いや〜、DaVinci Resolveってさ、編集してる時はめちゃくちゃ綺麗なのに、いざ書き出したら「あれ?なんかボヤけた…」ってなったこと、ありません?
僕も最初のころ、何度もありました。編集中は高画質なのに、書き出すと“のっぺり”して見える。これ、実は書き出し設定が原因なんです。
というわけで今回は、
「動画を何倍も綺麗に書き出す方法」について、僕が実際にやっている設定を“根拠付き”で解説していきます。
🎥 DaVinci Resolveで“何倍も綺麗”に書き出す方法!完全マニュアル(保存版)
DaVinci Resolveで書き出し設定を行うのはデリバーページです。ページの左サイドバーには数多くの設定項目が並んでいますが、注意すべきポイントはわずかです。

書き出しは「Deliverページ」で!
Resolveには「Quick Export」っていうお手軽ボタンもあるんですが…
正直あれ、便利な反面、自動圧縮がキツめなんですよ。ファイルサイズは軽くなるけど、その分、画質が劣化します。
なので僕はいつも「Deliverページ」でカスタム設定から書き出しています。
ここで自分好みに最適化すると、ほんとに見違えるほど綺麗になります。
フォーマットとコーデックの選び方
まず「フォーマット」は
▶ QuickTime か MP4。
YouTube的にはMP4が推奨なんですが、僕はQuickTime派です。汎用性が高く、トラブルが少ない。
で、「コーデック」は超重要。
- H.264 → 標準的で汎用性が高い
- H.265 → 新世代の高効率コーデック(おすすめ!)
H.265はH.264の約2倍の圧縮率で、画質を落とさずファイルサイズを半分くらいにできます。
なので僕は QuickTime × H.265 で書き出すことが多いです。容量節約&高画質の両取り!
タイムライン設定を“合わせる”のが超大事
これ、ほんとに重要ポイントです。
プロジェクト設定・タイムライン解像度・書き出し解像度、
この3つを全部同じにしておくこと。
例えば素材が4Kなら:
- タイムライン → 4K
- プロジェクト設定 → 4K
- 書き出し設定 → 4K
どれか一つでもズレてると、ぼやけたりノイズが出たりします。
ここを揃えるだけで、画質の“抜け感”が全然違うんですよ。
ビットレート設定で画質が決まる!
はい、来ました。画質を左右する一番のキモ。
ビットレートとは、1秒あたりに使うデータ量のこと。これが低いと、情報が削られてモヤっとした映像になります。
自動設定でも動くけど、Resolveはファイルを軽くしようとしすぎる傾向があるので、手動で指定するのがオススメ。
🔧目安はこれ!
フレームレート × 2000
例:24fps → 24×2000=48,000kbps(約48Mbps)
YouTubeの推奨値(4Kの場合)は35〜45Mbps。
僕はちょい高めの48Mbps〜50Mbpsにしてます。
“ちょい高め”が、仕上がりを左右するんですよ。
時間はかかるけど「マルチパスエンコード」で品質アップ
もしビットレートを自動にする場合は、
「マルチパスエンコード」にチェックを入れてください。
これをONにすると、Resolveが一度全体を分析してから最適な圧縮をかけてくれるので、
ファイルサイズを抑えつつも、クオリティが落ちにくくなります。
書き出し時間はちょっと長くなりますが、
「え、これ本当に同じ映像?」っていうくらい差が出ます。
Apple ProResで“ほぼ無劣化”書き出しも可能
もし「もう圧縮したくない!最高画質で残したい!」という方は、
コーデックをApple ProRes 422 HQにしましょう。
これは“低圧縮”のプロ向けフォーマットで、
H.264やH.265よりも容量は大きいけど、画質の劣化がほぼありません。放送品質を求められる場合や、業務納品時クオリティです。
アーカイブ用や、別ソフトで再編集する予定がある場合にぴったりです。

