動画編集をやっていると、必ずぶち当たるのが「専門用語の壁」。
RAW? LOG? LUT? …正直、最初は何を言っているのか全然わからなかったんですよ。僕も。
YouTubeの編集をしているだけなら「明るさをちょっと直して、色温度を少し変えて…」ぐらいで満足してたんですけど、いざ企業VPとかCMの仕事になると、当たり前のように飛び交うわけですよ。「今回はLOGで撮ってあるから、LUT当てて雰囲気見てね」とか。
いやいや、待ってくれと。こっちはPremiereのLumetriカラーをちょっといじって遊んでただけなんだぞ…って。
今日は、そんな僕みたいに「RAW?LOG?LUT?わけわからん!」と頭を抱えている人に向けて、超初心者目線で整理していきます。
どこが違うの?LUTと RAWとLOG 。初心者におすすめのLUTとは
RAWとは?「全部入りフルコース」
RAWをひとことで言うと「撮像素子が見たままを全部保存した生データ」。
写真でいうRAWとほぼ同じです。
- 明暗の情報
- ホワイトバランスの余白
- シャープさの調整幅
とにかく「後から自由にいじれる余地」が大量に残っているんです。
でもね、これがまた曲者で。
そのまま再生すると「眠たい映像」なんですよ。色も薄いし、コントラストもなくて、「え、これで本当に大丈夫?」って不安になるやつ。
例えば、ある日の夕暮れ。
肉眼ではオレンジに染まった雲がすごくキレイに見えていたのに、RAWで撮った映像をそのまま再生したら「灰色の雲」。
「え?俺が見たあの夕焼けはどこ行った?」ってなる。

でも大丈夫。これは「現像」前提だから。DaVinci ResolveやPremiereで手を加えれば、本当に見た景色以上に美しく引き出せる。RAWは「食材全部入りのフルコース」って覚えてください。シェフ(編集者)の腕次第で最高にも最悪にもなる素材です。
LOGとは?「定食セット」
RAWに似てるけど、実はちょっと違うのがLOG。
ざっくり言うと「RAWをちょっと圧縮した、編集前提の映像データ」です。
LOGで撮影すると、黒潰れや白飛びを抑えながら、広いダイナミックレンジを記録できます。
ただし容量はRAWより軽い。つまり「効率的に撮れる」ってわけです。
でも、再生したときはやっぱり「薄い」「眠たい」感じ。
初めてLOGを再生したときは、「うわ、やっちまった!カメラ壊れた?」って焦ったくらい(笑)。
例えば、真夏のビーチで撮影したシーン。
空は白飛びしそうだし、砂浜はまぶしいし、逆に人の顔は影で暗くなる。普通の撮影だとどっちかが犠牲になるんですよ。
でもLOGで撮ると、空の青も砂の質感も、人の表情も全部「残ってる」。その代わり「地味~」な映像に見える。
ここでLUTをかけると「ジャーン!」って色が立ち上がるわけです。
LOGは「栄養バランスの取れた定食セット」みたいなもので、そのまま食べると味気ないけど、調味料(=LUTやカラーグレーディング)で仕上げれば最高の食事になるんです。
LUTとは?「お好みフィルター」

で、いよいよ登場するのがLUT。
Look-Up Tableの略で、簡単に言えば「色味のプリセット」「映像フィルター」です。
LOGやRAWで撮った「薄い映像」に、LUTを一発当てると……

「おぉぉぉ!映画っぽい!!」ってなる。
- LUTをかける → ハリウッド映画みたいな色合い
- 別のLUTをかける → インディーズ映画っぽい淡いトーン
- さらに別のLUT → YouTube風のポップな色味
って感じで、同じ素材でも全然違う表情になる。
僕が初めてLUTを使ったときの衝撃は忘れられません。
LOGで撮った映像をPremiereに取り込んで、LUTをポンっと当てた瞬間。
「……あれ?俺、映画監督かも?」って一瞬勘違いしましたからね(笑)。
初心者におすすめのLUTは?
さて、LUTを使いたくても「種類が多すぎてわからん!」ってのが初心者の悩み。
最初におすすめしたいのは「ティール&オレンジ系LUT」です。
ハリウッド映画でも定番で、青っぽい影とオレンジっぽい肌のコントラストが気持ちいいやつ。

ただし注意点があって、そのまま当てると「海外仕様」になってしまうこと。
白人の肌基準で作られていることが多いので、日本人を撮ると「顔オレンジすぎ!」ってなったりするんです。

そこでちょっと手直しが必要。
Lumetriカラーで「ミッドトーンをほんのりオレンジ」「シャドウを青緑(ティール)」に寄せてあげる。
これだけで「ちょうどいいティール&オレンジ」になります。
つまり、初心者におすすめなのは 「配布されているLUTを試す+自分で微調整する」 というやり方です。
最初から完璧にやる必要はなし。「あ、この雰囲気好きだな」って思えるLUTに出会えたら、それをベースにちょっとずつ調整していけばOKです。
まとめ
RAWは「全部入りの食材」
LOGは「編集前提の定食」
LUTは「お好みフィルター」
初心者が映画っぽい映像に一番早く近づけるのは間違いなく LUTの活用 です。
まずは無料配布のLUTを片っ端から試して、自分の映像に「合うか合わないか」を体感してください。
その中で「ティール&オレンジ」を軸に、自分なりに調整していくのがおすすめ。
プロの映像は一朝一夕で真似できるものじゃないけど、LUTを使えば「なんかプロっぽい!」って感じは確実に出せます。
僕も最初はそこから始めました。
だからこそ、もし今「RAW?LOG?LUT?なにそれ…」と迷子になってるなら、大丈夫。今日からあなたもLUTマスターへの一歩を踏み出せますよ。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 LUTと RAWとLOG の違いを書きます。