これまで使用していたガンズームマイクを超指向性マイク MKE600 に変えました。
細長いマイクは音響管と呼ばれる穴のある筒が前方に取り付けられています。
この穴が側面からの音の影響を低減させます。
また、音響管が長くなるほど音源のレベルがある程度一定になる収音角度という角度範囲が狭くなることから、音源を外すと音が拾えなくなるため取り扱いには注意が必要です。
これだけでも、ロケ現場にプロの音声さんが必要な理由がわかります。
使いこなすうえで頭に入れたい注意点をまとめました。
撮影時の音声収録テクニック
収録現場の環境は千差万別です。
環境音が大きな現場だったり、強風が吹いている現場だったりするので単純に超指向性マイク MKE600に変えたからと言って安心はできません。
録音の基本はマイクの扱い方に長けること。
音源に近づいて撮影を心掛けたり、マイク本体の防振対策をしたりなど、ノイズを拾わないよう心掛ける姿勢が大切です。
そのためには収録テクニックを頭に入れながらプランを練りましょう。
- マイクの防振対策でハンドリングノイズを抑える
- 風防対策で吹かれノイズを抑える
- 音源に近づき必要な音をクローズアップして録る
- 録音レベルを調整する
- しゃべりの音質を微妙に上げる工夫
- 予備の裏技を隠し持つ
①マイクの防振対策でハンドリングノイズを抑える
マイクは振動を音として拾います。
長い音響管とサイドスリットという構造を持つ超指向性マイクは離れた音源の音を拾いやすくなる半面、環境音や振動音に敏感です。
そのためマイクに対する防振対策も必要になります。
手でマイクを持った時に生じるハンドリングノイズも大敵です。
振動がボコボコという異音になって録音されてしまうのです。
対策の一つがサスペンションをかませて取り扱うこと。
緩衝装置を間に挟むことでハンドリングノイズを抑えることができます。
②風防対策で吹かれノイズを抑える
むき出しのマイクは風が当たることでボコボコという吹かれノイズが発生します。
このノイズは後処理で取り除くのは難しいので収録時にしっかり対策するしかありません。
対策としてはウレタン製のフードをかぶせるのが一般的です。
プロの現場ではウインドスクリーンというネットのような容器や、その上に起毛したカバー(ウインドジャマー)をかぶせて風切り音をしのぎます。※高音域が弱くなることがあります。
③音源に近づき必要な音をクローズアップして録る
必要な音以外の音を録らないのが収録時の鉄則です。
そのため人の声を録るときなどは、マイクを1メートルから3メートル程度まで音源に近づけて録音することを心がけます。
近づけることで撮りたい音が十分な音量で録れるので、収録のレベルを下げることができます。
周囲の雑音レベルを聞こえない程度に下げることができます。
音源にマイクを近づけるためには、マイクのサスペンションにブーム棒という長い柄をつけて録るのも一般的です。
人物のトークを撮影する際は、カメラに見切れないように被写体の頭上からマイクを向けて収録するのが一般的です。
④録音レベルを調整する
機材によってはオートで調整OKな場合もありますが、注意したいのがレベル合わせです。
本番収録前にテスト録音してレベルが適正かどうか確認しましょう。
レベルメーターがあれば赤く振り切れるのはNGです。
オートに設定すると機械が適正な音を録るためレベルを無理して上げ下げするのでノイズが増える傾向があります。
飽和状態になった音は割れて聞こえる上、スタジオで調整しても元に戻りません。
逆に低すぎる音はレベルを上げることで補正は不可能ではありませんが、ノイズまで上げてしまうため音が悪くなります。
大きな音でもマイナス12db当たりを目安に設定するのが安心です。
⑤しゃべりの音質を微妙に上げる工夫
ブーム棒を使って人のしゃべりを収録する場合、マイクを正確に音源に向ける必要があります。
しかし口元に直接向けると「ぱぴぷぺぽ」「つしすせそ」のような音やリップノイズが汚く聞こえることがあります。
回避するには、マイクを口元からやや下に向けるのが正解です。
野外での環境音を減らすうえでもマイクを上から下に地面に向かて録る方法も有効です。
⑥おまけ 予備の裏技を隠し持つ
周囲の環境音が想定以上に良くない場合は、ピンマイクをiPhoneに付けてボイスメモで録り、編集段階で音声部分を差し替えるという荒業もあります。
まとめ
撮影現場では状況は常に変化して雨堤以外のことがおこりります。
現場で慌てないためにも日頃から起こりうる事態を予想して、不測の事態に備えるとともに、経験を積み重ねておくことが大切です。