映像制作における「構成表」の重要性
「何を撮ればいいのかわからない」「撮影した映像をどう繋げればいいのか悩む」──そんな課題を解決するのが、映像制作の設計図とも言える『構成表』です。
構成表を作成することで、撮影する要素を細かく整理し、グループ化することで映像の流れが自然にまとまります。特にビジネス動画(商品紹介・企業PRなど)では多くのシーンやカットを活用するため、構成力が求められます。
今回は、番組制作の基本メソッドである「構成表」について解説します。特にビジネス動画、例えば商品説明や企業紹介などで多くのシーンやカットを使う際、構成力が求められます。
ここでは、NHKプロデューサーが大学生向けに行った実習を基に、実際に役立つテクニックを紹介します。
初心者でも一撃でわかる『 構成表 』の作り方
構成表とは、映像の流れを一枚のシートで可視化したものです。

これにより、
✅ 企画説明がスムーズになる
✅ 情報共有がしやすくなる
✅ スケジュール管理が楽になる
構成表を活用することで、動画の品質向上だけでなく、チームのコミュニケーションも円滑になります。
構成表の作り方(3つの要素)
構成表は 「映像」「内容」「時間」 の3つの要素から成り立ちます。映像の並び順次第で意味が変わることもあるため、撮影前に構成のシミュレーションを行うことが重要です。

📌 構成のポイント
- シーンをブロック化する (流れを視覚化)
- ホワイトボードや付箋を活用 (場面を整理する)
- 一枚の紙で全体像を俯瞰する (撮影のイメージを明確化)


動画構成の鉄板方程式「CAMS」
映像を分かりやすく構成するためには、CAMS (CATCH、APPEAL、MOTIVATE、SUGGEST)の法則が便利です。
1️⃣ CATCH(つかみ) → 視聴者の興味を引く冒頭シーン
2️⃣ APPEAL(自己主張) → 動画の目的や価値を明確化
3️⃣ MOTIVATE(動機づけ) → 視聴者に行動の理由を提供
4️⃣ SUGGEST(提案) → 具体的なアクションを促す
この流れを意識することで、視聴者が直感的に内容を理解しやすくなります。
CATCH(つかみ)
お笑い芸人が舞台で観客をひきつけるために最初に放つギャグのことです。つかみはターゲットの興味を引きつける効果があります。
動画でよく使われるのが、動画の中の印象的なシーンの一部を先に見せる演出です。「アバン」とも言います。結論を先に見せられると視聴者はそのシーンの続きが気になります。
視聴者にとっても、最後まで見ないと中身のわからない動画は時間を無駄遣いするリスクを感じます。つかみで印象的なシーンをチラ見せすることで、視聴者は直感的にこの動画が誰に向けて何を訴えようとしているのか理解します。動画の冒頭にパンチの効いたシーンを持ってくることで動画全体にリズムも生まれます。
動画の冒頭の短い時間の中に効果のあるつかみを入れることは、制作者だけでなく視聴者にとってもメリットがある構成の一つです。
APPEAL(自己主張)
いったん興味を持ってもらった観客向けに、自己主張するシーンです。先を急いでいる通行人の足を止めたのですから、つかみに続いて間髪入れずに訴求することが肝心です。
この動画を見ることで何が得なのかを明確に伝える部分です。つかみで見せた映像は説明がありません。商品であれば効能やサービスの中身など、動画に関心を持った人にとって解決策や回答になるような内容が展開される場面です。
MOTIVATE(動機)
動画を見終わった後、観客が行動を起こすための動機づけを行う場面です。具体的な事実や評価などを例示しながら、観客が持つ不安や疑問を解決する補足的な情報を伝えます。
SUGGEST(行動の提案)
視聴者に向けてメッセージを提案する場面です。
コマーシャル動画なら売りたい商品のアピール。イベントや旅番組ならアクセス方法などが当たります。
重要なのは、期待する行動について、何をどのようにして行うのか。どのような結果が得られるのか具体的に示すことです。
動画編集のコツは、カット単位の映像に目を奪われるのではなく、数カットをまとめて作ったシーンを元に構成の流れを考えることです。このことを裏返すと撮影した動画の中で最も印象的で強いカットを見つけ、そのカットに意味を与える事かもしれません。
型を使うことのメリットは、視聴者から期待する行動を引き出しやすくなることです。構造をブロックのように分けることで、作る側にしても評価や改善がしやすくなります。
まとめ
構成表は映像制作の基礎を固めるための重要なツールです。
構成表を作ることで 「映像の整理」「チームとの情報共有」「スケジュール管理」 などがスムーズに進み、質の高い動画が完成します。
テレビ局では、ホワイトボードにシーンの短文を書いた付箋を貼り、ディレクターと編集者がシーンの順序をあれこれと考えながら、最適な流れを見つけ出しています。しかし、現場ではその方法は使えないため、構成表が必要です。
撮影現場で予測不能な出来事が起きた場合は、柔軟に構成表を修正しながら対応しましょう!
チュートリアル動画
参考

ビジネス用途の動画、例えば商品説明や企業紹介など、シーンや項目、カット数が多い動画は構成力が必要になります。元NHKプロデューサーの著者が大学生向けに開いた実習を元に書かれた実用的なテキストです。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 構成表 を書きます。