動画編集を上達するコツの一つが視聴者の心を掴む「テンポの良さ」です。
今日は 初心者でも「うわ、これ使えるな」と思える具体例も交えつつ、CapCutで“リズム編集” をする方法を、「できるだけラクに、でもかっこよく見えるように」伝えます。
リズム編集って何?映像と音楽を“踊らせる”魔法
“リズム編集”とは、映像のカット(切り替え)や場面転換を、BGMや効果音の 拍(ビート) にぴったり合わせて行う手法。音と画が「同じ呼吸」で進んでいくような、視覚と聴覚の一体感を目指すんだ。
なぜそれがいいかというと、人間の感覚って “ずれてない” とすごく安心するから。曲のビートに映像が追いついてくると、「あ、映像がこの音に反応してる」って感じがして、観る側のテンションもグッと上がる。
たとえば:
- ダンス動画で、足を踏み込む瞬間のドン音(キック)に合わせてカットを切り替える
- 商品紹介動画で、BGMのサビで一瞬ズームイン・ズームアウトや切り替えを入れる
- 旅動画で、列車の“ガタガタ”音・鉄橋のキンッという響きに合わせて風景を切り替える
こういう “音の勢い” に画が応えるように編集できると、映像が自分で呼吸してるようになる。
CapCutには「ビートマーカー」や「波形表示」など、リズム編集を助けてくれる機能が備わっていて、それを使えば初心者でも思ったより簡単にリズム編集できます。
CapCutでリズム編集する手順(初心者向け)
リズム編集はコツさえ理解すれば簡単です。以下ステップとコツをまとめました。
ステップ 1:素材を用意・構成を決める
- BGMを決める。リズムがはっきりしている曲のほうがやりやすい(ドラム、スネア、強拍がはっきりしてるやつ)
- 映像素材を準備。動きがあって、見せ場があるカットを複数入れておく
- 映像を“長め”“短め”に使うバリエーションを用意しておくと、あと編集の幅が出る
(最初から全部細かくしようとすると迷走するから、素材の“予備”を残しておくのがコツ)
ステップ 2:プロジェクトを作る → BGMを配置
- CapCutを開いて新しいプロジェクト
- タイムラインにBGMを入れる
- BGMを選択して「自動ビートマーカー(Auto Beat/ビートをマーク)」を使う。これで曲の強拍にマーカーが自動で配置される。
- 自動マーカーが正しく打たれないときは、自分で追加・移動・削除できる。
このとき、タイムラインでBGMの 波形表示 をオンにしておくと、音がピークになる部分を視覚的に見やすくなる。
ステップ 3:映像クリップをマーカーに当てはめる
- 映像素材をタイムラインに配置
- カット/切り替えしたいタイミングを、マーカーに合わせて調整
- 映像のクリップを選んで、端や開始点をドラッグして、マーカーに“スナップ”(近づけるとくっつく感じ)
- 必要なら、少し前後にズラして “勢い” を持たせる(ちょっと早く・ちょっと遅くする)
- 曲の構成(Aメロ・Bメロ・サビ)に合わせて、カットの密度を変える
ポイント:マーカーに「絶対に沿わなきゃ」じゃなくて、「マーカーをガイドにして、感覚で少しズラす」のがいいときもある。これが “編集の味” になる。
ステップ 4:エフェクト・トランジション・動きを絡める
ただ切るだけじゃ味が薄いから、以下を絡めるとグッと見栄えが出る:
- トランジション(フェード、ズーム、ストレッチなど):サビの切り替えに使う
- キーフレームで映像のズーム/パン/回転:BGMの盛り上がりに合わせて動きを付ける
- 速度変化(スロー・加速):曲のブレイクや静かなパートでスローを入れて緩急をつける
- ベロシティエフェクト(CapCutデスクトップ版に実装):曲のビートに合わせて速度変化を自動的に付けられる機能もあり。
こういう “揺らぎ” を入れてやると、「音楽に乗って動画が揺れてる」ような感覚が生まれる。
ステップ 5:プレビュー→微調整→書き出し
