「動画のタイトルに使うテキストアニメーションをAfter Effectsで作るか、生成AIで作るか」という選択って、ここ最近ほんとうに“ガチの分かれ道”になってきました。
今日は、
「どんな人はAfter Effectsで作った方が得で、
どんな人は生成AIに丸投げした方が得なのか?」
という究極(初心者にとっては案外どちらでもいい)難問を深堀りしていきます。
まず結論:あなたはどっち側の人?
先にざっくり結論を書いておきます。
After Effectsで作った方が得する人
- クライアントワークで「修正」が頻発する人
- テロップやタイトルの“世界観”を自分の手で細かくコントロールしたい人
- 「このテキストアニメーションだけで仕事を取る」くらいの武器にしたい人
- 3年スパンで「動画編集を本業クラスに育てたい」人
生成AIで作った方が得する人
- 自分は企画・撮影・出演がメインで、とにかく編集に時間をかけたくない人
- 短尺コンテンツ(ショート/リール)を、毎日じゃんじゃん出したい人
- デザインセンスに自信がなく、とりあえず「それっぽく動いてくれればOK」な人
- YouTubeやSNSの検証用に、まずは本数を出すフェーズの人
どちらも「正解」なんですが、
どのフェーズで、何を目的に動画を作っているかで、かなり答えが変わります。
ここから具体的なシーンを挟みながら、もう少しリアル寄りに掘っていきます。
シーン1:夜中の2時、納期前日。クライアントからの一通のLINE
想像してください。
- 納期前日、時間は夜中の2時。
- あなたは、企業案件のPR動画をAfter Effectsでコツコツ組んでいる。
- メインタイトルのところは、ちょっと凝った3D風テキストアニメーション。
- 「今日これで終わりにしよう」と書き出し中に、スマホが震える。
クライアント「すみません!
タイトルの文言、やっぱり変えられますか?
“未来を変えるテクノロジー”じゃなくて
“未来を動かすテクノロジー”でお願いしたく…!」
どっちのツールで作っているかで、ここからの展開が変わります。
After Effectsで作っている場合
・テキストレイヤーを書き換え
・キーフレームはそのまま
・必要ならカーニングと位置を微調整
・レンダリングし直し
もちろん面倒くさいんですが、
構造がぜんぶ自分の中とプロジェクトファイルの中にあるので、
「まあ…30分あればいけるか…」
で済むことが多い。
生成AIで作っている場合
ここが地味にしんどい。
- 文字列を変えたら、ほぼ別物のアニメーションとして再生成される
- 前に出した「完璧なタイミング」が、もう一度再現されるとは限らない
- 動きや質感が微妙に変わって、「あれ?さっきの方が良かった…」という地獄
もちろん、最近は
「テキストを差し替えるだけで再生成してくれるツール」も増えてきていますが、
ピンポイントでこのフレームのこの動きだけ直したいというときに、
- After Effects → キーフレームを1個いじればOK
- 生成AI → もう一回ガチャを回す(当たるかは運)
になりがちなんですよね。
After Effectsがまだまだ“強すぎる”ポイント
1. 「修正が前提」の仕事に向きすぎている
クライアントワークって、基本的に
「最初のラフ」→「修正版」→「最終版」
(多いときは4〜5ラウンド)
という感じで進むじゃないですか。
そのたびに
- タイミングを2フレームだけ後ろに
- 文字を1文字増やしたい
- この単語だけ色を変えたい
みたいな修正が発生します。
After Effectsは、こういう細かすぎる注文への”耐性”が異常に高い。
「変えたい部分だけ変える」ことができる。
一方で生成AI動画は、今のところどうしても
「全体をまとめて作り直す」
になりやすくて、
「そこじゃないんだよ…!」
となることも多いです。
クライアントワークや、
自分のブランド動画を長く育てていきたい人は、
やっぱりAfter Effectsを触れるようになっておくと、長期的にものすごく得します。
2. 「ブランドの世界観」を積み上げたい人向け
YouTubeやnoteでブランドを育てるとき、
