最近のスマホ、すごくないですか。
写真に写り込んだ通行人や電線を指でなぞるだけで、「え?最初から何もなかった?」ってくらい自然に消えてしまいます。
これ、数年前だったら「プロのレタッチ技術」だったんですよ。
じゃあ動画はどうかというと……
実は動画編集も同じ時代になりました。
2026年現在のPremiere ProやDaVinci Resolveなら、AIが映像の前後を見ながら背景を予測して、不要なものをかなり自然に消してくれます。
昔みたいに、
「マスクを作って……」
「キーフレームを100個打って……」
「After Effectsへ送って……」
そんな修行みたいな作業をしなくてもいい場面が本当に増えました。
……
とはいえ。
「じゃあこの記事もう要らないじゃん」
というと、それは違います。
AIって、実は意外と苦手なものがあるんです。
例えば、
- 人が画面いっぱい歩いている
- 木の葉が風で揺れている
- 水面がキラキラしている
- フェンス越しの映像
- 背景がごちゃごちゃしている
こういう映像になると、
「そこ消しちゃダメでしょ!」
なんて結果になることもまだまだあります。
だから今の編集現場では、
まずAIでやってみる。ダメなら昔ながらの手法を使う。
これが新しい常識です。
この記事ではまず2026年現在のAIを使った一番簡単な方法を紹介し、そのあとでAIでも苦戦する場面で役立つ「昔ながらのプロの技」を紹介します。
つまり、
「AI時代でも一生使える動画編集テクニック」
として読んでいただければと思います。
2026年現在、不要物除去はAIが第一選択
数年前のPremiere Proでは、不要なものを消そうと思うと結構大変でした。
クリップを複製して、
マスクを描いて、
キーフレームを打って、
背景を少しずつずらして……
という、地道な作業の連続。
「あぁ……今日はこの一本だけで終わるな」
なんて日も珍しくありませんでした(笑)。
ところが現在は違います。
Premiere ProにはAdobe Fireflyの生成AIが組み込まれ、DaVinci Resolve StudioにもNeural EngineによるAI除去機能が搭載されています。
つまり、
「ここ消して。」
とAIにお願いするだけで、背景を周囲から推測して自然に埋めてくれる時代になったんです。
もちろん万能ではありません。
でも、
- マイク
- 電線
- 通行人
- 小さなゴミ
- 看板
- ロゴ
くらいなら、一昔前とは比べものにならないほど簡単に消えるようになりました。
なので2026年現在は、
AIで試す → ダメなら手動
この順番で作業するのが一番効率的です。
1.AIでうまく消えないときは「複製+マスク」
AIでも失敗する代表例があります。
例えば、
背景がずっと変化している映像。
木漏れ日とか、人混みとか、水面とか。
AIが「どの背景を作ればいいの?」と迷ってしまうんですね。
そんな時に今でも現役なのが、
複製したクリップを使う方法です。
同じクリップを上下に重ね、
不要な部分だけをマスクで切り抜き、
背景がきれいなタイミングへ少し時間をずらす。
昔からある方法ですが、
今でもプロが普通に使っています。
AIが苦手な映像ほど、この方法が強かったりします。
クリップを複製し、同じ映像をレイヤーに重ねます。
次に不要な部分をマスクで切り抜きます。
背景のレイヤーにある複製したクリップの再生位置を前後にずらします。
すると、マスクの部分に不要な部分が映りこんでいない部分が差し変わります。
クリップの再生のタイミングをずらすことで、不要な部分が写っていない部分がマスクで切り抜かれた不要な部分を埋め、消えたように見せることができます。
マスクした部分はその動きをトラッキングする必要があります。
囲いが追尾するように[マスクパス]を使って囲いをキーフレームを打ちながら移動し、黒い穴をアニメーションにします。
下の動画はFilmoraのチュートリアルですが、マスクの使い方など基本は同じ動作なので参考になると思います。
2.トランスフォームは今でも便利
「クリップを複製するのも面倒なんだけど……」
そんな時はトランスフォーム。
映像の一部分だけを少しずらして、
背景で穴埋めしてしまう方法です。
昔からあるテクニックですが、
建物や青空など、
背景が単純なら今でも十分実用的。
AIより早く終わることも珍しくありません。不要な部分にマスクをかけて[トランスフォーム]というエフェクトを使います。

