はじめに ― 音ズレに遭ったときの絶望感、覚えてますか?
動画編集してて、完成前のプレビューでは「いい感じ!」と思ってたのに、書き出したら音と口がズレてる……。「え、うそでしょ?」って心の中で叫んだあなた、手を挙げて。僕も何度も経験あります。
たとえば、友だちとの対談動画で「じゃあ次の話題に…」ってセリフを話した直後に、字幕や映像がワンテンポ遅れて切り替わる。違和感がすごい。せっかくいい話なのに、「あれ、何言ってるかわかんない…?」って感じさせちゃう瞬間。これ、視聴者の心を一瞬で白けさせるんです。
でも安心してください。CapCutを使っていれば、正しい手順とコツでこの音ズレ、かなり防げるし、治せる。これを読んだあとは、「書き出してから気づく悲劇」にはもうさよならできるはず。
CapCut で音ズレを確実に直す5ステップ【初心者向け完全ガイド】
音ズレが起きる主な原因(知っておくべき基礎)
音ズレを直すには、まず原因を理解しておくことが大切。原因を知らずに闇雲に調整しても、根本解決にならないことがあります。
主な原因は以下あたり:
- 素材のフレームレート(fps)の不一致 異なるfpsの映像素材を混ぜたり、可変フレームレート(VFR)な動画を使うと徐々にズレていくことがある。
- サンプリングレート(音の周波数)や音声フォーマットの違い 48 kHz/44.1 kHzなど、素材の音声レートがバラバラなまま編集するとズレやノイズが出やすい。
- 編集での後段挿入/追加操作でのズレ たとえば動画の先頭に素材を挿入したら、後ろの音声やテキストが意図せずズレてしまう、という現象。CapCutには、トラックをロックする機能でこれを防ぐ方法があります。
- 書き出し時の設定・圧縮処理 編集時はズレがなさそうでも、エクスポート(書き出し)後にズレが発生するケースもあります。特に圧縮や変換に伴う処理で。
- アプリ・ソフトのバグやキャッシュ問題 古いバージョン、キャッシュ蓄積、不安定な動作環境などで、音ズレが起きることもあります。
フレームレート(fps)は、動画が1秒間に何枚の静止画で構成されているかを表す数値です。例えば30fpsなら1秒間に30枚の画像が連続して表示され、滑らかな動きに見えます。
数値が低いとカクカク、高いと滑らかに見えるため、動画編集では素材のfpsを統一することが、音ズレ防止や自然な再生に重要です。
CapCutでの「音ズレ治し」実践ステップ
さて、ここからは「実際にどう直すか」。スマホ版/PC(デスクトップ版)がある場合は多少UIが異なりますが、原理はほとんど同じ。以下は基本ステップです。
ステップ 1:素材を準備するときにチェック
- 素材を取り込む前に、映像の フレームレート(fps) と、音声の サンプリングレート・形式 を統一できるなら統一しておく。
- 可変フレームレート(VFR)な動画なら、あらかじめ定常フレームレート(CFR/固定フレームレート)に変換しておく(HandBrake などのツールで変換可能)。
- 長時間でズレが起きるようなら、小さめの部分(チャンク)に分けて編集したり、あまり複数素材を混ぜすぎない。
例えば、30分の動画を一気に編集するとPCに負荷がかかり、音ズレや動作のもたつきが出やすくなります。そこで10分ずつに分けて編集すると、それぞれの部分(チャンク)ごとに作業でき、負荷を減らしながらズレの調整もしやすくなる、という考え方です。
これで「ズレの芽」をできるだけ潰しておきます。
ステップ 2:CapCutでの編集中にズレを起こさない:
- 新しい動画を挿入する前に、既存の音声・テキストトラックをロックしておく。これで挿入操作でおかしなズレが出るのを防げる。
- 音と映像を一緒にズラすべきときは、音声の帯を長押しして左右にドラッグ。この操作だけで全体を微調整できます。
- 1フレーム単位で微調整したいときは、拡大表示(タイムラインの拡大)すると、より細かい調整が可能です。
ステップ 3:オーディオ合わせ・ビートを使う(リズム合わせ手法)

初心者なので、ズレが目立たなくなる程度でかまわないんですけど、もっとイージーな方法はありませんか。
こんな方法があります。
CapCutの “ビート追加(Beat / オーディオビート)” 機能では、音楽のリズム(強拍)に合わせて、目立つマーカー(青い線など)が表示されます。そこに映像やカット、テロップ、効果音を合わせれば、体感的にズレが目立ちにくくなるという方法です。
「音ズレを治す」というより、「ズレに気づきにくくする技術」でもありますが、効果的。特にBGMや効果音とのシンクをとるときに使います。
具体例:
BGMのドン・ドン・ドンって強い拍が毎小節1回あるとします。ビート追加機能でその強拍にマーカーが立つ。あなたが人物のセリフ「はい」の直後に次のシーンを切り替えたいなら、そのマーカー直後にカットを置く。効果音の「ポン」も同じマーカー位置に合わせる。これで、不思議と「音と映像の呼吸」が揃って見える。
