Affinity Photo で歪んだ写真をまっすぐ補正する方法|レンズ補正・パース・メッシュまで完全解説

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 解決方法を書きます。

今日は、Affinity Photoで歪んだ画像をきれいに補正する方法を、
初心者目線で、がっつり丁寧に解説していきます。

Affinity Photo で歪んだ写真をまっすぐ補正する方法

「うわ…ナナメだ…」ってなったことありません?

旅行で撮った、お気に入りの一枚。

  • 青空バックの高層ビル
  • おしゃれカフェの店内
  • 友だちと撮った集合写真

あとでPCで開いてみたら…

  • ビルが台形になってる
  • 壁や棚が微妙にナナメ
  • 広角で撮ったから端っこがビローンと伸びてる

「なんか安っぽく見えるんだよなぁ…」ってやつ。
めちゃくちゃ分かります。サムネに使おうとして、テンション下がるやつです。

でも大丈夫。
Affinity Photoには、これを直すための専用の武器が、ちゃんと揃ってます。

まずざっくり:「歪み」にも種類がある

Affinity Photoで直せる「歪み」は、大きくこんな感じです:

  1. レンズのクセによる歪み(レンズ補正)
    → 広角レンズで、ビルの端っこが外側に膨らむ…みたいなやつ。
  2. 遠近感の歪み(パースペクティブ補正 / 透視投影)
    → 下から見上げたビルが、上に行くほど細く見えるアレ。
  3. 部分的な変形(メッシュワープ)
    → 顔だけ、看板だけ、机のエッジだけ、ちょこっと直したい。
  4. 水平・垂直の傾き(傾き補正)
    → 海の水平線、建物の柱が、微妙に斜めになってるやつ。

この記事では、この4つ+おまけの360度パノラマを、
「どんなシーンで使うか」→「具体的な操作」の順で説明していきます。

1. レンズ補正:まずは「レンズのクセ」をリセットする

こんなシーンで使う

  • 広角レンズで撮った室内が、端っこでぐにゃっと曲がってる
  • 建物のラインが、なんかちょっと丸くなっている気がする
  • Vlogのサムネに使いたいけど、「プロっぽさ」が足りない…

まず最初にやってほしいのが、このレンズ補正です。
ここをサボると、あとでどんなにがんばっても、なんか“素人っぽさ”が残ります。

手順(RAW画像の場合)

  1. Affinity PhotoでRAWファイルを開く
    → すると自動的に「現像スタジオ」が立ち上がります。
  2. 右側のパネルから 「レンズ」パネル を探します。
    「レンズ補正」「ディストーション」などの項目があるはずです。
  3. カメラやレンズに対応したプロファイルがあれば、
    自動で補正がかかることが多いです。
    → 何もしなくても、ビヨーンがスッと落ち着いていることがあります。
  4. 「あれ、全然変わらないぞ?」ってときは
    • メニューから [設定] > [アシスタント] > [現像アシスタント] を開く
    • [デフォルトレンズプロファイル] = [自動選択] になっているかチェック
  5. 自動が合わないときは、
    • 「レンズ補正」をオンにしたりオフにしたりして違いを見比べる
    • 手動のスライダーでディストーションを微調整する

ここは、粘土の形をざっくり整える工程だと思ってください。
まだ細かいことはしない。とりあえず「普通の世界」に戻す感じ。

2. 傾き補正:水平線と垂直線をビシッと揃える

正直、一番コスパがいいのはこれです。
これだけで、写真の「ちゃんとしてる感」が一気に上がります。

典型的なシーン

  • 海の水平線が、ちょっと右肩上がり
  • 建物のドア枠が、わずかに斜めでモヤッとする
  • 室内撮影で、壁のラインが微妙にズレている

手順(切り抜きツールで傾き補正)

