【Premiere Pro対応】声が BGM でかき消されるときの原因と対処法5選

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Premiere Pro で BGM と声が重なって聞き取りにくいときの解決法を書きます。

今日はね、動画を作ってると必ずぶつかる壁――

「声がBGMに埋もれて聞き取りにくい問題」

これについて、がっつり話したいと思います。

これ、ほんとよくあるんですよ。僕もYouTube始めたばっかりの頃、編集ソフトでBGM入れてみて「おお、かっこいい!」ってテンション上がるんだけど、完成した動画を再生してみたら――

ん?…なんか声が遠い…。

あれ?BGMでセリフ聞こえなくなってない?

ってなって、絶望するやつ(笑)。

でも安心してください。解決方法、ちゃんとあります。

しかも、「ただBGMを小さくすればいい」って話じゃないんです。

今日は「よくあるトラブルの事例」を5つ取り上げて、具体的な直し方を解説します。

さらに後半では、「BGMの音量はどれくらいが妥当か?」 の目安も数値で解説しますよ。

BGMと声が重なって聞き取りにくいときの解決法【初心者向け】

トラブルその1:BGMが盛り上がった瞬間に声が消える

まずこれ。

トーク動画を撮ってて、BGMをずっと流してるんですけど、サビや盛り上がる部分でドーンと音が厚くなって、声が負けちゃう。

たとえば…

友達の結婚式の余興ムービーを作ったとき。

新郎新婦へのインタビューを入れて、その裏にBGMを流してたんですよ。序盤はいい感じだったんだけど、サビに入った瞬間――

「お二人が出会ったのは…」

♪ジャンジャカジャーン!(声が消える)

もう完全にBGMが主役になっちゃう(笑)。

解決法

ここで活躍するのが「オートメーション」ってやつ。

Premiere Proなら「オーディオトラックミキサー」で声が入ってるときだけBGMをスッと下げる。いわゆる「ダッキング」ですね。

声がある部分:BGMを -15dBくらい

声がない部分:BGMを元に戻す

これだけで一気に聞きやすくなります。

トラブルその2:BGMと声の周波数がぶつかってる

次はもっと厄介なやつ。

声とBGMの音量をいい感じにしても、なんか聞き取りづらい…。これは「周波数の衝突」が原因です。

たとえば、男性ナレーションだと 500Hz〜1kHzあたり が声の芯になる帯域なんですけど、ピアノとかギターの伴奏が同じ帯域を支配してると、声が埋もれてモゴモゴ聞こえるんですよ。

