「いや、あの動画はオタクでしょ」
これまで一部の若者たちの趣味、と扱われてきたショート動画・短尺動画に注目が集まっています。
TikTokやYouTubeショート。それにインスタグラムにツイッター。
動画を見てわかるのは、短尺動画のユーザー層が中高生から拡大していること。
仲間うちだけで通じる意味のない動画の中に、明らかに狙いを感じる動画が増えています。
手軽に短尺動画を作る方法をご紹介します。
ショート動画とは
ショート動画とは1分以内で作る動画のこと。
YouTube動画は4分以下の短尺と16分以上の長尺に二極化している調査結果にも見られるように、隙間時間で気軽に見られる短尺動画に注目が集まっています。
短尺動画は数万〜数十万人の登録者数で見ても再生回数は数百万回再生まで伸びる可能性があるとも言われています。
YouTubeやTikTokが採用したのは1分という尺です。
作ってみるとわかるのは、1分間持たせるのは結構大変です。
初心者はまず作りやすい30秒尺から始めましょう。
手抜きに見えないショート動画の作り方
手抜きに見えないショート動画を作るには、入口と出口を工夫すること。
ショート動画は「ながら見」の動画です。
最初の2秒で最後まで視聴されるかどうかが決まります。
掴みと着地が決まることでお客さんの満足度を上げることができます。
とはいえ、限られた時間、限られた素材に加え、30秒という短い時間で勝負するには、可能な限り「あり物」を使って効率化するしかありません。
ショート動画の機材
ということで今回作ったのは本の紹介動画です。
辻村深月さんの新刊。ターゲットは30代女性層。
社会派SFサスペンス。30代男性層を想定して選曲・デザインしました。
20代のコアなファンが多い阿津川辰海さん。ミステリーっぽさを薄めた選曲・デザインです。
書影という動かない一枚絵を使いながら、ターゲットを絞り込みながら商品を伝えるのが狙いです。
武器となるのはナレーション原稿。コメントを届けるために動画のエフェクトをあしらうことにしました。
書籍紹介動画というジャンルでは、TikTokの「けんご@小説紹介」さんの成功例が知られています。
動かない一枚絵を30秒間引っ張るためには、編集ソフトの力を借りる必要があります。
選んだのはFilmoraという有料ソフトです。Filmoraのメリットは初心者でも扱える操作性の高さと搭載されているエフェクトの量です。
YouTuberの間ではPremiere Proを使う人が結構いますが、エフェクトは自分で工夫しなくてはなりません。
Filmoraの場合は使いたいエフェクトを画面に貼り付けるだけで終わるので何も考えずに編集ができます。
もう一つ役に立つが音声合成ソフトVoice Peak。voicepeak 商用可能 6ナレーターセット がおすすめです。
人工音声の開発は進歩を遂げています。
無料で使えるサービスも増えていて、手書きの文字を入力するだけでナレーション音声が簡単に作れるようになりました。
音声合成 が進化、入力文字読み上げソフト登場 VOICEPEAK | ぶいろぐ
今回は、編集ソフトと音声合成ソフト。それにBGM素材を使うことで下記のような短尺動画を一時間で作りました。
VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット 体験版ダウンロード|体験版ダウンロード|製品情報|AHS(AH-Software)
ショート動画制作の手順
Filmoraを起動します。
ダウンロードはWondershare公式ページからできます。
プロジェクトの設定画面でアスペクト比を確認します。今回はInstagram投稿用に正方形(1080×1080)を選択してタイムラインを開きます。

あらかじめ周囲を透明に処理した書籍表紙の静止画と背景に使う動画を用意します。
二つの素材を30秒にカットしてタイムラインに配置します。
これでFilmoraの下準備は一旦完了です。
音声合成ソフトを起動します。

音声合成ソフトにおよそ27秒のコメントを入力して人工音声の調整を行います。

コメントは事前にgoogleドキュメントなどに下書きします。
コメントのできばえが短尺動画の成否を左右するので特に書き出しと着地点には注意します。

音声部分ができあがったらWAV形式でエクスポートします。
30秒間間を持たせる上で欠かせないのがBGMです。
素材サイトから書籍とナレーションコメントのイメージに合いそうな動画と楽曲を探します。

上の図は素材サイトenvato elementsのストックビデオ一覧です。
動画は青空の雲の流れとか、都会の雑踏といった動きがあるけれどそれ自体に意味を持たない映像が使いやすいです。
好みの動画を探してダウンロード登録することで、ライセンス期間中の登録に限りサブスク料金で使い放題になります。

楽曲素材も同様にenvato elementsからダウンロードします。
楽曲探しのポイントは音の立ち上がりがしっかりしていて、中盤以降はナレーションの邪魔にならないこと。
聞いていて邪魔にならないけれど記憶に残らないような楽曲がベターです。

ダウンロードして所定のフォルダに格納したら再びFilmoraを開きます。

動画素材と楽曲をタイムラインに配置します。

楽曲の冒頭から数秒のところにキーフレームを打ちます。
キーフレームを打つには音声部分を右クリックすると調整用のプロパティが現れるので、タイムラインのインジケーターをキーフレームを打ちたいところにもっていきクリックします。

するとプロパティのオーディオスライダーの下にあるアイコンが変わります。
タイムライン上にできた小さな丸をマウスでドラッグすると音量を変えることができます。

一度試写をしてナレーションをBGMが食わないように音のバランスを調整します。
映像にエフェクトを加えるため、トランジションを開きます。
トランジションからいい感じのエフェクトを選んでタイムラインの映像にドラッグ&ドロップします。[1]このクリップで使ったエフェクトは、書影の入りは「トランジションワープズーム」、出は「Hollor Film … Continue reading

エフェクトは直接書籍画像の上においてもいいですが、書籍画像と背景動画の間にタイムラインをもう一つ作り背景動画に変化をつけてもOKです。
エフェクトをかける上のポイントはタイミングとテンポが良くなるようにすることです。
エフェクトは手段であって目的ではありません。
手段だからこそ結果にこだわらず使い倒すのが正解です。
ある程度キリのいいところで、再び試写をします。
良ければプロジェクトを保存した上で動画に書き出します。
エクスポートは少しでも軽量化するためMP4で行います。
WordPressなどのウェブに埋め込む場合はWebM動画にも書き出しておきます。
YouTubeショートへの投稿手順については別記事にまとめました。
短尺動画「 YouTube ショート 」の作り方 | ぶいろぐ
まとめ
手抜きに見えない短尺動画を作るときのポイント
ターゲットと狙いを明らかにするメッセージを伝える「掴みと着地」にこだわるエフェクトは最後に盛る
視聴者がおやっと感じ、見はじめたらするっと見てしまい、得した感じになる。
短い時間でも工夫次第でいろいろなことがチャレンジできます。
特に動画投稿を始めたばかりの初心者にしてみれば、渾身の大作を一本作るより、実験作を数多く作った方が当たる確率は高まります。
もしうまくいった動画が見つかれば、その動画をテンプレートにして続編を作りましょう。
数を増やしていくうちに手間をかけずに作れる自分だけの秘伝のレシピができ上がります。
References
↑1 | このクリップで使ったエフェクトは、書影の入りは「トランジションワープズーム」、出は「Hollor Film Pack」を、途中に足したエフェクトは「MPEGグリッチ」「VCRディストーション」「EdgeScale」「カオス」「ショーケース」などを使いました |
---|
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 ショート動画 を書きます。