- プレビューで最初から最後まで通して見る
- 特に“切り替えた瞬間”の違和感をチェック
- 気になる部分はそのクリップを選んで、0.01〜0.1秒単位で前後にズラしてみる
- 書き出し設定で、fpsやビットレートを素材に合ったものにする
- 書き出し後もチェック。もしズレやノイズが出てたら、その部分だけ再調整
編集画面ではよく見えてても、書き出すとズレることあるから、必ず書き出して通して見るのが鉄則。
リズム編集で得られるメリット・注意点(デメリット・限界も含めて)
✅ メリット
- 映像の“ノリ”が段違いに上がる 音楽と切り替えが合ってると、一体感が出て「プロっぽさ」が増す。
- テンポ感で視聴者を引き込める 緩急・勢いの流れを作れば、最後まで観てもらいやすくなる。
- 凡百な素材でも個性が出る 映像そのものがすごく高価じゃなくても、編集で“魅せる”ものにできる。
- 編集感覚が上がる リズムに対して敏感になるし、いつの間にか上達していく。
⚠️ デメリット・限界・注意点
- マーカーが自動で正しく打たれないことがある 特に曲のビートが複雑な曲だとマーカーズレが起こる。だから自動だけに頼ってはいけない。
- 過剰なリズム編集は逆効果 ガチガチにマーカーに沿わせすぎると、映像が不自然になる。 “呼吸” を持たせたズレも必要。
- 長尺・複雑素材だと手間が増える 切り替えが多すぎると作業量が爆発的に増える。
- 書き出しでズレが出るリスク 画質圧縮や変換で音ズレ・タイミングずれが起きることがあるから、必ずチェックすること。
- 機材や環境の影響 スペックが低いマシンだとプレビューがカクついて正確なタイミングが見えづらかったり。
リアルな編集の場面:僕が実際にやった話
リズム編集でハマった動画は、再生回数や評価がグッとアップします。実例を挙げるとこんな感じです。
実例 A:旅動画で“風景のノリ”を意識した切り替え
京都旅行したとき、鴨川沿いや夜の街並みを何カットか撮ってた。BGMはピアノ+ストリングスの中くらいテンポの曲。
サビが来た瞬間、「街の明かり → 橋の下 → 川面の映り込み」に切り替えたいなと思った。
僕は最初、マーカーに沿って切り替えようとしたんだけど、少し早めに動かしたら切り替えの瞬間に“余韻”が残っていい感じになった。自動マーカーだけじゃ拾えなかったノリ。
結果、コメントで「映画みたい」とか「癒される映像」とか言われて、ああ、リズム編集って効くな、と実感した。
実例 B:商品動画でシンクロ効果を狙ったが苦戦した場面
あるガジェット紹介動画で、操作音(「カチッ」「ピッ」)を効果音で入れて、それとBGMの拍子を合わせたかった。
最初、効果音を置いたタイミングと映像の切り替えを重ねすぎてゴチャゴチャして、見てて何やってるか分からなくなった。
そこで、効果音は “アクセント” に使い、基本の切り替えはマーカー主体、効果音タイミングは少しだけ遅らせたり早めたりして「遊び」を入れた。これが正解だった。
その動画では、BGMに映像と効果音が乗っかって、視覚・聴覚両方で商品の操作感が伝わるようになった。
まとめ:リズム編集は“感覚”を磨く編集術
リズム編集は、ただ音に沿わせるだけじゃなく、“ズレ” や “余白” を使って感情を動かす編集術です。慣れないうちは自動マーカーに頼っても大丈夫です。数多くこなすうちに勘が身につきます。
CapCutなら、初心者でも手が届く機能が揃ってます。自動ビートマーカー、波形表示、キーフレーム、速度変化……使いこなせば、映像が音楽と“呼吸してる”ような仕上がりになります。
焦らず、1本ずつ「ここで切ったらどう感じるか?」を意識しながら編集すれば、あなたの動画は “ただの映像” から “音楽と重なった表現” に変わります。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 CapCut でリズム編集を極めるコツを書きます。