Affinity Photoのオブジェクト選択ツール完全ガイド:一発選択→Refine→マスクで神速切り抜き

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity Photoのオブジェクト選択ツール完全ガイドを書きます。

今日はAffinity Photoの「オブジェクト選択ツールの使い方」を、初心者さんでも“今日から手が迷わない”レベルまで一気に解説します。

切り抜きや部分補正の入口は、いつだっ正確な選択。ここをサクッと決められると、編集がいきなり楽しくなる。じゃ、いきましょう。

Affinity Photoのオブジェクト選択ツール完全ガイド

この記事でやること(全体像)

  1. オブジェクト選択ツールの基礎(どこにある?何ができる?)
  2. 3つの選び方:ドラッグ一発/なげなわ補助/加算・減算の微調整
  3. Refine(境界調整)で“フチを救う”
  4. 被写体だけ明るく・色だけ変える——選択を活かす実践
  5. うまくいかない時のレスキュー(白×白、髪、ガラス)
  6. シーン別レシピ(人物/商品/風景)
  7. 作業を速くする小ワザ(ショートカット&思考法)

どこにある?

ツールバーの選択系ツールのグループに入っています(四角い点線アイコン付近)。

名称はObject Selection Tool(オブジェクト選択)

似た名前でSelection Brush(選択ブラシ)やFlood Selectもあるけど、今日は“範囲を囲むだけで被写体を推定して選んでくれる”お利口さんが主役。

何ができる?

  • ドラッグでザッと囲むと、AIが被写体の輪郭を推定して選択
  • さらにドラッグで足し算(加算)/Alt/Optionで引き算(減算)
  • Snap to edgesが効いて、背景と被写体の境目に吸着
  • 選んだ後にRefineで細かいフチ(髪・布)まで拾える

ポイント:完璧を最初から狙わない。まずは「80点を一瞬で」、その後Refineとマスクで100点に寄せます。

3つの選び方

① ドラッグ一発(長方形で囲う)

  1. オブジェクト選択ツールを選ぶ。
  2. 被写体全体が入るように長方形でドラッグ
  3. ツールが境界を推定して、だいたいの形で選択してくれます。
    使いどころ:人物、商品、コントラストがそれなりにある物体。

② なげなわ補助(自由な形で囲う)

  • コンテキストバーのモードを「なげなわ(自由選択)」に。
  • 被写体の近くをざっくりなぞると、やっぱりAIが境界に吸着。
    使いどころ:形がいびつ/長方形だとはみ出しやすい場合。

③ 足し算・引き算で仕上げる

  • Shift=加算Alt/Option=減算
  • 迷ったら小さめブラシでちょい足し/ちょい引きを繰り返す。
  • 画面上の「スナップ(Snap to edges)」ONで境界沿いにピタッ。
    コツ:拡大100〜150%でエッジ確認。Flow低めの選択ブラシを併用すると失敗が少ない。

Refine(境界調整)で“フチを救う”

選択後、上部のRefineをクリック。別画面で微調整します。

  • View:黒地・白地・オニオンスキンを切り替えて確認
  • Border Width:1〜3px(拾いたい境界の“幅”)
  • Smooth:0〜3でギザ減らし
  • Feather:0.3〜0.8pxで“紙ヤスリ的になじませ”
  • Ramp:±1〜2で境界を内外へ微移動
  • Refineブラシ:髪・ファー・レースなど細かい透けをなぞって拾う
  • OutputNew Layer with Mask(新規レイヤー+マスク)が鉄板

やりすぎ注意:ハロ(白フチ)が出たらFeatherを下げる/Rampを内側へ。最小限の処方で。

選択の“使い道”が本番

被写体だけ明るく・色だけ変える

  • 選択が生きているうちに調整レイヤー(カーブ/露出/HSL)を追加
    自動で選択がマスクに。被写体だけに効く!
  • 色だけ変えたい時は調整レイヤーの描画モード=Colorに。トーン崩れにくい。

背景だけぼかす・暗くする

  • 選択を反転(Ctrl/Cmd+Shift+I)して背景側へ適用
  • **ライブフィルター > ぼかし(ガウス/レンズ)**で背景を少しだけ
  • Vignetteで-0.1〜-0.2EV、視線誘導が一気に洗練