タイトルアニメーションって、実は視聴者の記憶を積み上げる武器なんですよね。
- 毎回ちょっとずつ違うけど、「あ、このチャンネルっぽいな」って分かる動き
- BGMの入りと絶妙にシンクロしたテキストの出方
- ロゴアニメーションとのつながり方
これを長期的に同じフォーマットで運用するなら、
After Effectsのテンプレートを自作しておいた方が圧倒的に強いです。
生成AIは「その場のベスト」を短時間で出すのは得意ですが、
「積み上がる一貫性」つまり「なじみのあのイメージづくり」は、
まだ人間の方がコントロールしやすい。
3. After Effectsのスキル自体が“資産”になる
そしてもうひとつ大事なのが、
After Effectsが使える=
「生成AIの結果を“微調整できる人”になる
ということ。
例えば、生成AIで出したテキストアニメーションを
- 少しスローモーションにして尺合わせ
- 一部だけモーションブラーを強める
- 途中で一瞬だけフリーズフレームにして「間」を作る
みたいな“仕上げの編集”ができるかどうかで、
動画全体のクオリティが一段上がるんですよね。
なので、将来的に
- AI動画を扱うディレクター
- YouTubeのチャンネル運営者
- 動画講座・教材を販売したい人
を目指しているなら、
After Effectsは“遠回りっぽく見えるけど、実は近道”だったりします。
じゃあ、生成AIで作った方が得する人って誰?
反対に、生成AIでサクッと作った方が得するケースも
めちゃくちゃ多いです。
1. 「とにかく本数」が正義なフェーズの人
YouTubeやInstagram、TikTokの最初期って、
1本の完成度より、まずは30〜50本アップする方が大事
だったりします。
この段階で、
- タイトルアニメーションをAfter Effectsでガチガチに作り込む
- 1本に4〜5時間かけてしまう
というのは、ぶっちゃけコスパが悪い。
たとえて言うなら「中国の製造業」。
とにかく物を作ってクレームが来たら丸ごと返品交換に応じちゃうというあのイメージです。
このフェーズの人は、
- 生成AIでタイトル用の短い動画を作って
- それを編集ソフトに貼るだけ
くらいの割り切り方でいいと思います。
「毎日1本投稿する」が目標なら、
多少粗くても続けられるワークフローの方が100倍大事。
2. 「自分はしゃべりと企画が本体」というタイプ
たとえば…
- 顔出しで喋るのが得意な教育系チャンネル
- 雑談・レビュー・書評など、内容勝負のコンテンツ
- BGMとトークがメインのポッドキャスト切り抜き
こういう人たちにとって、
テキストアニメーションは主役じゃなくて脇役です。
だったら、
- タイトルと見出しだけ、生成AIで「それっぽく」動かす
- 細かいニュアンスよりも、「静止画よりマシ」くらいの位置づけにする
ぐらいの方が、トータルで見ると得をします。
間違っちゃいけないのは、「手抜き」が目的ではないということ。
AIにおまかせして浮いた時間で、
- 台本を練る
- サムネの構成を考える
- noteの記事と連動させる
こっちに時間を使った方が、
売上や登録者数には直結しやすい。
3. 「デザインセンスに自信がない」初心者
正直に言います。
初心者が最初からAfter Effectsを開いて
「カッコいいテキストアニメーションを作ってみよう!」
とやると、
だいたい「昭和の結婚式ビデオ」みたいになります(笑)
- 変なところでイージングが効きすぎる
- 影や縁取りを盛りすぎる
- 動きが速すぎて読めない
デザインの“経験値”がないうちは、
AIが提案してくれるテンプレートに乗っかってしまった方が安全です。
最近の生成AIツールは、
- すでにプロがデザインしたレイアウト
- トレンドっぽいモーション
- YouTubeショートやTikTok向けのフォーマット
をベースにしてくれるものも多いので、
「まずはダサくないライン」をAIに守ってもらうイメージで使うと良いです。
現場目線での「ハイブリッド戦略」
ここまで、
- After Effectsで作った方が得する人
- 生成AIで作った方が得する人
を分けて話してきましたが、
デザイン素人の私自身が一番やっているのはハイブリッドです。