ただし、この方法はあくまで“ズレが少ない・気づきにくくする”手法であって、根本的にズレている素材を綺麗に整えるものではありません。でも、編集を進めるうえでめちゃくちゃ使える秘技です。
ステップ 4:書き出し・エクスポート時の注意
- 書き出し設定で、映像のfps/音声のビットレート/サンプリングレートを、素材に合ったものに設定すること。
- 高圧縮すぎたり、低ビットレート設定にしすぎると、音質が劣化してノイズやズレっぽさを感じやすくなる。
- 書き出し後、一度プレビューで全体チェックする。特に前半~後半でタイミングが変わるズレが出ていないか。(もしズレてたら次ステップで修正)
ステップ 5:書き出し後にズレが残ってたら手直しを試みる
もし書き出し後も音ズレが残っているなら、以下を試してみてください:
- 書き出した動画を、CapCutか別の編集ソフト(iMovie、VLLO、Premiereなど)で読み込んで、音声と映像を 分離(リンク解除)して、音声帯を左右にずらして再書き出し。知恵袋などでもよくこの手法が紹介されてます。
- 音ズレが徐々に広がる(だんだんズレる)なら、素材自体のfpsやレートが異なる可能性が高いので、素材を定常フレームレートに変換してから再編集。
- 音声フォーマットをMP3/WAVなど別形式で保存し直して再インポートしてみる。別形式に変えると、ズレやノイズが解消されるケースも。
- 書き出しの圧縮設定を見直す。高品質モードや無損失寄りのモードで書き出してみる。
メリット・デメリット(CapCutで音ズレを治す手法視点から)
✅ メリット
- 手軽さ:スマホ/PCどちらでもできる操作で、専門ソフトを買わずにズレ修正できる。
- 速度改善:ビート追加やリズム合わせで、細かいフレーム単位のズレ調整をかなり省略できる。
- 自然な仕上がり:ズレが目立たないように“映像のテンポと呼吸を合わせる”手法で、視聴者側での違和感を減らす。
- コストゼロ:CapCutは無料/無償プランで使える範囲も広いので、基本的な修正には追加コストがかからない。
⚠️ デメリット・限界
- 根本ズレは治せないことも:素材自体が大きくズレている場合、手動修正でもしんどい。
- 長尺・複雑素材ではズレが発生しやすい:複数fps・複数形式を混ぜると、ズレが累積しやすい。
- 書き出し時の“再ズレ”リスク:編集画面上は合っていても、書き出し処理でズレる可能性あり。
- 高精度には専門ソフトが必要なケースも:プロ用途で音楽と映像を完璧同期させたいなら、PremiereやDaVinci Resolveなどの方が強力な制御ができる。
- 手動調整の労力:微調整が必要な場面は、地味に根気がいる。
リアルなシーンでの応用例
シーン A:トーク動画でセリフとテロップがズレてる
あなたは友だちとの対談を撮って、セリフに合わせて字幕を出したい。編集画面では「セリフ発言 → 次のカット」に見えてるけど、書き出したら字幕が数フレーム遅れて出る。
→ 音声の帯を手動で数フレーム前にずらし、プレビューで確認。
→ そのうえで、字幕トラック・カットトラックをロックしておく。
→ 書き出し後、セリフ部分のズレをチェック。ズレが残ってれば、その部分を別ソフトで音声と映像をリンク解除して細かく調整。
シーン B:BGM付き映像に映像切り替えを合わせたい
あなたは料理動画を作っていて、BGMの拍子(ドン・ドン・ドン)に映像を切り替えたい。
→ BGMをタイムラインに置き、「ビートを追加」機能を使って強拍マーカーを出す。
→ 映像の切り替えポイントにそのマーカーを合わせる。
→ 効果音やテロップもそのマーカーにシンクさせて配置。
→ こうすると、視聴者が体でリズムを感じる“自然なズレなさ感”が得られる。
シーン C:長尺動画で徐々にズレが出てきた
30分以上の動画で、前半はズレないのに後半になると口と音が微妙にズレてきた……というケース。
→ これは、素材混在(fps違い)によるズレの累積が原因のことが多い。
→ 解決案として、動画を前後で分割。前半・後半を別プロジェクトで定常フレームレートに揃えて編集 → 結合 → 書き出し。
→ もしくは、途中でズレが目立ち始めるポイントあたりで、音声と映像を再度リンク解除して微調整を挟む。
まとめ:ズレと向き合えば、動画はもっと「伝わる」存在になる
音ズレって、一瞬のズレでも視聴体験をブチ壊す爆弾みたいなものです。でも、素材を整える → 編集中にズレを起こさない工夫 → ビート合わせ → 書き出しチェック → 必要なら手直し、というプロセスをきちんと踏めば、かなり劇的に減らせる。
最初は「何この地味な作業…」って思うかもしれません。でも、ズレがない動画は観てて気持ちいい。リズムが揃っている感覚って、心地よさになるんです。
だから、CapCutを使って動画編集を始めたばかりの人ほど、この「音ズレ対策」は覚えておいて損はない。むしろ、「ズレのない動画を作れること」が一つの差別化ポイントになります。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。CapCut で音ズレを確実に直す方法を書きます。