解決法

BGMトラックに「パラメトリックイコライザー」を入れて、声が当たってる帯域をちょっと下げる。

  • 男性の声なら 500Hzあたりを -5dB〜-10dB
  • 女性の声なら 1kHz前後を少し削る

これをやるとね、声がスッと前に出てきて、「あ、今まで聞きにくかったのはこういうことか!」ってなると思います。

トラブルその3:環境音やSEとBGMがごちゃつく

意外と盲点なのがこれ。

BGMだけじゃなくて、現場で拾った環境音やSE(効果音)も重なると、耳が混乱しちゃうんですよ。

たとえば…

外ロケで「ラーメン屋さん紹介動画」を撮ったとき。

厨房の「ジュワーッ!」って音が入ってて、さらに「ポン!」って効果音を入れて、そこにBGMも足したら――

「えっ、どこ聞けばいいの…?」って視聴者が迷子になる。

解決法

ここは引き算の発想が大事。

全部を同じボリュームで鳴らすんじゃなくて、主役を決める。

  • ナレーションを聴かせたいとき → BGMを下げる、環境音を薄くする
  • 店の雰囲気を出したいとき → ナレーションを止めて環境音とBGMだけにする

「音の主役はひとつだけ」って覚えておくと、すっごく整理されます。

トラブルその4:ヘッドホンでOKでもスマホで聞きづらい

これも初心者あるある。

編集のときはスタジオっぽいヘッドホンで確認して、「よし完璧!」と思ってYouTubeにアップしたら、スマホで聞いたときに声がめちゃくちゃ小さい。

特にBGMが低音モリモリだと、スマホの小さいスピーカーじゃ声が全然前に出てこないんです。

解決法

スマホやラップトップのスピーカーでも必ずチェックしましょう。

で、聞きにくいときは「コンプレッサー」をナレーションに軽くかける。

  • 声の小さい部分を持ち上げて、全体の音量を安定させる
  • BGMはちょっとハイを上げてシャリっとさせる

これだけで「スマホでも聞こえる声」になります。

トラブルその5:編集時は気づかないけど公開後に指摘される

最後はこれ。

自分では気にならなかったのに、公開したらコメントで「BGM大きすぎて声聞こえません」って言われるやつ。これ地味にショックなんですよ(笑)。

実際、僕が昔アップした動画でやらかしました。

映画の感想を語ってる動画なんだけど、編集時は「BGM控えめだな」って思ってたんですよ。ところが公開してみると、コメント欄に――

「BGMでセリフ聞き取れません!」

「音量バランス悪いです」

うわぁ〜ってなりましたね。

解決法

編集のときは必ず「第三者チェック」する。

自分以外の人に聞いてもらうと、ほんとに全然違う感想が返ってきます。

あと、疲れてると耳が麻痺して「BGM小さいかな?」って思って無意識に上げちゃうので、休憩してから確認するのも大事。

BGMの音量はどれくらいが妥当?

さて、ここまで「BGMと声がぶつかるときの直し方」を紹介してきましたが、

そもそも 「BGMのレベルってどれくらいが正解なの?」 って気になりますよね。

僕自身、最初の頃は「小さすぎると寂しいし、大きすぎると声が聞こえないし…」って、めちゃくちゃ迷いました。

声の基準レベル

  • ナレーションや会話 は、メータで -6dB 〜 -3dB ピーク くらいを目安にすると安心です。
  • これ以上大きいとクリップして割れる危険があるし、小さいとBGMや環境音に埋もれがち。

BGMの基準レベル

  • 声に対して -18dB 〜 -12dB 程度にすると、ちょうどいいことが多いです。 → これは「声が主役、BGMは背景」という考え方。
  • 声がない部分では、BGMをもう少し上げてもOK。 たとえばエンディングやオープニングは -8dBくらいまで持ち上げても違和感ないです。

ダッキングを組み合わせる

  • BGMを通常は -12dBに設定しておいて、声が入ったらさらに -15dB程度下げる。
  • 声がない部分は -12dBくらいに戻す。

これを「オーディオトラックミキサー」で自動化すれば、作業がぐっと楽になります。

音楽制作におけるダッキング オーディオダッキングは、音楽制作において特定のトラックの音量を自動的に下げ、他のトラックが聞こえやすくする技術で、例えば、バスドラムが鳴る際にベース音を下げることを意味します。

実際に確認すべきポイント

数値はあくまで目安です。最終的には 耳での確認 が必須。

特に初心者におすすめなのは:

  1. スタジオ用ヘッドホン で細かいノイズやバランスを確認
  2. スマホスピーカー で「街中で見ても声が聞き取れるか」を確認
  3. ノートPCの小さなスピーカー でBGMの聞こえ方を確認

いろんな環境で再生して「声がちゃんと前に来るか?」をチェックすれば、公開後に「BGM大きすぎ!」って言われるリスクも激減します。

まとめ:声が主役、BGMは引き立て役

というわけで、BGMと声が重なって聞き取りにくいときの解決法を紹介しました。

  • 声:-6dB〜-3dB ピーク
  • BGM:声より -18dB〜-12dB
  • ダッキングで声のある部分はさらに -15dB程度下げる
  • 環境によって聞き方が違うので、必ず複数デバイスで確認

動画の音作りって、結局は 「視聴者が気持ちよく聞けるかどうか」 がすべて。

数値に頼りすぎず、自分の耳+視聴環境チェックを大事にしていきましょう!

おまけ 音職人から学んだ音量調整の【考え方とコツ】

腕のいい編集者は映像を中心に編集すると思っている人が多いようですが、それは大きな誤解です。

うまい編集者ほど音を優先的に聞き、使える会話、意味のある会話を選びます。

編集がうまくなりたいと思ったら、音に注意をしてみましょう。

きっと新たな発見があるはずです。

音職人から学んだ音量調整の【考え方とコツ】Premiere Pro | eizou_world

エフェクトコントロールで音編集の基本を学ぶ

Premiere Proのタイムラインはレイヤー構造になっています。レイヤーとは層のことです。水槽の上から魚を見るようなもので、上に置いた映像が下の映像を隠します。イラストレーターやフォトショップと同じ考え方になっています。

