YouTube動画を作っていて、地味〜に時間を持っていかれる作業があります。
画像素材探しです。
いや、これね。
「画像を何枚か探すだけでしょ?」
と思うじゃないですか。
違うんですよ。
その“何枚か”が全然見つからないんですよ(笑)。
素材サイトを開いて検索。「うーん、なんか違う」
検索ワードを変更。またスクロール。
「これ格好いいけど、今回の動画にはちょっと強すぎるな……」
気がつけば30分。下手すると1時間。
動画編集より素材探ししてるじゃん!
みたいなことが普通に起きます。
ところが今回、Gensparkに完成した動画台本をそのまま渡して、背景画像探しをお願いしてみました。
これが想像していた以上にすごかった。
単に台本に書かれている単語から画像を検索するんじゃないんです。
台本を読んで、シーンの意味を考えて、その動画で実際に使えそうな画像を選んでくる。
さらに、動画全体の世界観まで揃えようとしてくれる。
いやあ。
これはちょっと、素材探しのやり方が変わるかもしれません。
今回Gensparkに渡したのは、恩田陸作品「理瀬編」の解説台本
今回用意したのは、作家・恩田陸さんの作品を解説するYouTube動画の台本です。
恩田陸作品を読み解いていく企画の第2回。
今回取り上げたのが、僕が「理瀬編」と呼んでいる作品群です。
中心になるのは、水野理瀬という少女。
ただ、このシリーズがおもしろいのは、単純に「主人公・理瀬の物語」を追えば終わり、という作品ではないところなんですよね。
読み進めていくと、
理瀬はいったい何者なのか。
どこから来たのか。
誰と誰がつながっているのか。
主人公の出自や、人物の系譜を理解することが作品の読み味につながっていきます。
つまり今回の動画では、本を順番に紹介するだけではありません。
「理瀬を中心に、作品の背後に流れている“血”や“一族”のつながりをどう読むか」
ここまで踏み込んだ構成にしています。
これ、今回の画像探しではかなり重要なポイントでした。
なぜなら、
「学園」と書いてあるから学校の写真。
「血」と書いてあるから血液の写真。
「一族」と書いてあるから家族写真。
……では、ちょっと違うんですよ。
欲しかったのは、物語をそのまま説明してしまう写真ではなく、
閉ざされた空気。
不穏さ。
血のつながり。
逃れられない宿命。
そういうものを、ナレーションの後ろで静かに感じさせる画像です。
さて。
こんな台本をGensparkに渡したら、どんな画像を探してくるのか。
ここからが、おもしろいところです。
僕がやったのは「台本と参考画像を渡す」だけ
僕の場合、まずClaudeで動画台本を作りました。
完成した台本をMarkdown形式で保存して、Gensparkに添付します。
さらに、
「こういう雰囲気の動画にしたい」
という参考画像も一緒に渡しました。
実際のお願いは、だいたいこんな内容です。
作りたいのは、すでに公開しているYouTube動画に近い作風の動画です。話者の語りによるポッドキャスト動画に近い演出で、取り上げる作家の世界観を邪魔しない抽象的な画像を使いたいです。台本の入ったmdファイルと、参考イメージ画像を添付します。


これだけ。
「foggy gothic mysterious background dark red」みたいな検索ワードを延々考えたわけじゃありません。
普通の日本語で「こういう動画を作りたい」と相談しただけです。

▲ 台本ファイルと参考画像を添付して、普通の言葉で動画の方向性を伝えた。細かな画像検索キーワードまでは指定していない。
いきなり「動画全体のビジュアル方針」を作り始めた
で、ここからです。
僕としては、
「台本に合いそうな画像を何枚か探してくれるんだろうな」
くらいに思っていました。
ところがGensparkは、いきなり画像検索を始めませんでした。
まず台本と参考画像を分析して、動画全体のビジュアル方針を整理したんです。
今回提示された方向性がこちら。
- モノクローム〜深紅のアクセント
- 抽象的・耽美・ゴシック
- ひび割れ・霧・インク滲み・コラージュ感
- 語りの邪魔をしない暗めのトーン
- 具体的すぎる人物や場所は避ける
なるほどなあ。
素材を探す前に「どういう素材を選ぶべきか」を決めてるんですよ。
これ、実際の動画制作でも大事なところです。
素材サイトでいきなり、
「湿原」
「ゴシック」
「赤い背景」
なんて検索し始めると、1枚1枚は格好よくても、全部並べたときに、
なんか違う動画が5本くらい混ざってる。
みたいなことが起きます(笑)。
Gensparkは先に、
「今回の動画では、このルールで画像を選びましょう」
と決めている。
だから素材を並べたときにも世界観を統一しやすいんです。