切り抜き・合成の土台に

  • Copy(Ctrl/Cmd+C)→Paste(V)で別ドキュメントへ
  • Export PNG(透過)でサムネやEC画像の素材にも

うまくいかない時のレスキュー

白背景に白い服(白×白)

  • 一時的にカーブでS字強め→境界を“見える化”
  • オブジェクト選択→Refine
  • それでも甘い場合、レイヤーのBlend Rangesハイライト側を軽く削って白背景だけ透過寄りに

髪の毛・ファー

  • 選択→RefineでRefineブラシを毛先に優しく
  • Featherは0.3〜0.6pxRampを+1で内側寄せ→フチが浮きにくい
  • 仕上げにマスクを1px縮小(Select > Grow/Shrink)でハロ隠し

ガラス・半透明

  • オブジェクト選択→Refineのマット(Matte)弱め
  • 出力をマスク付きレイヤーにして、マスクのグレーを筆で調整(半透明を残す)

シーン別レシピ(ここ効く!)

A. 人物ポートレート(背景ぼかし)

  1. オブジェクト選択ツールで人物をドラッグ一発
  2. Refine:Border 2px / Feather 0.5 / Ramp +1、髪はRefineブラシ
  3. 反転して背景へレンズぼかし(半径3〜8)
  4. Vignette -0.15EVColor Balanceで背景を寒色寄り→主役が前に出る

B. EC商品(白ホリで切り抜き)

  1. 商品をドラッグ選択→Refine弱め
  2. Blend Rangesでハイライト側を少しカット(Altで分割)
  3. PNG透過出力、影は別レイヤーでMultiply黒×ガウスの疑似影を薄く

C. 風景で“空だけ差し替え”

  1. オブジェクト選択で空を囲む(雲のエッジはRefine)
  2. 空レイヤーにHSLで青だけ彩度+輝度−、または別の空を下に配置
  3. 地平付近はグラデーションマスクで馴染ませる

速く・キレイに仕上げる小ワザ

  • Shift=加算/Alt=減算は“無意識で押せる”まで練習
  • 100%拡大でエッジ確認→50%に戻して全体の自然さを再確認
  • Refineは最小限:まずBorder 1〜2pxFeather 0.3〜0.6pxから
  • 選択が崩れたらSelect > Smooth(1〜2px)で角を丸める
  • 仕上げにマスクへUSM(ライブフィルター)微量でエッジの芯を戻す(Radius 0.6 / Amount 0.3)

ミニチュートリアル(5分で“おっ”となる)

① 被写体だけ露出+色温度↑

  • オブジェクト選択→被写体を一発選択
  • 露出 +0.2EV/HSLでオレンジ輝度+5
  • 描画モードColorならトーン崩れにくい

② ロゴ入りTシャツのロゴだけ色替え

  • オブジェクト選択でロゴ付近をなげなわ→加算で足していく
  • **HSL(対象色)**の色相を回す→彩度+でポップに
  • はみ出しはAltで減算、最後はマスク筆で手仕上げ

③ 背景の人だけ消す(擬似的)

  • オブジェクト選択で後ろの通行人をサクッと選択
  • 塗りつぶし(内容に応じて)またはぼかし+暗くで目立たなく
  • 細部はクローンで整える(選択があると事故りにくい)

失敗あるある → こう直す

  • フチがギザギザ:RefineのSmooth +1〜2。またはSmooth Selection
  • 白フチが出るRamp +1で内側寄せ→マスク縮小 -1px
  • 選択が暴れるSnap to edges ONなげなわで囲い直す
  • 被写体の一部が欠けるShift加算で“欠けた所だけ”小さく塗り足す
  • 時間が溶ける80点でRefine→マスク筆で5分仕上げ。完璧主義は沼!

まとめ(気持ちの話)

オブジェクト選択ツールは「迷いを飛ばす」最初の一手。

ドラッグ一発で80点、Refineとマスクで100点。
“選ぶのが速い人=仕上がりも安定”です。

最初はうまくいかなくても大丈夫。手が覚えるまで3本編集すれば、もう戻れない快適さになります。今日も良い選択を!