  1. 左のツールバーから 「切り抜きツール」 を選択。
  2. 画面上部(コンテキストツールバー)にある
    「傾き補正」ボタン をクリック。
  3. 画像の中で「まっすぐであるべき線」をドラッグでなぞる。
    例:
    • 海の水平線
    • 建物の屋上ライン
    • 室内の棚や机のエッジ
  4. ドラッグを離すと、画像が自動でクルッと回転して、
    その線が水平(または垂直)になるように補正されます。
  5. 周りにできた余白は、切り抜きボックスがいい感じに調整してくれます。
    枠を少し微調整して、[適用] をクリックすればOK。

効果的な例

  • YouTubeサムネで、テキストを載せる背景のビル
    → 傾いていると「なんか雑」に見えます。
    → 傾き補正でビシッと直すだけで、フォントが一段よく見える。
  • 商品レビューで、机の上に置いたガジェット
    → 机のエッジがまっすぐだと、商品まで高級に見えるんですよね…。

3. パースペクティブ補正:ビルの“倒れ込み”を直す

レンズ補正と傾き補正をしても、
遠近感そのものの歪みは残ることがあります。

例えば:

  • 下から見上げた高層ビル
    → 上に行くほど「スーッ」と細くなってる
  • 室内を斜めから撮ったら、壁が台形に見える

これはパースの問題なので、
Affinity Photoの パースペクティブツール の出番です。

パースペクティブツールの使い方

  1. ピクセルスタジオ にいることを確認します。
    (上のタブが「現像」「ピクセル」って分かれてるやつです)
  2. 左のツールバーから 「パースペクティブツール」 を選択。
  3. 画像の上に、四角いグリッド(枠)が出てきます。
    このグリッドのコーナーハンドルをドラッグして、
    「本来まっすぐでいてほしいライン」に合わせていきます。 例:
    • ビルの左右のエッジ
    • 部屋の壁の角
    • ドア枠の上下左右
  4. Shiftキー(⇧)を押しながらドラッグすると、
    垂直・水平方向にスナップされてくれるので、精度を上げたいときに便利。
  5. グリッドの位置が決まったら、
    コンテキストツールバーの [適用] をクリック。

すると、さっきまで「倒れかけていたビル」が、
まっすぐドーン! と立ってくれるわけです。

ライブ投影(透視投影)って何?

もう一歩踏み込んだテクとして、
[ピクセル]メニュー → [ライブ投影] → [透視投影] という機能があります。

ざっくり言うと:

  • パースがついている面(壁とか床とか)を
    一時的に平面にして編集 できる機能。
  • 編集が終わって投影を戻すと、
    その編集内容に合わせていい感じにパースが維持される

例えば:

  • 斜めの看板にテキストを貼りたい
  • 壁のポスターを、まっすぐに描き直したい
  • 机の天板に、新しいロゴを自然に貼り付けたい

みたいなときにめちゃくちゃ便利です。

4. メッシュワープ:部分的に「ちょっとだけ直したい」ときの最終兵器

ここまでは、画像全体の歪みを扱ってきましたが、
「ここだけ、ちょっと変なんだよな…」というときは、メッシュワープです。

使えるシーンの具体例

  • 自撮りしたら、顔がレンズの端でちょっと伸びて見える
  • パノラマ合成で、電柱だけ曲がってる
  • 商品写真で、箱の角がちょっと凹んで見える

全体をいじると他が崩れるので、
その部分だけ、チョイっと直したいときに最適。

メッシュワープの使い方(破壊的な適用)

  1. ピクセルスタジオで、
    左のツールバーから 「メッシュワープツール」 を選択。
  2. 画像の上に、格子状のメッシュが出ます。
    このメッシュが「柔らかい透明のビニールシート」だと思ってください。
  3. メッシュの端をダブルクリックしてラインを増やしたり、
    メッシュの中をダブルクリックして**ノード(点)**を追加できます。
  4. 直したい部分の周りに、細かくノードを配置しておくと、
    そこだけをピンポイントで動かしやすくなります。
  5. ノード、ノードのコーナーハンドル、ライン、
    あるいはパッチ(格子の1マス)をドラッグして、
    「いい感じの形」に調整します。
  6. OKなら、コンテキストツールバーの [適用] で確定。