しかし、音の場合は、後ろに隠れるという概念がないため、重ねると同時再生になります。例えば、上下二つの音声トラックに曲Aと曲Bを配置すると、AとBとが混ざって聞こえます。

二つの曲をメリハリよく聞かせるためにはどちらかの曲を調整する必要があります。音の長さや音量を変えることで調整するのです。この音の調整はエフェクトコントロールパネルで行います。

タイムラインに置いた音の素材をダブルクリックすると波形表示に切り替わります。波形は横軸が時間、縦軸が音量となっています。この時間と音量を調整することが音編集の基本です。

音の編集で絶対にやってはいけないことは「音割れ」です。音量が大きすぎると喉が枯れたようなバリバリっとした雑音が生まれます。音割れは修復できない致命傷なので絶対に避けなければいけません。

音の調整は[エフェクトコントロールパネル]で行います。クリックすると[fx ボリューム][fxパンナー]という表示が出ます。音量は右横の[オーディオメーター]で調整します。

音量調整のポイントは音をピーク内に収めることです。ピークを越えるとオーディオメーターが赤色になります。赤色になると音が割れて元に戻らなくなります。そのため赤色にならないよう調整します。

「fx ボリューム」の左にある三角矢印をクリックすると時計マークに「バイパス」「レベル」と出ます。この二つに注意して、ピークを超えないように値を調整します。

時計マークが青色の時は、時間で音量が変わってしまうので、時計マークをクリックして、白色にします。音量が大きい時は、「0.0dB」をマイナスにします。

ボリュームエフェクト

逆に音が小さいときは数値を加え、持ち上げるように音量を足していきます。エフェクトコントールでは音量を大きくするのは6dBが限界に設定されています。さらに音量を調整するためにはエフェクトのボリュームを使用します。

ボリュームエフェクトは重ね掛けすることができるので、全体で18db以上に上げたいと思ったらボリュームエフェクトを三つコピー&ペーストしてかさ上げします。

この時注意するのは、それまで気づかなかったノイズも音量が上がってしまうことです。簡易的にホワイトノイズなどを消したい時には、【クロマノイズ除去】エフェクトをかけることによって目立たなくすることができます。

自在に音量を調整する

トラックごとに音声の調整が終わったら、試写をしながら個別の調整に移ります。たとえばインタビューなどで、インタビュー相手の声量が急に小さくなったりすることがあります。

そんな場合は小さくなった部分だけを持ち上げてピンポイントで音量をかさ上げすると聞きやすくなる場合があります。

音声トラックはキーフレームを打つことができます。上げ下げしたい場所の前後にキーフレームを打ち、挟まれた中間部分を上下に移動することで音量が調整できます。

音をだんだん小さくしたり大きくしたりする場合は、音声に[トランジション]を適用することができます。

方法は映像に[トランジション]エフェクトをかけるのと同様にエフェクトを適用します。

音の中身を理解する

編集技術の習熟とならんで大切なのが、音の中身を聞き分けることです。

人気YouTuberとして知られるやまもとりゅうけんさんが語る国語力とは話の内容を理解して適切な編集ができる能力のことを言います。

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分かりやすいのがバラエティのトーク番組です。番組の収録時間は番組によっては倍近い時間を使って撮るといいます。撮った素材を聞きながら使えるトークを切り分けて尺に近づけていくのがテレビの編集です。

場合によっては違うトークの部分をつなぎ合わせたり、前後を入れ替えたりしてつなぐことだってあります。

優秀な編集者は音の中身を頭の中で並べ替えながら、短い時間の中に落とし込む努力を欠かしません。そのためにはトークの内容を理解し分解し、再構成するだけの国語力が必要になるのです。

こうした力を持った映像編集者はそう多くありません。

動画編集の音編集で重要なことは、音のバランスを保つこと。そして、音の中に込められた価値を掘り出すことです。

音声を自由に調整するスキルが手に入ると編集の幅が広がります。

きれいな映像やインパクトのある映像でも視聴者の関心をつなぎとめることはできますが、長くは持ちません。逆に映像に変化はなくても音がしっかりしていれば持つシーンをつくることができます。映像に比べ音の編集は地味な作業ですが、作品の出来を大きく左右する力を持っていることを常に忘れないようにしましょう。