今日は「Affinity Photoでぶれた写真を修整する方法」。
スマホでサッと撮った運動会、旅先の夜景、カフェのしっとりポートレート——帰って見たら、うっすらブレてる…。あの胸のザワつき、わかる…!
でも大丈夫。Affinity Photoは“劇的に神復活!”とまではいかなくても、「見れる」「使える」までグイッと引き上げる武器がちゃんとあります。
初心者でも迷わないように、手順は丁寧に、でもノリはいつもの調子でいきます。では、いきましょう。
Affinity Photoでブレ写真を救う方法
画像の補正は手数がかかります。初心者には知らない用語やツールも出てきます。工程が多いので流れを先に頭に入れて下調べをしてから開始しましょう。
- RAW現像で“下ごしらえ”
- レイヤー複製&非破壊編集の準備
- ハイパスで芯を立てる
- アンシャープマスクで輪郭だけキュッ
- ノイズ処理でザラつきを抑える
- マスクで「見せたいところだけ」シャープに
- 周辺視線誘導で“ブレ”を目立たなくする
- エクスポート設定で仕上げ
1) RAW現像で“下ごしらえ”(Develop Persona)
ぶれ写真は、まず下ごしらえが命。素材がRAW形式で撮られているのならばDevelop Personaで整えます。JPEGでもOKですが、RAWの方が回復力が高いです。
- 画面上部の「Develop Persona(現像)」を開く
- 右側「Detail」パネル
- Noise Reduction(Luminance):20〜40あたりで様子見
- Sharpening(Amount):30〜60、Radiusは1.0前後、Thresholdは2〜5
ここでやりすぎると“カリカリ昆布”みたいな不自然さが出ます。100%拡大で確認を。
終わったらDevelopをクリック。次は加工本番のPhoto Personaへ。
Develop Persona(デベロップ・パーソナ)は、Affinity Photoの中でいちばん最初の「現像専用モード」です。
つまり――RAW画像を“料理前に下ごしらえ”する場所なんですね。
もう少し具体的に言うと、
・露出・ホワイトバランス・コントラスト・ハイライトやシャドウの調整
・ノイズ除去やシャープネスのベース調整
・レンズ補正(歪み・色収差など)
こうした撮って出しのデータを整える作業を行うのがDevelop Persona。
ここで素材を整えてから「Photo Persona」に持っていくと、その後のレタッチや合成がグッとやりやすくなります。
2) レイヤー複製&非破壊編集の準備
「やり直せる安心」を確保しましょう。
- Ctrl/Cmd + Jで背景レイヤーを複製(元データには手をつけずにしましょう)
- 調整はできるだけライブフィルターや調整レイヤーで。後から数値をいじれる「非破壊編集」が正義です。
3) ハイパスで芯を立てる(高周波だけ強調)
ブレ写真でも、わずかな“エッジ情報”は残っています。そこを救い上げるのがハイパス(High Pass)です。
- メニュー Filter > Other > High Pass
- Radiusは1.0〜3.0pxスタート(被写体が小さければ小さめ)
- OK後、そのレイヤーの描画モードをOverlay(やわらか)かSoft Light(控えめ)、もっと効かせたいならLinear Light
- 効きすぎたら不透明度を30〜60%へ
コツ:輪郭に“灰色の縁取り”が見え始めたらやりすぎ。戻して。
エッジ情報=写真の中で“境界を示す部分のデータ”**のこと。
たとえば——人の輪郭、髪の毛と背景の境目、建物の線や看板の文字のフチ
こういう“明るさや色が急に変わる部分”に、エッジ(edge)=境界があるんです。
Affinity Photoの「ハイパスフィルター」や「アンシャープマスク」は、このエッジ情報を検出して、その部分だけコントラストを強めることで、写真をシャキッと見せています。
つまり、
「全体をシャープにしてる」のではなく、「輪郭(エッジ)部分の情報を強調して、ピントが合ってるように“見せる”」
というトリックなんです。
写真の“芯”を立てる作業、というとイメージしやすいかもしれませんね。
4) アンシャープマスク(USM)で輪郭だけキュッ
ハイパスで芯を作ったら、アンシャープマスク(USM)で“輪郭のコントラスト”をもう一押し。
- Layer > New Live Filter Layer > Sharpen > Unsharp Mask
- Radius:0.8〜1.5px、Factor/Amount:0.4〜0.8(※写真による)
- Threshold:2〜5で肌のざらつきを抑制
ライブフィルターなので数値は後で触れます。100%〜150%拡大でチェック。
