映像編集をやっていると、「あ〜このシーン、あの人さえいなければ…!」とか「ロゴ消したいけど撮り直せない…」って瞬間、ありませんか?
そんなときにめちゃくちゃ便利なのが、After Effectsの「コンテンツに応じた塗りつぶし(Content-Aware Fill)」。
Photoshopでおなじみのこの機能、After Effectsでも動画に対応してくれてるって、本当にありがたい。ただ、正直に言うと、うまくいかないこともあります。私も最初は「全然消えないじゃん!」と何度も壁にぶつかりました。
ということで今回は、「コンテンツに応じた塗りつぶし」がうまく機能しないときの原因と対処法について、実体験も交えてわかりやすくまとめます!
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After Effectsで「コンテンツに応じた塗りつぶし」がうまくできないときの対処法【初心者向け】
🎬 コンテンツに応じた塗りつぶしってどんな機能?
簡単に言うと、映像から特定の物体を自然に消してくれるAI機能です。
たとえば…
- 空に映り込んだ飛行機
- 通行人が一瞬映り込んでしまった
- 車体に入っている企業ロゴ
こういった「消したいけど撮り直せないもの」に対して、周囲のピクセルを分析して、違和感なく自動で埋めてくれるのがこの機能のすごいところ。
Photoshopでいう「コンテンツに応じた塗りつぶし」の動画版ですね。
🛠 基本的な使い方(おさらい)
手順はとってもシンプルです。
- マスクを作る
→ 消したい対象をペンツールなどで囲む(マスク) - ウィンドウ → コンテンツに応じた塗りつぶし を開く
- 設定を確認
→ 塗りつぶし方法(オブジェクト/サーフェスなど)と範囲(ワークエリア/全体など) - 生成ボタンをクリック!
しばらく待つと、元の映像に被せる形で“修正されたフッテージ”が生成されます。
これだけで、見事に物体が消える…はずなんですが――
😩「できない!」「うまく消えない」よくあるトラブルと原因
「なんか残っちゃってる…」「マスクの内側が真っ黒になったまま」
そんなとき、考えられる原因は大きくこの3つです:
❶ マスクの範囲が適切でない
よくあるのが、「マスクが小さすぎる」「境界がガタガタ」なケース。
塗りつぶしは周囲のピクセルを参考にするので、マスクの精度が低いと、AIが混乱します。
✔対処法
- マスクの境界は滑らかに(境界ぼかしを少し加えるのも効果的)
- 動いている被写体は、キーフレームでマスクを追従させると精度UP
❷ 背景が複雑すぎる
例えば、人が動いている雑踏の中から一人だけを消すとか、背景に木の枝が絡み合っているようなシーンでは、AIも精度を出しきれません。
✔対処法
- 無理に一発で消そうとせず、複数回に分けて処理
- マスクを細かく調整しながら少しずつ消していくと、自然になります
❸ 映像の解像度や画質が低すぎる
周囲の情報が少ないと、AIもどうしていいかわからなくなります。
✔対処法
- 解像度の高い映像で作業する
- どうしても無理な場合は、Photoshopで静止画処理→After Effectsに戻すという方法があります。少し手間はかかりますが、仕上がりのクオリティは段違いです。
↓詳しくは下記をご覧ください。
Photoshopで静止画を編集して不要物を消し、それをAfter Effectsに戻す手順
After Effectsで「コンテンツに応じた塗りつぶし」がうまくいかないとき、Photoshopを使って静止画ベースで不要な部分を手動で消してから、再びAfter Effectsでアニメーションに戻すという裏技的な方法があります。手順は次の通りです。
- After Effectsで静止フレームを書き出す
- Photoshopで不要物を消す
- 修正済み画像をAfter Effectsに読み込み
- モーショントラッキングやモーションブラーなどで馴染ませる
① After Effectsで静止フレームを書き出す
- 不要な物体が映っているフレームをタイムラインで停止
- メニューから
[コンポジション] → [フレームを静止画として保存] → [ファイル] を選択 - 書き出し形式を PNG または PSD にして保存(背景透過したい場合はPNG)
