き替えはリップシンクにあわせる
コメントをフォローするテロップの場合は、しゃべり出しにあわせて表示します。
音が聞こえた瞬間にあわせようとすると、若干遅れて聞こえしまうことがあるため、口を開く瞬間にあわせるなどの工夫が必要です。
また、次のコメントを話始めたときに、いつまでもテロップが残ったままだと印象が悪くなります。
そのため、テロップは消すタイミングにも注意が必要です。
効果音も一緒に入れる
音声が聞こえなくても動画の内容を正確に伝えることがテロップの役目です。
しかし、場合によっては文字だけだと目立たい場合や表示時間の兼ね合いで見落とされてしまったりする場合もあります。
そのため、制作者はテロップを当てながら、同時に効果音を同じタイミングで入れることがあります。
効果音をテロップで当てると言う手法は音声を絞って映像だけ見ることが多い携帯端末の視聴者に受け入れられ始めています。
「ガン!」、「グギッ!」などの擬音語や、汗や悩み線をテロップに画像として入れるケースもあります。場面を補足して状況を分かりやすく伝えるようにしましょう。
可読できるタイミングで出し入れする
一続きの会話を分割する場合は間をおかずに表示しても違和感はありませんが、
異なるシーンが連続する場合に当てるテロップは、表示間隔が短すぎると読みづらくなります。
そのため、テロップを表示する時間と、次に表示するまでの間隔は、どちらも最低0.5秒以上の間隔を開けると見やすくなります。
テロップは二度、素読みをしてみる
テロップを表示する間隔は気持ち長めにすると視聴者に読みやすくなります。
制作者の中には、テロップを表示しながら声を出して読んでいる人がいます。大抵二度読んでテロップを引き上げます。
なぜかと言うと動画の編集者と、動画を始めて視聴する人では、理解度が違うことがあるからです。
編集者は、あらかじめ動画の内容が分かっている上に、編集作業で嫌という程テロップを見続けます。そのためテロップに慣れてしまって表示時間を短くしてしまうことがあります。
初めて見る視聴者の目線に立って、気づかないうちに表示を短くしていないかどうか、チェックすることが大切です。
翻訳は1秒四文字
洋画の翻訳など、プロの字幕編集では「1秒間に4文字」が目安とされています。
映像が文字より強い場合は、文字を認識する時間と、文字を読んだ後に観客が再度映像に注目する時間必要になります。
これは画面の切り替わりが頻繁にある動画の場合も同じです。目安となる秒数に1~2秒程度足して考えるとうまく行きます。
直感的にわかる文字は短くできる
「おはようございます。」など、観客が想定できる言葉なら多少早めに引き上げても違和感は感じません。
認識しなくてもすぐに意味を理解できるからです。
しかし、判読しにくい単語や漢字が多い文字、長い文章は理解するのに時間がかかってしまうため配慮が必要です。
カットの中で文字数が収まりきらない発言を文字テロップにする際は、意訳して内容を短くしても問題ありません。
印刷媒体のように一言一句間違いが許されないものではなく、文字テロップは発言者の内容を補足する役割であることがわかっているからです。
テロップはカットを跨がない
放送番組でのコメント入れは、ワンカットに一コメントと言うのが不文律となってきました。
その実例はNHKの番組「小さな旅」を見るとわかります。説明的なコメントも、シーンの意味を語る”回し”と呼ばれるコメントもカットの中で終始します。
視聴者は映像の展開で物語の内容を理解します。
カットをまたいでコメントやスーパーを入れると視聴者の理解を損ねるため、長すぎるコメントは映像に合わせて推敲し最適の言い回しがされていることがわかります。
テロップは最大二行まで
テロップの見やすさは行数も重要です。1行の文字数は16文字程度が目安です。
また行数が3行以上になると読めなくなります。
一般的には一行で、難しい場合でも最大2行以内に収めましょう。
携帯視聴にも配慮を
また、スマートフォンで視聴する動画が増えていることにも注意しましょう。
テレビ画面とは違い、縦で視聴することが多いため、[1]2016年にモバーシャルが実施したアンケート調査によると、縦向きで視聴するケースが全体の34.7%を占めていることがわかりました文字が多すぎると読みづらくなります。
まとめ
動画制作でナレーションやテロップを入れるのは最終盤の作業です。当然残された時間はわずかしかありません。
締め切り間際で原稿を書き始めるのはプロではないと言われます。ではプロはどうやって原稿を書くのかと言うと、構成段階から準備を始めています。
よくわかるのが試写の時上司や仲間にプレゼンする時です。試写のスクリーンの前で制作者はアニメのアテレコや弁慶の勧進帳のようにナレーションを朗読するのです。
煮詰めに煮詰めたコメントがテロップに結晶していると言っていいと思います。
References
↑1 | 2016年にモバーシャルが実施したアンケート調査によると、縦向きで視聴するケースが全体の34.7%を占めていることがわかりました |
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こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 テロップの入れ方 を書きます。