▲ 参考画像から色調、質感、トーンまで分析。「モノクローム〜深紅」「抽象的・耽美・ゴシック」など、素材選びの基準を先に言語化してくれた。
ここまで来ると、単なる画像検索ツールというより、
ちょっとアートディレクターっぽい。
「台本の意味」を読んで画像を探している
そして今回、一番「おおお……」となったのがここです。
Gensparkは台本を章ごとに読み、
「この場面なら、こういう画像が合います」
とシーン別に候補を出してきました。
たとえばオープニング。
「不思議なミステリーの世界へようこそ」
という導入に対して、
ゴシック建築のシルエット×夜空。
夜、静寂、神秘的な幕開け。
そういう役割を持つ画像として提案しています。元資料2ページでも、番組の世界観を一発で表現する候補として提示されています。
でも、もっと「おおっ」となったのが第一章です。
台本には、
「断崖の上、湿原に囲まれた、美しく、そして、どこか不穏な場所」
というくだりがあります。
これに対してGensparkが最推薦したのが——

▲ 「閉ざされた学園」「湿原」「不穏」という台本の文脈からGensparkが最推薦した画像。霧に包まれた静かな湿原が、物語の空気を説明しすぎずに伝えている。
これなんですよ。
「学校が舞台です」
だから、
学校の写真を出しました。
じゃない。
「湿原」「閉ざされた場所」「美しいけれど不穏」という複数の情報をまとめて、
霧に包まれた湿原
という画に持っていっている。
つまり、
文章 → 文脈 → 感情 → ビジュアル
という変換をやっているんです。
ここが普通の素材検索とかなり違うところでした。
「血」を、ただ赤い画像として処理しなかった
そして今回の理瀬編で、さらに重要なのが「血」です。
この「血」は単なるホラー的な演出ワードではありません。
理瀬は何者なのか。
どんな血を引いているのか。
その人物の系譜が、ほかの人物や作品とどうつながっていくのか。
つまり、
主人公の出自、一族、系譜、宿命。
それらを読み解くためのテーマとして「血」が出てきます。
だから僕としても、
血液そのものの写真が欲しいわけではありません。
欲しいのは、
血筋。継承。一族。逃れられないつながり。
そういうイメージです。
で。
Gensparkが第三章のメインとして最推薦してきたのが——

▲ 第三章「血」に対してGensparkが最推薦した画像。具体的な血液を見せるのではなく、赤という色と抽象的な質感で「血・宿命」というテーマを表現している。
赤を主役にした抽象アート。
ここ、すごくいいと思いました。
血液そのものを出すと、意味が具体的になりすぎるんですよ。
でも今回の動画で語りたいのは、もっと抽象的な「血」です。
一族に流れるもの。
受け継がれるもの。
逃れようとしてもつながっているもの。
だから、こういう抽象画のほうが語りを邪魔しない。
「血の系譜」から“一族の樹”まで連想してきた
さらにおもしろかった画像があります。