🔍ポイント: 画質を落とさないために、解像度はフルに設定しておきましょう。
② Photoshopで不要物を削除(静止画像の修正)
- Photoshopで先ほどの静止画像を開く
- 不要な部分を選択(なげなわツールやクイック選択ツールが便利)
- [編集] → [コンテンツに応じた塗りつぶし] を実行
(もしくは、修復ブラシツールやスタンプツールでもOK)
💡背景が複雑なときは…
自動塗りつぶしではなく、手動でレタッチした方が自然に仕上がることもあります。
- 修正が終わったら保存(上書き or 名前をつけて保存)
③ After Effectsで画像を読み込む
- After Effectsに戻って、Photoshopで修正した画像を読み込む
→ [ファイル] → [読み込み] → [ファイル] - タイムライン上に、修正済み画像を置く
- 必要に応じて以下を調整:
- モーションブラーをON
- エフェクト(明るさ・色調)で元映像に馴染ませる
- Opacity(不透明度)でブレンドする
🔧場合によっては…
- トラッキング(モーショントラッキング)を使って、画像をカメラの動きに追従させると自然です。
④ 必要に応じてアニメーションやエフェクトを追加
もし、修正した画像を数フレームだけ使いたい場合は、
- フリーズフレームとして表示させてからフェードアウト
- ワイプやモーフィングで切り替える
など、編集の工夫で違和感をカバーできます。
✔メリット
- After EffectsのAI塗りつぶしより精密な修正ができる
- 静止画なので、Photoshopの全ツールが使える(細かいレタッチ可)
- フレーム単位で調整できるので違和感の少ない消し方が可能
✖デメリット
- 動きがある映像だと他のフレームとのつながりが不自然になりやすい
- PhotoshopとAfter Effectsを行き来する手間と時間がかかる
- 映像の尺が長い場合は1フレームだけ修正しても限界がある
💡こんなときにオススメ
- 数フレームだけ不要物を消したい
- コンテンツに応じた塗りつぶしがうまく働かない(背景が複雑)
- 高精度な仕上がりが求められる場面(CMやYouTubeサムネの一部など)
💡コンテンツに応じた塗りつぶしでどうしても色味や質感が変になってしまうときは?
これ、初心者あるあるです。
「ちゃんと消えたけど、なんか色が違う…」「質感が違って浮いてる」
これは、周囲のピクセルの色味・明るさに引っ張られているため。AIは周辺を参考にして塗りつぶしているので、境界のバランスが悪いと違和感が出てしまうんです。
✔対処法
- マスク範囲を少し拡大して、広めに囲む
- 「コンテンツに応じた塗りつぶし」ウィンドウの**「アルファ拡張」設定を調整**
- 最後の調整として、カラー補正(カーブやトーン)で馴染ませる
🎨 コンテンツに応じた塗りつぶしのメリット・デメリット
👍メリット
- 撮り直しができないシーンでも“後から”修正できる
- 作業が速い!AIのおかげで、数分で消せることも
- 映像の自然さを保ったまま、不要な要素だけを削除可能
👎デメリット
- マスクの精度にかなり左右される
- 複雑な背景には向かない
- レンダリングに時間がかかる場合も(特に長尺だと重い)
✅まとめ:焦らず試して、失敗から学ぼう
After Effectsの「コンテンツに応じた塗りつぶし」は、間違いなく革命的な機能です。
でも、正直言うと「魔法みたいに消える!」とはいかないことも多いです。僕自身、最初は何度も失敗して、マスクをいじってやり直して…の繰り返し。でも、少しずつ精度が上がっていく感覚が楽しいんですよね。
失敗しても落ち込まないでください。うまくいかないときほど、映像編集スキルは伸びます。
大事なのは、「なぜ失敗したのか?」を考えて、一歩ずつ調整していくこと。
映像から“不要なものを消す”って、ある意味で「時間を巻き戻す」ような魔法です。あなたの映像にも、そんな魔法をかけてみてください。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 After Effects コンテンツに応じた塗りつぶしができない原因と解決方法を書きます。