テロップ の上手な当て方【編集の心得】

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 テロップ を書きます。

映像に字幕を入れる作業をスーパー[1]スーパーとはスーパーインポーズ、重ねると言う意味です。主に映画関係で使われてきた用語です。と言います。

聴き取りにくい会話や外国語の翻訳など、わかりにくい音声情報を視覚的な情報に補って見せることで視聴者の理解を助けるのが目的です。

また、登場人物の名前や撮影場所などの情報を補足するためにも使われてきました。

作品の主役はあくまで映像そのものだと考えていた制作者は、悪目立ちする脇役は舞台に登場させないというのが不文律でした。

動画に テロップ をスマート当てる方法

ところが最近、主従の関係が変わり始めました。

スマホなどで映像を楽しむケースが増えるに従い、音声を聞かずに画面だけ見る場合も増えたのです。

受像機の前で楽しむテレビにはなかった見られ方です。音声の内容を文字でなぞるスーパーの役割が起きく見直されました。

番組によっては、正味の映像を埋め尽くすようにスーパーが目立つものも出てきました。

映像とスーパーの関係をさらに変えたのは投稿動画の登場です。

投稿動画は集客力によって広告収入が得られます。

映像作品の見られ方が変わり、字幕・スーパーの位置付けも変化しています。

適度に目立ちながら違和感を感じさせない。

そんな見せ方ができるのも制作者の腕しだいです。

内容の良し悪しより集客力を優先する映像作品も増えているのです。

手段と目的をはき違えないこと

たまに「もっと派手に見せてください」と映像づくりの注文を受けることがあります。

テレビ制作プロダクションのブログに実例があります。

近年のテレビ番組を見て頂けると分かる通り、最近のテレビ番組にはテロップが多すぎます。情報テロップを入れて、出演者の名前を入れて、視聴者に伝わりやすい、必要なテロップを入れていきます。で、ひと昔前ならばココまでで良かったのですが、最近ではコメントフォローやらサイドスーパーやらが入ります。コメントフォローというのは、出ている人が喋っている内容のテロップです。番組によってはほぼすべてのコメントを載せているものもありますね。これがとても時間がかかります。やったー!終わった!と思っても、さらに、サイドスーパーです。テレビ番組を見ると画面の左上や右上に、いま何をやっているか等の情報が載った小さなテロップありますよね。あれです。あれを、何パターンも入れていきます。これも時間がかかります。1時間番組でもサイドスーパーの数や内容によっては、4時間程度かかるかもしれません。この2日目のテロップ入れ作業が、相当に時間を要すのです。

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番組を飾る行為にかける作業と番組の本質的な部分をつくる作業とどちらが重要なのか。徒労感を感じる制作者も少なくありません。

スポーツ紙の見出しのような文字スーパーを打ちまくれば、見た目は派手な映像ができます。

派手な手法は重要な言葉を強調したり、話の内容を伝わりやすくすることができる反面、安易に使うと画面がうるさくなります。

視聴者にわかりやすく見せるための手段が人気を集めるための目的にすり替わってしまうことがよくあります。

自分が言いたいこと、伝えたいことが見えにくくなってしまうのです。

派手なスーパー、煽るような演出、めまぐるしい編集。出来上がった映像は確かに人目を引くかもしれませんが、見る側の満足に繋がっているかどうかは別問題です。

大切なのは「その映像は誰のために作るのか」と思い起こすことです。

正確に、短く、印象的に

迷ったら基本に立ち返りましょう。基本とは集客力ではなく信頼感を重視することです。

  • 正確な情報を伝える

もっとも優先すべき内容は正確な情報です。年号や地名、氏名などの情報は映像に対する信頼感をもたらします。

出演者の音声が雑音で聞き取りにくなっていたり、言い間違いをしたときときに、正しいコメントをテロップで表示することでフォローすることが可能です。

  • 短く伝える

映像で伝えきれないからといって、説明的な文章を長々とスーパーするのは逆効果です。

映像を見る側はなるべく楽に見たいのです。さらに映像は時間が勝負です。この映像はどう言う内容なのかを瞬時に理解してもらうため、1文字でも少ない文章にする努力を続けましょう。

  • 印象的に伝える

映像を見ている人の気持ちに寄り添うことが重要です。

スーパーの入れ方一つにしても、パッと現れる「カットイン」という表現方法よりも、じわっと文字が浮かび上がるような柔らかな表現方法があります。

ディゾルブと言う方法ですが、丁寧な作りを印象付けることができます。

また白抜きの文字に薄い影をつけて浮き上がらせる「ドロップシャドウ」と言う装飾も効果的です。

縁取り、光彩、ドロップシャドウのような基本的な装飾であればたいていの動画編集ソフトで行うことができます。

まとめ

見る人の心に寄り添うスーパーづくりは簡単なものではありません。

編集ソフトの中にはスーパー制作の機能を装備しているものも少なくありません。

でもスーパーの原稿は編集時に慌てて考えるのではなく、かなり前から準備するようにしたいものです。

できれば編集中にスーパーの位置やタイミング、文字数などを計算し、映像やインタビューの役割とのバランスを取りながら原稿用紙にまとめて置くのがうまく行く方法です。

周囲に協力してくれる人がいたら、試写を見てもらい意味が通じない部分などをダメ出ししてもらうのがベストです。

複雑なテロップを用意しようとするとどうしても手間はかかってしまいます。

慣れれば簡単に動画のクオリティを上げることができますので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

References

References
1 スーパーとはスーパーインポーズ、重ねると言う意味です。主に映画関係で使われてきた用語です。