これは破壊的編集なので、
後からやり直したい場合は、履歴に戻るしかありません。

非破壊的にやりたいとき(ライブフィルター)

慎重派のあなたにはこちら:

  • メニューから
    [Pixel] > [New Live Filter Layer] > [Distort] > [Mesh Warp] を選択。

ライブフィルターとして乗せれば、

  • 後からメッシュを編集し直せる
  • かけ具合のオン/オフが簡単
  • 他のレタッチと一緒に調整しやすい

というメリットがあります。
こっちを覚えておくと、「プロっぽい編集」に一気に近づきます。

5. おまけ:360度パノラマの傾き補正

もし、360×180の正距円筒パノラマを扱っているなら、
Affinity Photoにはこれ専用の傾き補正もあります。

こんなときに使う

  • 室内の360度写真を撮ったら、
    全体的にちょっと傾いていて、酔いそうになる…
  • VR用のパノラマ画像を、ちゃんと水平にしたい

手順

  1. ピクセルスタジオで、パノラマ画像を
    ライブ投影ビューで表示している状態にします。
  2. 画面上部のコンテキストツールバーに、
    [傾き補正] が出ているはずです。
  3. この [傾き補正] の値ボックスをドラッグするか、
    角度を数字で入力することで、水平を調整できます。

360度画像って、少しの傾きでも違和感がすごいので、
ここを整えておくだけで、見た目の快適さが全然変わります。

実際のワークフロー例(おすすめ順)

「で、結局どの順番でやればいいの?」というあなたに、
個人的おすすめ流れをまとめます。

  1. RAWならレンズ補正(現像スタジオ)
    → レンズのクセをまずリセット。
  2. 傾き補正(切り抜きツール)
    → 水平・垂直をビシッと整える。
    → この時点で、かなり“ちゃんとしてる写真”になります。
  3. パースペクティブ補正
    → ビルや室内の遠近感を整えて、
    「プロが撮ったみたいな」印象に。
  4. 必要ならメッシュワープで微調整
    → 端っこの歪み、顔の伸び、看板などを
    ピンポイントで直す。
  5. (360パノラマなら)ライブ投影中に傾き補正

この流れでやると、
最初は「なんかモヤっとする画像」が、
最後にはサムネやブログに堂々と貼れる一枚になります。

動画やブログで使うときの“おいしいシーン”

実際の制作目線で、
「ここで歪み補正をすると効果デカいよ!」というポイントも挙げておきます。

  • Before / After を見せるBロール
    → ビルが倒れているBefore
    → パース補正してビシッとしたAfter
    → これだけで「編集してる感」「仕事してる感」が出ます。
  • ブログのアイキャッチ画像
    → タイトルテキストの背景になる写真は、とにかく水平が命。
    → 傾き補正+パース補正で、文字が読みやすく、印象も強くなる。
  • 商品レビューのトップ画像
    → ガジェットを正面から撮った写真のパースが狂ってると、
    なんか「安っぽく」見えます。
    → パースペクティブ+メッシュで箱や本体を整えると、
    高級感が一段アップします。

まとめ:Affinity Photoは「粘土いじり」だと思うと楽しい

最後にイメージだけ。

歪み補正のいろんなツールは、
まるで陶芸家が粘土をこねるみたいなものです。

  • レンズ補正で、土台の形をざっくり整えて
  • 傾き補正で、台座をまっすぐにして
  • パース補正で、全体のバランスを整えて
  • メッシュワープで、細部をちょこっとつまんで整形する

完璧にやろうとしすぎず、
「お、さっきよりちょっと良くなったな」くらいを積み重ねていくと、
いつの間にか**“それっぽい仕上がり”**になっています。

ぜひ、1枚お気に入りの写真を開いて、
今日紹介した順番で、いじってみてください。