
動画撮影を始めたばかりの初心者にとって、迷うのがカメラ選びです。
選択肢は二つあります。
動画専用のビデオカメラ。それに動画も撮れるスチールカメラ”一眼レフ・ミラーレス”の存在。
ビデオカメラとどう違うのかわかりませんよね。
どっちがいいのでしょうか。
ビデオカメラと一眼カメラの違い と選び方
結論から言うと、映像の品質を重視したり趣味で動画を楽しむなら一眼カメラ。
仕事で動画を扱うならビデオカメラです。
ビデオカメラと一眼レフ・ミラーレスカメラの違いは目的の違いといってもいいかもしれません。
どちらのカメラがいいか動画スクールの複数の講師に聞いてみました。
動画スクールの授業はAfterEffectsなどを使った映像加工に力点が置かれます。
撮影技術よりもポスプロ技術に馴染むカメラがよく使われます。
勧められたのは一眼カメラ。機種はSonyのαシリーズに高い評価が集まりました。
私も順当な選択だと思います。
Sonyのαシリーズが評価される理由は大きく三点あるといいます。
- 業界の流れを変えた超高画質センサー
- オートフォーカス機能
- 交換レンズの豊富さ
光学系の機能に優れたSonyのαシリーズが群を抜いているといいます。
講師の皆さんがいうにはビデオカメラは「利用者が限定される機材」なのだそうです。
評価される理由は
- スチール写真が撮れないこと
- 交換レンズの選択肢がないため映像に奥行きがつけにくいこと
- 市場が狭いため商品が少ないこと。
などが挙げられます。
したがって選択肢は放送局で使うような業務用カメラになってしまうといわれました。
結論から言うと趣味で動画を楽しむなら一眼カメラ。仕事で使うならビデオカメラという棲み分けになるのだそうです。
ビデオカメラを再評価
私が使っているカメラは、パナソニック の4K ビデオカメラ X2000です。
価格は27万円。家庭用のビデオカメラ。いわゆるハンディカムと、放送局などで使われる業務用ビデオカメラとの境目に位置するハイエンドホームビデオカメラです。
ハイエンドといっても、価格で比較するなら、街のカメラ店でもよく見かける一眼ミラーレスと同じ価格帯。中高級の価格帯です。
同じ価格帯のカメラと比較するとどう違うのでしょうか。
Sonyのαシリーズ α7RM4 を基準に比較してみました。
α7RM4 はカタログによると「世界初の有効約6100万画素、最高約10コマ/秒高速連写、高速・高精度AFを小型ボディに凝縮したフルサイズ一眼」の機種です。
価格はボディのみで28万円のゾーン。レンズを加えると30万円は軽く超える人気機種です。
テレビカメラマンも思わず手が出る評価で、これ一台持っていれば文句なしという名機です。
isoとかアイリス(絞り)とか、シャッタースピードとか・・マニュアルにするとやらなければならないことが結構あります。
使う機能は10個程度という解説ですが、それでもめんどくさいですね。
ホワイトバランスのようにオートでも十分OKという機能があるのなら、それで十分です。
対するX2000はパナソニックが昨年発売した の4K ビデオカメラです。
4K ビデオカメラなので画素数は857万画素。単純計算で7分の1しかありません。
映像の品質では比較にならないといってもいいでしょう。
しかし、動画のプラットフォームで見る限り、YouTubeではフルハイビジョンが主戦場。
最近増えてきたとはいえ4Kで公開されている動画はそう多くありません。
ましてやメタバースなどで注目される8K以上の高品位動画は誤差の範囲です。
実用上、業務に使うのでなければ857万画素もあれば余裕のスペックです。
ビデオカメラのメリット
使ってみてわかるビデオカメラメリットについてまとめます。
記録映像を中心に動画を撮影する場合、楽に使いまわせるのがビデオカメラです。
- 機動性
- 長時間撮影
- ズーム機能
- モニターの見安さ
- 音声収録
- コスパの良さ
機動性
動画撮影とは時間を記録することです。
ものの変化や人の話など時間により変化するものを映像と音声に閉じ込める作業です。
撮影する対象は動きが伴うので、その動きをタイミングよく的確に捉える必要があります。
基本的にビデオカメラはオートで運用できます。
ピントや露出などはカメラ任せで問題ありません。