5) ノイズ処理でザラつきを抑える
シャープを盛るほどノイズが顔を出します。そこで軽く鎮める。
- Layer > New Live Filter Layer > Noise > Denoise
- Luminance:10〜30、Detailsを少し上げると溶け過ぎ防止
- Colorノイズが出ていたら10〜20
「ノイズ抑えすぎるとプラモデル肌」になるので、ディテールが溶けないラインで止めましょう。
6) マスクで“見せたい場所だけ”シャープ
ぶれの回復は全体ではなく部分勝負。目や文字、アクセントになる“ここぞ”に集中投資。
- USMやハイパスのライブフィルターを右クリック→Mask to Below(またはレイヤーにMask Layerを追加)
- Ctrl/Cmd + Iでマスクを反転(真っ黒=効果ゼロ)
- ブラシ(B)で白を選び、不透明度30〜60%、硬さ30〜60%**くらい
- 「目」「口元」「服のロゴ」「看板の文字」など見せ場だけをなぞる
これで“必要な場所だけクッキリ”に。背景はちょい甘いままにしておくと、自然な立体感も出ます。
7) 視線誘導で“ブレ”を目立たなくする小ワザ
完全にブレが消えなくても、視線をコントロールすれば“勝てる”写真になります。
- Brightness/Contrast調整レイヤーで被写体を+5〜+10だけ明るく
- Vignette(ライブフィルター)で四隅を-0.1〜-0.2EV暗く
- Clarity(調整)を被写体に局所的に+5〜+15
- カラーバランスで被写体の暖色をほんのり足す(人肌が生き返る)
全部マスクで部分適用。中心がスッと目に入るだけで“ブレっぽさ”はグッと薄れます。
8) エクスポートで画質キープ
- File > Export
- JPEG:品質85〜90、Embed ICC Profile(sRGB)オン
- Web用なら長辺2000px程度にリサイズすると見栄えとサイズのバランスが良いです。
- 文字がある写真はPNGの方がシャープに見えることも。
シーン別の具体例(ここ効くよ!)
A. 運動会で走る子どもの写真(被写体ブレ+被写界深度浅め)
- ハイパス半径:1.2px前後、Soft Lightで30〜40%
- USM:Radius 1.0 / Amount 0.6 / Threshold 3
- マスクで目・ゼッケンの数字・靴だけ塗る
- 背景はトーンカーブで-0.1EV暗くして主役を押し出す
B. カフェの薄暗いポートレート(手ぶれ+ノイズ)
- DenoiseでLuminance 20〜30、Color 10
- USMは控えめ(Radius 0.8 / Amount 0.4)
- 目・まつ毛・口角のみマスクでシャープ
- 肌はシャープ適用しない。Clarity +10を髪と服にだけ
C. 旅先の夜景(微ブレ+点光源)
- ハイパスはLinear Lightで薄め(不透明度20〜30%)
- USMはThreshold 4〜6でハイライトの“ギラつき”を抑える
- 反射や看板の文字部分を局所シャープ
- Vignetteで周辺-0.2EV、中心に視線を集める
うまくいかない時の“最後の一手”:周波数分離
輪郭の滲みが強い写真はFrequency Separationが効くことがあります。
- Filter > Frequency Separation
- 半径:2〜3px(プレビューで滑らかになりすぎない値)
- 生成された高周波レイヤーだけ選んでUSM(またはハイパスを重ねる)
- 低周波レイヤー側にDenoiseを薄く
→ エッジは締まり、面はなめらか。無理のない“自然回復”に。
失敗あるある(回避メモ)
- ハロ(白フチ)が出る:USMのRadiusを下げる、Thresholdを上げる。不透明度も下げる。
- 肌がざらつく:肌はマスクでシャープ無効に。Denoiseを肌にだけ足す。
- 全体が硬い:ハイパスの描画モードをOverlayに、または不透明度を20〜30%まで落とす。
- まだ甘い:ハイパスとUSMを“少しずつ重ねる”。一発で直そうとしない。
まとめ(心の置きどころ)
ブレは「ゼロに戻す魔法」じゃなくて、「良い印象に仕立て直す技術」。
Affinity Photoなら“ハイパス+USM+ノイズ+部分マスク+視線誘導”で、思い出がちゃんと主役に戻る。それで十分、勝ちです。
焦らず、100%拡大で確かめながら、少しずつ積み上げていきましょう。
はい、今日もいい編集でした!













こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity Photoでブレ写真を救う方法を書きます。