【法律】絵本を撮影した時のリスクとは 二次著作物 の扱い方

模写と著作権
フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 二次著作物 を書きます。

動画制作の初心者にとって鬱陶しいのは著作権。

いざ自分で編集してみるとわかるのがセーフとアウトの境目がよくわからないこと。

よくあるのが二次著作物の扱いです。

こんなケースはどうしたらいいのでしょうか。

壁画のデザインは有名な絵本を題材にしたものです。

原画をもとに第三者が模倣した作品を二次著作物といいます。

この二次著作物を撮影するにあたり、著作権の扱いはどうなるのか。

というものです。

模写と権利

整理します。

まず絵本を撮影する場合。

絵本の作者が著作権をもっているので絵本作家に対して許諾を得た上で権利処理をする必要があります。

しかし、この場合は原著作者ではない第三者の保護者が模写した著作物を取材することになります。

どう考えたらいいのか、放送局の知り合いに相談しました。

返ってきたのは次のような答えでした。

絵本をもとにしたとはいえ、描かれた作品が独創的である場合は「二次的著作物」となり、絵を描いた保護者に著作権が発生する

答えは、許諾を取るべきは絵本作家ではなく壁画を描いた人でした。

ただし、ポイントは独創性の解釈。

ある程度似ている程度の模写の場合は「複製物」とみなされてしまいます。

この場合描いた保護者には著作権は認められません。(模写は著作物といえませんので、一般公開する場合は現著作者に許諾が必要となります)

例えるなら、原作マンガをもとに描かれた同人誌のようなものです。

許諾をとる必要があるのは原作者?それとも保護者?

という質問に対しては、撮影者が「複製物」であると判断したら、原作者に対して許諾を得る必要があり、「独創性」があると判断したら、保護者に許諾を得るというのが回答です。

著作権をめぐるトラブルは金銭的な問題から発生することがほとんどです。

このケースでは壁画そのものが何らかの金銭的価値を生むものではなさそうです。

さらに、描いたことにより原作者に不利益を発生させる恐れもなさそうです。

なので二次著作者の保護者から許諾が得られれば、複製か二次著作物か否かにかかわらず、原作者からのクレームを受けることは実質なさそうです。

このように身近な著作権問題は、原則と現実を天秤にかけながら処理していくのが現実的です。

撮影時にトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。

なので、こうしたケースに出会ったら、念の為”著作者”と思われる人に声かけをし、安全確認を行った旨の証拠を残すようにしましょう。

著:梅田康宏, 著:中川達也
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報道の特例

さて、ニュース取材の現場ではこうした案件にいちいち対応していてはニュースが出せないことになります。

それはそれで市民生活に大きな影響を与えることになるので、特例が用意されています。

それは「時事の事件の報道利用」という考え方です。

著作権法第41条によると、ニュースの取材に限定してですが、著作者に許諾を求めずに使用ができるというわけです。

まとめ

著作権を考える際頭の片隅におきたいのは「著作権は財産権」につながること。

つまりお金が絡んでくるので対応の仕方いかんではトラブルの種になります。

あぶないと思ったら権利を持っていると思われる人に了解を得、あわせて専門家の助言を聞くのが安心です。