DaVinci Resolve で色の連続性を確保する方法|ショットマッチ・グループ・スチル活用の完全ガイド

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 DaVinci Resolve で色の連続性を確保する方法を書きます。

タイムラインの色味がバラッバラだと、
どんなに内容が良くても「…あ、なんか素人感あるな」って、一瞬でバレちゃうんですよね。

というわけで今回は、

「DaVinci Resolveで、タイムラインに並んだカット全体の色味を統一する方法」

を、初心者さん向けにガッツリ解説していきます。
色味の統一を押さえておくと作品のレベルが一段上がりますよ。

DaVinci Resolve で色の連続性を確保する方法

色の連続性(Color Continuity)って、そんなに大事?

ざっくり言うと、

カットをまたいでも「同じ時間・同じ場所で撮った」ように見える状態

を作ることです。

  • Aカット:ちょっと黄色っぽい
  • Bカット:急に青白い
  • Cカット:コントラストだけやたら強い

…みたいになると、視聴者は無意識に違和感を感じて、
ストーリーに集中できなくなります。

映画館で違和感を感じないのは、
カラリストが 「ショットマッチング(Shot Matching)」 で、
全部のカットを丁寧に揃えてくれてるからなんですね。

まずは「下地作り」から – ノーマライズ(バランス調整)

いきなり“かっこいいルック”を当てる前に、
全カットの「素の状態」を揃える のが最初の仕事です。

イメージとしては、

キャンバスに下地を塗ってから絵を描く

みたいな感じ。

1. Colorページに移動して、1カットずつ“ざっくり正常化”

  1. 画面下の「カラー」タブに移動
  2. タイムライン上のクリップを1つ選ぶ
  3. カラーホイールパネル左側の「Auto Color(自動バランス)」ボタンを押す (blackmagicdesign.com) → これで、明るさと色味をResolve側がいい感じに整えてくれます。
  4. 「ホワイトバランス」も気になるなら
    • スポイトツールで「本当は白いはずの場所」をクリック
    → 変な色かぶり(緑っぽい・オレンジっぽい)がだいぶマシになります。

💡ポイント
「全部を完璧に仕上げる」じゃなくて、
“だいたい同じくらいの明るさと色温度に揃える” が目的です。

2. 代表カットを1つ決める(ヒーローショット)

タイムラインの中から、

  • そのシーンの雰囲気が一番わかるカット(だいたい引きの絵)
  • 主役の顔がちゃんと映っているカット

「ヒーローショット」 として1つ決めます。

このヒーローショットだけは、少し時間をかけて

  • 明るさ(Lift / Gamma / Gain)
  • コントラスト
  • 色温度・色かぶり

を、自分の理想に近づけておきます。

あとで他のカットは、
このヒーローショットに寄せていく イメージです。

ショットマッチの3つのやり方

ここからが本題。
DaVinci Resolveには、色味を揃えるための機能がいくつかあります。

A. 一番カンタン:自動ショットマッチ(Shot Match)

公式機能として用意されているのがこれ。 (blackmagicdesign.com)

タイムラインに並んだクリップの色味を統一します。

基準にしたいクリップ(ヒーローショット)を選択します。

そのままカラーページを表示します。基準にしたいクリップ(12番)の枠が赤くなっていることを確認し、そのままShiftキーを押して色を合わせたいクリップ(13番)を選択します

基準にしたいクリップ(12番)を右クリックします。すると、「このクリップにショットマッチ」が表示されるようになるので選択します。

色味をそろえたいクリップ(13)をクリックします。

すると、ResolveがAI的に分析して、

  • 明るさ
  • コントラスト
  • カラー

基準クリップに近づけてくれます。(blackmagicdesign.com)

もちろん完璧ではないので、

  • ちょっと暗いな… → Gainを少し上げる
  • まだ青いな… → Temp(色温度)を少し上げる

みたいに 微調整してあげるのが前提 です。

B. スチル&分割スクリーンで“目視で合わせる”

次は 「ちゃんと自分の目で見て合わせたい派」 向けのやり方。

2-B-1. スチルを作る

  1. 基準にしたいクリップ(ヒーローショット)を選んで
  2. ビューアを右クリック → 「スチルを保存(Grab Still)」

ギャラリーにそのショットの静止画と、
そのときのノード構成&グレード が保存されます。(blackmagicdesign.com)

2-B-2. 分割スクリーン+イメージワイプで比較

  1. 色を合わせたいクリップを選択した状態で、
    ギャラリーのスチルをダブルクリック
  2. ビューア左上のメニューから 「Image Wipe」 をオン (blackmagicdesign.com)
  3. ワイプの境界線をドラッグして、
    • 左側:調整中のクリップ
    • 右側:基準スチル

 みたいに見比べながら、

  • Lift(暗部)
  • Gamma(中間)
  • Gain(明部)
  • オフセット / 色温度

をちょっとずつ動かして、
「並べて違和感がない」状態 を目指します。

👀 コツ

  • 先に 明るさ・コントラスト を合わせる
  • 次に 色味(暖色/寒色) を合わせる

いきなり色から触ると、沼ります。

C. 同じシーンなら「中クリック」でグレードコピー

同じ場所で、同じカメラ、同じ時間帯…
っていうカットが続くときは、
一個ちゃんと作って「コピペ」が最強 です。(blackmagicdesign.com)

