撮影の腕を上げたいと思ったことありませんか。
撮影にはセオリーがあります。
セオリーを頭に入れることで伝えたい絵が撮れるようになります。
そのセオリーがきっちり詰まった教科書を教えます。
カメラテクニックを学ぶ「マスターショット100」
撮影術を100の事例を元に解説した本です。
撮影術といっても露出を変えたり、照明に凝ったりするようなガイドではありません。
限られた予算の中でオリジナリティあふれたショットを撮るためのアイデアを体系化した教科書です。
内容は非常わかりやすく実用的です。
例えば「不安な雰囲気を表現するにはどのレンズをどの方向から向け、どう動くと効果的か?」など、表題と事例それに効果が左ページで説明。右ページには具体的な構図やカメラの動きが絵解きされています。
演出家の頭の中にある意図をもっとも的確かつ費用をかけずに映像化するためには、小手先のテクニックではない方法論があることがわかります。
プルアウト・リピール
たとえば「カメラを引いて新事実を開示」(122ページ)という項目があります。
この撮り方はドラマの撮影にとどまらず、さまざまな場面で応用の利く撮影法です。
カメラが演者(の表情をとらえながら)とともに動いています。
そして、そこで起きている出来事が演者の目にとまったところで、カメラの動きはほとんど停止する。
ほんの少し(30センチから60センチ)ほど後退しながら、カメラは通り過ぎる演者を追う。パンをした画面には演者越しに出来事が見えてくる。
こうしたカメラワークはドキュメンタリーの撮影などでもよく使われます。
撮影対象の人の紹介、アクション、その場所の説明、その場所で起きている出来事などが一筆書きのように短いシーンの中で表現できるからです。
チェインジ・オブ・ダイレクション
同じようなことが「カメラの方向転換」(158ページ)でも語られています。
その場所の雰囲気が物語の重要な要素となる場合は、演者のモーションを利用してカメラを動かし、その場の全貌を見せることが重要です。
風景全部とまではいかなくても、左右両方向を見せることで観客は風景全体を見たような気分になれます。
ハイト・チェンジ
会話シーンで人物が向かい合っているだけではつまらない。
有能な監督ならば常に興味深い立ち位置で会話するよう工夫するものだ。
「それぞれ違う高さから人物をとらえる」(194ページ)ではショットと演者の位置関係が語られています。
異なった長さのレンズで撮ったショットを交互に繋ぐのは、ふつううまく機能しない場合がほとんどだが、お互いの高さが違うなら別。より痛烈に描きたい方の人物を短めの標準レンズでとらえれは゛微妙な歪を与え、その動きを大げさに表現することができるだろう。
まとめ
映画製作を志す人に向けた事例が多い本です。
カメラマンだけでなく演出を志す人が読んでも役に立つことから、放送局に近い書店では常時在庫を切らさないようにそろえている本の一つです。
放送局時代によく聞いたのが「番組は論理で、編集は感性で」という言葉です。
仕事の腕を上げたいのなら、趣味のカメラマンや映像マニアになるなということです。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 マスターショット100 を書きます。