ハンドルユニットやファインダー、カメラの重量やバランスなど、使ってみるとわかるのが機動性の高さです。
限られた時間の中で、使える映像を可能な限り多く撮るという”撮れ高の高さ”に繋がっています。
長時間撮影
動画撮影は時間を撮ることです。
長時間のイベントをワンカット収録したり、長期取材のためカメラを持ち運ぶこともあります。
バッテリーや記録媒体も耐久性が求められます。
収録中にメモリーカードを抜き差しできるなど時間を撮るための機能がビデオカメラには詰め込まれています。
ズームレンズ
ビデオカメラの強力な機能の一つがズームレンズです。
会場全景を撮りながら目標物のアップが同時に撮れるズームレンズは編集するとき真価を発揮します。
撮影対象に映像的な意味付けをする場合に、ズームインやズームバックを使用するときがあります。
ズームの動作には微妙な強弱が必要になりますが、ビデオカメラのズームボタンは片手で扱える位置にあるので使いやすく、必要に応じてカメラレンズのリングを使って動きをつけることもできます。
一眼にもズーム機能を持つレンズがありますが、カメラの構造上取り回しがしにくくなっています。
使い物になるズーミング途中の映像を撮影するのは至難の技と言わざるを得ません。
機能モニターの見安さ
撮影の際便利なのがモニターです。ビデオカメラの場合はカメラがどんな位置、どんな角度になっても撮影者が確認できるよう角度を変えることができます。
さらに白昼の直射日光の下で撮影する場合、モニター画面が見えにくくなることがあります。
ビデオカメラの場合はモニターに加え、ファインダーで確認することができます。
外光をシャットアウトするとともに、カメラマンの視力に合わせて調整もできるので精密な撮影がしやすいのも特徴です。
音声収録
撮影の成否を左右するのが音声です。
編集の際わかるのは、映像は編集で差し替えできるけれど、音声は差し替えできないこと。
特にインタビューは一発勝負で撮り直しは効きません。
収録場所によっては環境音が邪魔をしたり、戸外収録では風によるノイズを拾ってしまう場合があります。
編集段階で音処理ができなくはありませんが、収録時にしっかり対策を立てておけばじたんにつながります。
ビデオカメラにはショットガンマイクやワイヤレスマイクを接続する機能があらかじめ想定されています。
XLR端子もその一つ。一般的な3.5ミリ端子では接点の接触ノイズが起きやすいという問題があります。
XLR端子は接点がしっかり対策されているのでノイズが発生しにくく、音声収録のトラブルを防ぐことができます。
コスパの良さ
ビデオカメラは基本レンズが一体となって製品化されています。
そのため特別な事情がない限り交換レンズを買い足す必要はありません。
トータルコストは一眼カメラより安い といえます。
ビデオカメラのデメリット
ビデオカメラのメリットを中心に書いてきましたが、ビデオカメラにもデメリットはあります。
それは以下の機能です。
- 写真撮影の機能がない
- レンズ交換ができない
- 選べる機種が少ない
最大のデメリットは写真が撮れないこと。
写真のような映像をビデオカメラに期待してもムダです。
放送局の経験から動画の世界に入って違和感を感じたのが「ボケ味」という言葉です。
ピントの合っている部分と合っていない部分の微妙な味わいを評価する人が多いのには驚きました。
劇場用映画やコマーシャル映像を撮るのなら必要かもしれませんが、それはお金が動く世界の話。
記録を目的とした動画製作の場合はピンボケ映像は使い物になりません。
隅から隅までピントが合っている映像が撮れた方がいいに決まっています。
ボケ味に価値を求めるのであれば「一眼カメラ」を選んだ方がいいと思います。
動画の質を重視するならシネマカメラという選択肢もあります。
そうでなければ4Kビデオカメラでハイエンドに近い動画が撮れます。
コストで比較 ビデオvs一眼
パナソニック 4K ビデオカメラ X2000
SONY α7RM4 ボディ ILCE-7RM4
まとめ
動画制作とは物語にしてメッセージを込めることと言っていいかもしれません。
結論から言うと、映像の品質を重視したり趣味で動画を楽しむなら一眼カメラ。
仕事で動画を扱うならビデオカメラです。
自分が撮りたい目的に合わせて選びましょう。