つまりいいとこどり。
戦略イメージ
- 生成AIで“案”を10本出す
- 「こんな動きもありか」「このフォントの雰囲気いいな」と、
見た目のデザインをつくるための発想のタネにする
- 「こんな動きもありか」「このフォントの雰囲気いいな」と、
- 少し手間がかかってもいいのでAfter Effectsで気に入った動きをアニメーションとして再現する・部分的に組み替える
- ここで「自分のブランド用のテンプレート」に昇華させる
- テンプレ化したAfter Effectsプロジェクトを
“生成AI素材の受け皿”として使う- 背景や装飾だけAIで量産して、テキストアニメだけは自作のものを載せる
こうすると、
- 発想のスピードはAI並み
- 修正耐性はAfter Effects並み
- ブランドの世界観もブレにくい
という、わりと美味しいポジションが取れます。
具体的なワークフロー例(ショート動画タイトル)
たとえば、「みんなが教えてくれたミステリー本」を毎日アップするケース。
- 生成AIで背景ループ動画を生成
- 抽象的なグラフィックや、軽く動くパターンのアニメ
- After Effectsで「ニュース速報」的なタイトルテキストアニメのテンプレを作る
- 色:チャンネルのテーマカラーに固定
- 動き:
- 冒頭0.5秒でスッと出てくる
- 1秒間だけホールドして読ませる
- その後は小さくなって隅に移動
- 毎日やる作業は
- テキストを書き換え
- 日付だけ差し替え
- 背景のAI動画を差し替え
これだけ。
タイトルアニメーションの「思考の部分」はとっくに終わっていて、
毎日の作業は“入力と書き出しだけ”という状態になります。
こんな人は「今はAIだけでOKです」
最後に、
「で、結局自分はどっちを頑張ればいいの?」
という人向けに、ざっくり診断を書いておきます。
今は“生成AIだけ”で十分な人
- 本業が別にあって、副業で動画・ブログをやっている
- YouTube・TikTok・リールは、まだ「実験段階」
- クライアントワークではなく「自分のチャンネル運営」がメイン
- タイトルアニメの細かいニュアンスより、とにかくネタ出しと投稿頻度を上げたい
この条件に当てはまるなら、
After Effectsは一旦“あとまわし”でも大丈夫です。
その代わり、
- 生成AIツールのテンプレの使い方
- 書き出し設定(解像度・フレームレート・コーデック)
- SNSごとの尺と縦横比の違い
このあたりは、しっかり押さえておくといいです。
こんな人は「そろそろAfter Effectsを触り始めるべき」
- すでに有償の動画案件を受け始めている
- チャンネル登録者が数千〜1万人を超え、ブランドっぽさを出したい
- noteやオンライン講座で、「動画の作り方」を教える立場になりたい
- 生成AIを使っているけど、「あと1歩を自分で仕上げたい」と感じている
このあたりに当てはまるなら、
少なくともテキストアニメーションだけでもAfter Effectsで作れるように
練習しておくと、後々めちゃくちゃ得します。
まとめ:「編集者になるか、ディレクターになるか」の話でもある
最後に、ちょっとだけ哲学っぽい話を。
- After Effectsで細部まで作り込むのは、
どちらかというと“職人型の編集者”に近い働き方。 - 生成AIに任せて構成・企画・全体の流れに集中するのは、
“ディレクター”に近い働き方。
どちらが偉いという話ではなくて、
自分はどっちのポジションで勝負したいか?なんですよね。
僕自身は、
「AIとAfter Effects、両方を道具として使い分ける編集者兼ディレクター」
みたいな立ち位置を目指して、
試行錯誤しながら日々精進を積み重ねています。
あなたが今やっていること、
これから3年かけて育てたい仕事。
それを一度イメージしてみてから、
「今の自分にとっての“得”はどっちだろう?」
と考えてみてもらえたらうれしいです。










こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 テキストアニメーション はAfter Effectsか生成AIか?を書きます。