  1. まず1つのクリップをしっかりグレーディング
  2. タイムラインの別クリップを選択
  3. グレード済みのクリップのサムネイルの上で
    マウスの中ボタン(ホイール押し込み)をクリック

→ これだけで、ノードごと丸っとコピー されます。(blackmagicdesign.com)

ちょっと露出が違うカットだけ、
コピーしたあとにGainを少し下げる…みたいな微調整をしてあげればOKです。

スコープを見て「なんとなく」から卒業する

人間の目って、わりとすぐ慣れちゃうんですよね。
5分くらい同じ画面見てると、

「あれ?これ本当にニュートラル…?」

ってわからなくなってくる。

そこで登場するのが ビデオスコープ たちです。(blackmagicdesign.com)

よく使うのはこの2つ

  • パレード(RGB Parade)
    • R / G / B の高さがバラバラ → どこかに色かぶり
    • 3色の上端・下端がだいたい揃うように調整すると、ニュートラルに近づく
  • 波形(Waveform)
    • 明るさの分布が一目でわかる
    • ヒーローショットと比べて、
      • シャドウが潰れてないか
      • ハイライトが飛びすぎてないか
        を合わせていく

画面上では「まあまあ揃ってそう」に見えてても、
スコープを見ると 「あ、青だけちょっと高いな」 みたいなズレが見えます。

👍 ルール

  • スコープは“絶対の正解”じゃない
  • でも 「目が疲れてるときのセカンドオピニオン」 には最強

くらいの距離感で使うのがおすすめです。

大規模なタイムラインは「グループ」と「ノード」で賢く管理

YouTubeの短い動画なら、
1カットずつやってもなんとかなりますが、

  • Vlog
  • インタビュー
  • 30分の講義動画

みたいにカットが増えてくると、個別調整だけでは破綻します。

そこで使えるのが グループ機能+ノード構成。(blackmagicdesign.com)

1. グループで「同じ条件のカット」をまとめる

例:

  • カフェのシーン → Group「Cafe」
  • 公園のシーン → Group「Park」
  • 室内インタビュー → Group「Interview」

みたいに、同じ場所・時間・カメラ設定のカットを1グループにします。(blackmagicdesign.com)

グループには3つのモードがあって、

  1. Group Pre-Clip
    • グループ全体の「下地」を作る場所
    • 異なるカメラのガンマや色域をCSTノードで揃えたり
  2. Clip
    • 各クリップ固有の調整(露出のブレ、色かぶりなど)
    • ショットマッチングのメイン作業はここ
  3. Group Post-Clip
    • グループ全体にかける「ルック」
    • 夕焼けっぽくする、少し寒色に寄せる…など

って感じで分けておくと、

「あとから“やっぱ全体もうちょい暗くしたい”と思ったとき、
いちいち全部のクリップを触らなくて済む」

という、精神衛生にめちゃくちゃ良い状態になります。

2. 同じノード調整を一気に反映(Ripple / Shared Nodes)

  • すでにノード構成を統一している
  • 「ノード3番の色温度だけ、タイムライン全部ちょっと下げたい」

みたいなときは、

  • Ripple Node Changes(ノード変更を複数クリップに波及)や (blackmagicdesign.com)
  • Shared Node(共有ノード)

を使うと、一括で変更できます。

これは正直、
**慣れてからでOKな“中級テク”**なので、
「そういうのもあるんだな」くらいに覚えておいてください。


どんなシーンで「色味の統一」が特に効く?

せっかくなので、具体的なシーンの例も出しておきます。

例1:カフェでのインタビュー(2カメ)

  • Aカメ:正面、少し暖色寄り
  • Bカメ:斜め横、窓の近くでちょっと青い

そのままカットをつなぐと、

Aカット:ぽかぽかした雰囲気
Bカット:急にクールで冷たい雰囲気

みたいになって、同じ会話なのに空気感が変わってしまう

ここで、

  1. ヒーローショットをAカメにする
  2. Auto Colorでざっくり揃える
  3. BカメにShot Matchをかける
  4. スチル+ワイプで最終微調整

…という流れで整えると、
カメラが切り替わっても、空気感がちゃんと繋がったインタビューになります。

例2:Vlog – カフェ → 路上 → 公園

1日のVlogを撮ると、だいたいこうなりますよね:

  • カフェ:黄色いダウンライト
  • 路上:曇りでちょっと眠い色
  • 公園:木の緑で全体が緑かぶり

ここで各シーンをグループに分けて、

  1. Group Pre-Clipで
    • 露出とコントラストをだいたい揃えておく
  2. Clipモードで
    • シーンごとのヒーローショットに合わせてショットマッチ
  3. Group Post-Clipで
    • 全体を少しだけ暖色寄りにして「今日1日のVlog」感を統一

という流れにすると、
タイムライン全体が「1本の作品」として気持ちよくつながります。

まとめ:オーケストラをチューニングするイメージで

タイムライン全体の色味を統一する作業って、
ほんと オーケストラのチューニング に近いです。

  • まずは各楽器(各クリップ)の音程を合わせる → ノーマライズ
  • パートごとにバランスを揃える → ショットマッチ/グループ
  • 最後に作品としての雰囲気を作る → ルック(Group Post-Clip)

色味の統一は、まさにその“コスパのいいところ”なので、
ぜひ一度、今日作ってるプロジェクトで試してみてください。