続いて[エフェクトコントロール][トランスフォーム]の中にあるマスクを使って消したい物にマスクで囲います。

トランスフォームのマスクは、その名の示すように指定した場所の映像を置き換えることができます。

なので、位置の値を少し動かしてみます。横に動かしたところ不要な部分が移動しました。

画面の使える部分を指定することで、あたかも不要なものが消えたように見せることができます。
デメリットは、マスクで空けた穴にうまくふさがる背景を見つけないと使えない点です。
「不要なものもの」を囲ったら、その動きをトラッキングします。
トラッキングとはPremiere Proが対象物の動きを自動追尾するしくみです。[マスクパス]の横にある再生ボタンを押すことで動作します。
トラッキングして位置情報を読み込んだら[トランスフォーム]で「不要なもの」が映っていない背景をずらして表示します。
3.ブラーは”ごまかし”の王様
「完全に消さなくてもいい。」
そんな場面もあります。
例えば、
センサーのゴミ。
空の小さな点。
小さなホコリ。
こういうものは、
ぼかした方が早い。
ブラーって派手じゃありませんが、
動画編集ではかなり出番があります。
視聴者は数秒しか見ません。
少しだけ目立たなくするだけでも十分なんです。
使うのは[ブラー]エフェクトです。ブラーとはぼかしのこと。
画面に[ブラー]をかけるといい感じにデテールがぼけます。この仕組みを使ってゴミやホコリを目立たなくするのです。
青空に浮かんだ風船を消します。

修正したいクリップをタイムライン上に置いて選択したままAltキーを押して映像をV2トラックにドラッグして複製します。

するとタイムライン上に新たにできたクリップを選択します。

[エフェクト][ブラー&シャープ][ブラー(ガウス)]をV2トラックの複製クリップに適用します。

続いて[ブラー(ガウス)]の中にあるマスクを使って対象物にマスクをかけます。

ブラー(シャープ)の中にある[ブラー]の数値をあげていきます。

すると消したい対象物がうまい具合にぼけて周囲の映像となじみます。
参考になるチュートリアル動画はこちら。
4.背景を貼り替える
青空。
壁。
床。
芝生。
こういう規則的な背景なら、
AIより貼り替えた方が早いことがあります。
マスクで穴を開け、
背景のきれいな部分を持ってくるだけ。
シンプルですが、
意外とこれで終わる案件も多いです。
同じく風船が映ったクリップを使って作り方を見ていきます。

まずクリップをAltキーを押しながら上のレイヤーに複製します。

[不透明度]の中にあるマスクを使って対象物をマスクします。

続いて[反転]にチエックを入れます。反転にチエックを入れるとマスクで囲った内側が透過されるようになります。※画像ではわかりやすくするため下のトラックをずらしました。