▲ 「血の系譜」「一族」という文脈に対して提示された赤黒の樹。枝分かれする樹を、一族の系譜の比喩として使っている。
これを見たとき、
「あ、単語じゃなくて台本を読んでるな」
と思いました。
「血」から赤を連想する。
ここまでは、まあ分かります。
でも、
血 → 血筋 → 一族 → 系譜 → 枝分かれする樹
というところまで行っている。
これが今回、Gensparkに一番感心したところかもしれません。
欲しいのは「台本に書いてある物体の写真」じゃないんですよね。
そのシーンで視聴者に何を感じてもらいたいのか。
そこを背景画像に翻訳したい。
Gensparkは、その部分まで踏み込んで候補を出してきました。
「検索ツール」ではなく、編集者に近い
普通の素材検索は、
人間が検索ワードを考える
↓
検索エンジンが候補を並べる
という仕組みです。
検索結果が微妙なら、
「いや、そうじゃないんだよなあ……」
と言いながら、人間が検索ワードを変える必要があります。
ところが今回のGensparkは、
台本そのものを読ませる
ところから始められます。
章立て。
ナレーションのトーン。
その場面で語られている内容。
参考画像の雰囲気。
動画全体の色。
そういう情報をまとめて、
「だったら、この場面にはこういう画が必要ですね」
と提案してくれる。
元資料でも、この違いを「検索ツールではなく編集者に近い動き」と整理しています。
僕も、これが一番しっくりきます。
画像を探しているというより、台本をビジュアルに翻訳している。
そんな感じなんですよ。
しかも、画像を見つけて終わりじゃなかった
もう一つ便利だったのが、その先です。
背景画像って、20分、30分の動画でずーっと止まっていると、ちょっと寂しい。
かといって動画生成AIで派手に動かすと、
カメラがグイーン。
ズームして、
被写体が動いて、
霧がブワーッ。
……いやいやいや。
僕が作ってるの、映画の予告編じゃないから(笑)。
今回欲しいのは、あくまで語りを邪魔しない背景です。
そこで、
「この静止画をループする壁紙動画にしたい」
とGensparkに相談しました。
すると生成時の条件まで組み立ててくれました。
ポイントは3つ。
カメラを固定する。
被写体も固定する。
霧や空気だけを微妙に動かす。
元資料では、
Camera is completely locked off and static.
The figure is frozen and absolutely motionless.
Only the fog and mist move in subtle ambient motion.
Designed as a perfect seamless loop.
という骨格の指示が使われています。
始点と終点で構図が大きく変わらないから、ループさせてもつなぎ目が目立ちにくい。
しかも、こちらがこの英文を一から考える必要はありません。
「ループしやすいように」
と普通の言葉で相談すればいい。
これもかなり助かります。
実際に作成した10秒程度のループ背景動画
▲ カメラと被写体は動かさず、霧や空気だけをわずかに動かした背景動画。ナレーションの邪魔をせず、静止画よりもわずかに生命感が出る。
動画を埋め込めないブログなら、元の静止画とループ動画の1フレームを横並びにしてもいいと思います。
ここまでを振り返ると、Gensparkがやっていることが結構すごい
今回の流れを整理すると、
① 台本を読む
まず、動画で何を話しているのか理解する。
② 参考画像から世界観を分析する
モノクロ、深紅、ゴシック、霧、暗め……といったビジュアルルールを作る。
③ シーンごとの役割を考える
湿原なのか、書籍紹介なのか、「血」というテーマを語る場面なのか。
④ それぞれに合う画像を探す
しかも、単語そのものではなく、なるべく動画の空気に合うものを選ぶ。
⑤ 最後に人間が選ぶ
ここは大事です。
全部AI任せにするのではなく、
「この中なら、これがいい」
という最終判断は自分でやる。
そして必要なら、
⑥ 静止画をループ動画にする
ところまで持っていく。
元資料のまとめでも、シーン要件の抽出、ビジュアル方針の決定、素材検索、ライセンス確認、壁紙動画の生成、ループ設計という一連の工程が整理されています。
人間の仕事が「探す」から「選ぶ」に変わる
今回使ってみて、Gensparkの価値は単純に、
「画像検索が速くなりました!」
ということではないと思いました。
これまで自分でやっていたのは、
台本を読み返す。
シーンごとに必要な画像をメモする。
検索ワードを考える。
素材サイトを巡回する。
画像を比較する。
動画全体のトーンに合っているか確認する。
必要なら別のワードでもう一度探す。
……これを何度も繰り返す。
地味なんですけど、めちゃくちゃ体力を持っていかれるんですよ。
それが、
「この台本です。こういう雰囲気にしたいです」
から始められる。
すると人間側の仕事が、
「探す」から「選ぶ」に変わる。
これ、かなり大きいです。
クリエイターの時間って、できれば素材サイトを延々スクロールすることではなく、
台本を書く。
構成を考える。
語りを磨く。
編集でおもしろくする。
そういうところに使いたいですからね。
ただし、素材の利用条件は最後に自分でも確認したい
ここは実務上、大事なので触れておきます。
今回の資料では、CC(クリエイティブ・コモンズ)やパブリックドメインの素材をライセンス条件で絞り込み、候補として整理する使い方が紹介されています。
とはいえ、YouTubeなどで実際に公開するなら、最終的な利用条件は素材の配布元で自分でも確認するのがおすすめです。
AIが「使える」と判断したから、そのまま全部OK。
ではなく、
候補探しはAI。
採用判断と最終確認は人間。
この役割分担がいいと思います。
気になる費用についても触れておきます。
私が契約しているのはPlusプランの月払いコース。月額約50ドルで21,000クレジット。
今回のミッションで2,024クレジット消費しました。
なので約5ドル(800円)かかったことになります。
まとめ:Gensparkは「画像を探す」のではなく「台本を画に翻訳する」
今回Gensparkを使って一番驚いたのは、
画像をたくさん見つけてくれたことではありません。
「なぜ、この場面にはこの画像なのか」
そこまで考えて候補を出してきたことです。
今回の理瀬編でいうと、
閉ざされた学園・不穏な空気
→ 霧に包まれた湿原
血・宿命
→ 赤を主役にした抽象画
血の系譜・一族
→ 枝分かれする赤黒の樹
この変換がおもしろかった。
単語を画像に置き換えているだけじゃない。
台本の文脈を、ビジュアルに翻訳している。
そして、その画像を動画全体の世界観に合わせ、必要なら静かなループ背景にするところまで相談できる。
もうこれ、
動画制作のビジュアル担当がひとり増えた
くらいの感覚なんですよね。
今まで画像素材探しに何時間使ってきたんだろう……。
考えると、ちょっと怖いです(笑)。
でも、これからその時間を台本や構成、編集に戻せるのであれば、かなり大きい。
「素材を探す時間」を減らして、「動画を作る時間」を増やす。
僕がGensparkを使ってみて感じた一番の価値は、そこでした。








