「うわ、この動画いい感じに撮れたじゃん!…ん?
なんか顔が暗い。背景だけやたら明るい。コントラスト強すぎてホラー映画?」
はい、それ全部 「コントラストと照明」問題 です。
しかもやっかいなことに、撮影のときも起きるし、編集のときもやらかしがち。
今回は、Affinity Photo を使って、
- 白飛び地獄
- コントラスト強すぎホラー顔
- のっぺり・モヤっとした逆光写真
こういうのを、ちゃんと“救える”ようになるための
「コントラストと照明の問題解決ガイド」 を、瀬戸さんっぽくゆるめに、でも中身はガチでお届けします。
動画クリエイターのためのAffinity Photo活用術|コントラストと照明調整でサムネと静止画をプロ級にする
まずは「あるある3つ」を写真編集に置きかえる
🎥 1. 「明るくしたら白飛び地獄」問題
暗いからって「明るさ」「露出」を雑に上げると、
肌も空も真っ白に溶けていきます…。
Affinity Photo 的には:
- ハイライトが飛んで
- ヒストグラムの右端に情報がベタッと張り付いてる状態
これを防ぐ/直すのが、
現像スタジオの露出・ハイライト・シャドウ調整です。
🌗 2. 「コントラスト強すぎてホラー感」問題
「もっと引き締めたいんだよ!」って気持ちで
コントラストをガンッと上げると…
- 目の下のクマが真っ黒
- 片側の顔がほぼ闇
- 背景だけめちゃくちゃ鮮やか
みたいな、“意図しないサスペンス感”が出てきます。
ここは 中間調をどう扱うか がポイント。
Affinity なら カーブ と 明瞭度(局所コントラスト) が大活躍します。
💡 3. 「三点照明って何それおいしいの?」問題
撮影時に三点照明を使えれば理想ですが、
現実は「天井の照明だけ」「デスクライト一個」みたいなことも多いですよね。
Affinity Photo では、
「照明フィルター」や「かすみの除去」 を使って、
- 足りない光を後から足したり
- モヤっとした逆光をクリアにしたり
“なんちゃって三点照明”的な補正ができます。
ステップ1:RAWなら「現像スタジオ」で土台作り
まず、RAW で撮っている人向け。
Affinity Photo で RAW を開くと、自動で 現像スタジオ(Develop Persona) に入ります。
ここでいきなりやりたいのは…
① クリッピング警告をオンにする
画面上部あたりにある
- 「ハイライトクリップ」
- 「シャドウクリップ」
みたいなアイコンをオンにすると、
- 飛んでいるところ → 赤
- つぶれているところ → 青
で教えてくれます。
✔ これを見ながら調整するだけで
「明るくしたら白飛び地獄」からだいぶ解放されます。
② 基本パネルで「白飛びしない明るさ」を探る
[基本] や [色調] パネルを開いて、- 露出:全体の明るさ
- ハイライト:明るい部分だけ
- シャドウ:暗い部分だけ
- 黒レベル/黒点:黒の締まり具合
- コントラスト:全体のメリハリ
このあたりを順番に触っていきます。
実践の流れ(例:暗い室内トーク)
- まず露出を少しだけ上げて、全体を見やすく
- 赤いハイライト警告が出たら、ハイライトを下げる
- 顔がまだ暗ければ、シャドウを上げる
- 黒がゆるいなと思ったら、黒レベルを少しだけ下げる
- 最後にコントラストで微調整
ここでのゴールは、
- 白飛び・黒つぶれがなるべく少なくて
- 顔のディテールが見えている状態
です。
“完璧な仕上がり”じゃなくていいので、あとでいじれる土台をつくる感覚。
ステップ2:トーンマッピングで「暗いのに白飛び」なシーンを救う
HDR 合成した 32bit 画像や、
ダイナミックレンジが広い写真の仕上げには
トーンマッピングスタジオがめちゃくちゃ強いです。
どんな写真に効く?