映像制作会社や放送局とのやり取りにはProResが定番。Resolveの無料版ではProResが使えない場合もあるので要注意。
カラースペースと品質オプションもチェック!
細かい話になりますが、
「詳細設定」の中にあるカラースペースを「Rec.709」などにしておくと、
YouTube再生時に色が変になるトラブルを防げます。
さらに、
✅「最高品質にサイズ調整」
✅「最高品質ディベイヤー」
この2つにチェックを入れておくと、
フルHDタイムラインに4K素材を入れている場合などでも、
元の画質を最大限保ったまま縮小できます。
縦動画にしたい時の裏ワザ
最近はショート動画も増えてきましたよね。
そんなときは、タイムライン設定の中で
「Use Vertical Resolution」 をONにするだけ。
これで一瞬で縦画面に変わります。
デリバーページでも同じ設定にしておけば、
縦動画の書き出しも簡単!
プリセット登録で“次回から一瞬”
ここまで設定したら、最後にぜひやってほしいのが「プリセット保存」です。
右上のアイコンから「新規プリセットとして保存」。
これを一度作っておくと、次からは1クリックで呼び出せます。
作業スピードが段違いですよ。
まとめ:「なぜこの設定で高画質になるのか?」
ここまで読んで「いや、なんでこれで綺麗になるの?」と思った方へ。
理由はシンプルで、
- ビットレートを自分で決めることで情報量を保つ
- 解像度とタイムラインを統一して劣化を防ぐ
- H.265やProResなど、圧縮効率の高いコーデックを選ぶ
この3つを意識することで、
“必要な情報を削らずに圧縮”できるんです。
つまり、同じ映像でも「情報密度」が違う。
だから“何倍も綺麗”に見えるというわけです。
🎬 なぜこの設定で高画質に書き出せるのか?
ここまで読んで、「いや、結局なんでこの設定にすると高画質になるの?」と思った方。
はい、そこ、めちゃくちゃ大事です。
ただ言われた通りに設定を真似しても、その意味を理解していないと応用が効かないんですよね。
映像って、実は“情報の塊”なんです。
どれだけ撮影が上手くても、書き出し時にその情報を削ってしまったら、もう戻らない。
だからこそ、「なぜこの設定にすると綺麗になるのか」をちゃんと理解しておくことが大事なんです。
① H.265は、H.264の進化版
まずはコーデックの話から。
「H.265(HEVC)」って、最近よく聞くと思いますが、これは「H.264」の次世代バージョンです。
ざっくり言うと、
同じ画質ならファイル容量が半分
同じ容量なら画質が倍
という、魔法みたいな圧縮技術なんです。
つまり、映像の情報をほとんど削らずに軽くできる。
これによって、グラデーションのなめらかさとか、暗いシーンのディテールがしっかり残るんです。
特に夜景や室内シーンでは違いが顕著。
H.264だと黒の中の階調が潰れてベタッとしがちなんですが、H.265は**「黒の中の黒」まで描き分ける**感じ。
ほんのわずかな明暗差まできっちり残してくれます。
たとえるなら、
- H.264 = JPEG 画像(昔ながらの圧縮)
- H.265 = HEIF 画像(iPhoneの高効率形式)
どちらも見た目は似てるけど、中に詰まってる情報量が全然違うんですよ。
② ビットレートを固定にすることで、情報量を確保できる
次に重要なのが「ビットレート」。
これは、1秒間にどれだけの映像データを流すかを決める値。
自動ビットレート(VBR)にしていると、DaVinciが勝手に「ここは軽くていいや」と判断して圧縮しすぎることがあります。
結果、動きの多いシーンでモヤモヤしたノイズが出たり、暗部が潰れたり…。
でも、手動で固定ビットレート(CBR)にすると、1秒あたりの情報量が安定するんです。
だから全体を通して画質が均一で、特にグレーディング後の繊細な色の階調がしっかり出ます。
夜の街を撮った映像とか、淡いグラデーションの空とか。
固定ビットレートにしておくだけで、「え、これ同じ素材?」ってくらい差が出ます。
③ タイムライン解像度と書き出し解像度を一致させる意味
これも地味だけど超重要。
タイムラインがフルHDなのに、書き出しだけ4Kにしてる人、多いんですよ。
でもそれ、実はただの引き伸ばしです。
ソフトが勝手にアップスケールしてるだけで、解像度が増えたわけじゃない。
一方で、最初からタイムラインも4Kにしておくと、
素材のピクセル情報をそのまま生かしたまま出力できます。
つまり、撮影時にセンサーが拾った“本当の細部”が消えない。
これが、「解像感が全然違う」と感じる理由なんです。
プロの現場では、素材・タイムライン・書き出し設定を全部合わせるのが当たり前。
でも、これを知らない初心者の方は意外と多いんですよね。
④ マルチパスエンコードは“2回書き出し”で最適化してくれる
「マルチパスエンコード」って名前が小難しいんですが、やってることはすごく理にかなってます。
1回目で映像全体を分析して、
「ここは動きが多いからビットレート多め」
「ここは静止してるから軽めでいい」
と、シーンごとにデータの配分を最適化。
そして2回目でその結果を反映して本番の書き出しをする。
つまり、無駄なく・破綻なく・綺麗に圧縮できるということ。
これをONにするだけで、ビットレートのムラがなくなり、動きのあるシーンでも破綻が起きづらくなります。
その分、書き出しに時間はかかりますが、画質優先の人は絶対ON推奨です。
⑤ Apple ProResは「非圧縮に近い究極の中間コーデック」
最後に、もしあなたが「最高の画質で残したい」と思うなら、Apple ProResも選択肢に入ります。
H.264やH.265が「配信用」の圧縮形式だとしたら、
ProResは「マスター用」の保存形式。
圧縮がほぼ入らないので、色も階調もそのまま残る。
映像編集で再グレーディングしたいときや、映画・CMレベルの品質を目指す場合には、これが最適です。
ただしファイルサイズは巨大。
YouTubeにそのままアップするには向いてません。
でも、「作品として残す」映像には、ProRes 422 HQ や 4444 XQ が最強です。
🔍 まとめ:この方式が高画質になる理由
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| H.265 コーデック | 高効率圧縮で情報量を保持 |
| 固定ビットレート | 全フレームで安定した画質を確保 |
| 解像度一致設定 | 元素材のピクセル情報を最大限活かす |
| マルチパスエンコード | 圧縮を最適化して破綻を防ぐ |
| ProRes(必要に応じて) | 非圧縮に近い品質でマスター保存が可能 |
💬 最後に一言
動画の書き出し設定って、
正直、最初はちょっと面倒くさいです。
でも、ここを丁寧にやるだけで、同じ映像でも「別物レベル」に綺麗になります。
映像の“綺麗さ”って、カメラの性能じゃなくて、
「どれだけ元の情報を削らずに届けられるか」で決まるんですよね。
だから、あなたがDaVinci Resolveを使っていて、
「なんかYouTubeに上げると画質落ちるな…」と思ったら、
それは撮影でも編集でもなく、“書き出し設定”が原因かもしれません。
正しい設定を覚えれば、もう“ボケッとした画質”には戻れません。
一度この違いを体験したら、きっとあなたも同じことを思うはずです。
「うわ…なんで最初からこうしてなかったんだろう」って。













こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。DaVinci Resolve で高画質レンダリングを書きます。