次に、下のトラックを選択し、[モーション]の値を任意の変えます。風船のあったあたりに青空の部分を持っていきます。※画像ではわかりやすくするためV2を非表示にしています。
するとV2のマスクの「不要な部分」が下のレイヤーの青空に置き換わったことで消すことができました。
画面が移動している場合はキーフレームを使いながら輪郭線を変えることで「不要なもの」を覆い隠しながらアニメーションします。
5.Photoshopは”静止している映像”なら今でも最強
昔はPhotoshopで一枚一枚修正する方法を紹介していました。
2026年現在なら、
生成塗りつぶしが使えるのでさらに簡単です。
被写体が止まっている映像なら、
一枚だけ直して貼り戻す方法は今でも十分実用的。
AIのおかげで作業時間はかなり短くなりました。
方法は単純です。
動画から修正したい部分を静止画で切り出し、Photoshopを使って画像を緻密に修正します。
修正が終わった静止画をPremiere Proに読み込んでパッチ当てのように貼り付けるのです。
いわば「異種格闘法」。
デメリットは手間がかかる点。
動画の中で静止していても、クリップが連続ていたりすると、それぞれに対応していく必要があるので被写体が動かないシンプルな動画に向いてます。
クリップをTIFF形式の静止画にしたものをいったんPhotoshopで編集して「不要なもの」を消します。
「不要なもの」が消された静止画をPremiere Proにもどし消去したい範囲にマスクをかけます。
すると「不要なもの」が修正された映像によって覆い隠されます。
After Effectsは「最後の手段」ではなく「特殊部隊」
昔は、
「どうしてもダメならAfter Effects」
という時代でした。
でも今はPremiereだけでもかなりのことができます。
じゃあAfter Effectsはいらないの?
というと、そんなことはありません。
例えば、
- ワイヤー除去
- VFX
- CG合成
- 難しい背景修復
こういう仕事では、やっぱりAfter Effectsが強い。
例えるなら、
Premiereが日常使いの工具なら、
After Effectsはプロ用の特殊工具。
出番は減ったけど、
必要な場面ではまだまだ最強です。
映像合成に特化したAfter Effectsを使うことでより高度な作業ができるようになります。
この場合は、premiere Proのトランスフォームで使った手法とほぼ同じコンセプトです。
違うのは、Premiere Proは、画面をそのまま移動させたものだったのに対し、After Effectsは近くの画面のデータを読み込んでよく似た画面を合成してしまう点です。
「不要なもの」を囲ったところに、その周囲の情報をもとにAfter Effectsに新たな背景画像をつくらせて塗りつぶすことで、馴染ませることができる「変身ごまかし法」です。
Premirer Proで処理したいカットを動画ファイルにファイル名はworkなどとして書き出します。
After Effectsを起動して、ファイルを読み込みます。
消しこみたい範囲を指定します。
After Effectsには動画の余計な要素を消す方法「コンテンツに応じた塗りつぶし」という機能があります。
これを使うことで道路を走る車のようなものも消すことができます。
いい具合に消しこめたらAfter Effectsファイルを保存します。
再度Premiere Proを立ち上げます。
不要な部分を除去したAfter EffectsデータをPremiere Proに読み込ませて再編集して完成です。
デメリットは二つのソフトを立ち上げデータを行き来させるため、時間がかかること。
入れ替えが長時間になる場合、低スペックのパソコンには重いAfter Effectsはかなりの負担になるという点です。
必要に応じて使う最後の手段として考えましょう。

DaVinci ResolveもAI時代
以前の記事では、
「デッドピクセル修正」
を紹介していました。
もちろん今でも使えます。
でも現在の主役は完全にAIです。
DaVinci Resolve Studioには、
Magic MaskやObject Removalなど、
Neural Engineを使ったAI機能が充実しています。
人物を自動で追いかけ、
不要物を自然に埋める。
これが普通にできるようになりました。
「デッドピクセル修正」は、

小さなゴミやセンサー汚れ向け。
人や車などを消すなら、
まずAI機能を試すのがおすすめです。
DaVinci Resolveでは、画面の質感などの編集はカラーページから行います。

スマホも「動画AI消し」が当たり前
最近のスマホアプリも本当に進化しました。
「スマホだから簡易版」
なんて時代はもう終わりです。
SNS向けの短い動画なら、
スマホだけで不要物を消して、
そのまま投稿まで終わることも珍しくありません。
昔ならパソコンを立ち上げていた作業が、
今ではソファに寝転びながらできてしまいます。
便利な時代になりましたね。
まとめ|AIが進化しても、プロの技術はなくならない
「AIが全部やってくれるなら、編集を覚えなくてもいい。」
そう思うかもしれません。
でも実際は逆です。
AIはかなり賢くなりました。
ただ、「何を消すか」「どの方法を選ぶか」を判断するのは、まだ人間の仕事なんです。
だからこそ、
マスク。
トラッキング。
レイヤー。
ブラー。
背景の貼り替え。
こうした昔ながらのテクニックは、AI時代になっても決して無駄にはなりません。
むしろ、
**AIが苦手な場面を助ける”最後の一手”**として、今まで以上に価値が高まっています。
動画編集ソフトは、この数年で驚くほど進化しました。
でも一番変わったのは、「編集者の役割」かもしれません。
昔は一つひとつ手を動かしていた仕事を、今はAIが代わりにやってくれる。
だから私たちは、そのAIに「どう仕上げたいか」を伝える監督役になればいい。
これから動画編集を始める人は、ぜひAIを味方にしながら、必要なときだけ昔ながらのテクニックを使い分けることを意識してみてください。
それが2026年の、一番スマートな動画編集スタイルです。
参考記事はこちら
【Premiere Pro】映ってしまったいらないものを消す方法|トランスフォーム、不透明度 | モブニコミウドン
【Premiere Pro】動画編集で不要なものを削除する ~バレ消しの活用~|MiniMets