- 窓際で撮った人物 → 窓は真っ白、顔は暗い
- 夕焼けの風景 → 空は綺麗だけど、街並みが真っ黒
- 夜景 → 看板はギラギラ、建物はのっぺり
トーンマッピングの基本パラメータ
トーンマッピングスタジオを開くと、いろいろスライダーが並びますが、
まず覚えておきたいのはこのあたり:
- トーン圧縮
→ ダイナミックレンジをどれくらい“ギュッ”と詰めるか - 露出
→ 全体の明るさ - 黒点
→ どこから“黒”として扱うか - 明るさ(中間調)
→ 影でもハイライトでもない部分の明るさ - コントラスト
→ 全体のメリハリ - シャドウ/ハイライト
→ それぞれの部分を個別に調整 - 局所コントラスト/明瞭度
→ 立体感・質感を出す担当
例:逆光のトーク写真を救う
- トーン圧縮を少し上げて、明暗差をなだらかに
- 露出を微調整して、全体が暗すぎないように
- ハイライトを下げて、窓の白飛びを抑える
- シャドウを上げて、顔の表情を出す
- 黒点・コントラストで全体をキュッと締める
- 明瞭度をちょっとだけ上げて、のっぺり感を解消
※ 明瞭度や局所コントラストは上げすぎると
一気に「HDRっぽい不自然な絵」になるので、“ちょっと物足りないくらい”で止めるのが吉です。
ステップ3:通常の写真は「調整レイヤー」でやさしく整える
RAW じゃない JPEG や、
すでにある程度仕上がった写真をちょっとだけ整えたいときは、
調整レイヤーが便利です。
よく使う調整レイヤー
- 明るさ/コントラスト
- レベル
- カーブ
- シャドウ/ハイライト
- 自動コントラスト/自動レベル/自動カラー
ワンクリ「自動」系
- 時間がないとき
- ざっくり“いい感じ”が欲しいとき
に 自動コントラスト / 自動レベル をポンと乗せてみると、
「おっ、ちょっと見やすくなった」となることが多いです。
そこから、
- レイヤーの不透明度で効き具合を弱める
- 不自然なところだけマスクで消す
みたいに追い込んでいくと、
速さと自然さのバランスが取りやすいです。
カーブで「ホラー顔」を回避する
コントラストを一括で上げるとホラー感が出るときは、カーブの出番。
- 調整レイヤーの「カーブ」を追加
- だいたい真ん中あたり(中間調)をほんの少し上に持ち上げる
- 左下(シャドウ側)を少しだけ下げる
- ハイライト側はあまり触りすぎない
これで、
- 顔の影は少し明るくなり
- でも、全体のメリハリは失わない
という、“しっとり系コントラスト”にできます。
ステップ4:照明フィルターで「光をあとから足す」
「三点照明が組めなかった…」
そんなときに助けてくれるのが [照明] フィルター です。
こんな写真に効く
- 顔が全体に暗くて、背景だけ明るい
- 横からの光が強すぎて、片側の顔が真っ黒
- 天井の蛍光灯だけで撮ったら、変な影が落ちている
使い方のイメージ
フィルター > 照明を選択(ライブフィルターとして追加すると非破壊で安心)- 「スポットライト」や「ポイントライト」を追加
- 光の位置を顔の少し上・斜めからあてるイメージで配置
- 強さ・範囲・柔らかさ(フォールオフ)を調整
- 全体が明るくなりすぎたら、露出や強さを下げる
ポイント
「元の光を無かったことにする」のではなく、
“足りない方向から補助光を足す”感覚で使うと自然に仕上がります。
ステップ5:かすみの除去で「モヤっと逆光」をシャキッと
風景や外ロケでよくあるのが、
「逆光+空気中のかすみ」で、全体が白っぽくて締まらない写真。
Affinity Photo の [かすみの除去](Dehaze)フィルター で、これをかなり救えます。
使い方
フィルター > かすみの除去を選択- 距離:どのくらい奥のかすみまで取るか
- 強度:かすみ除去の強さ
- 露出補正:暗くなりすぎたら少し持ち上げる
夕景や逆光のシーンでこれをちょっとだけかけてあげると、
- 空はそのまま美しく
- 手前の街並みや人物がクッキリ
いい意味で“動画の LUT を軽く当てた”くらいの変化が出ます。
ステップ6:明瞭度(Clarity)で「ディテールだけ」締める
最後の仕上げで使いやすいのが、
シャープ化系にある 「明瞭度」。
これは、全体のコントラストではなく
**「局所的なコントラスト」**を上げて、ディテール感を出すものです。
こんなときに
- 顔や服の質感をちょっとだけハッキリさせたい
- 風景写真の岩・木・建物のディテールを際立たせたい
- かすみの除去をしたあと、さらにキリッとさせたい
やりすぎ注意ポイント
明瞭度を上げすぎると:
- 目の下のクマ
- 肌荒れ
- シワ
こういう “出てほしくないディテール” まで元気に出てきます…。
なので、基本は
- レイヤー全体に明瞭度をかける
- レイヤーマスクで、肌の部分だけ効果を弱める or 消す
これだけで、“プロっぽい質感”にかなり近づきます。
「三点照明の考え方」を編集で再現するイメージ
動画の三点照明って、
- キーライト(メインの光)
- フィルライト(影をやわらげる光)
- バックライト(輪郭を出す光)
って構成ですよね。
これを Affinity Photo 的にざっくり対応づけると:
- キーライト → 露出・ハイライト・トーンマッピング
- フィルライト → シャドウ調整・カーブ・照明フィルター(弱め)
- バックライト → 背景だけ明るくする調整レイヤー+マスク
という感じで、
調整レイヤーとマスクを組み合わせて、光を“設計”していくイメージです。
今日からできる「小さな一歩」
いきなり全部覚えようとしなくて大丈夫です。
まずは、こんな感じで試してみてください。
- ちょっと暗い室内写真を開く
- 現像スタジオで、クリッピング表示をオンにして
「飛ばさず・つぶさず」を意識しながら
露出・ハイライト・シャドウだけ触ってみる - 仕上げに、カーブと明瞭度を“控えめ”に追加してみる
これだけでも、
「え、こんなに変わるの?」ってなるはずです。
コントラストと照明は、
“なんとなく明るくする”ものじゃなくて、“設計する”もの。
Affinity Photo をうまく使って、
あなたの動画やサムネ、ブログ用の写真を
一段階どころか、二段階くらいレベルアップさせちゃいましょう。












こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Affinity Photo活用術|コントラストと照明調整を書きます。