DaVinci Resolveでのカラーグレーディングは、映像の雰囲気を劇的に変えることができる重要なプロセスです。
ここでは、カラーグレーディングの基本的な流れと、具体的な操作方法について詳しく解説します。
DaVinci Resolveでカラーグレーディングを行う方法【初心者向けガイド】
カラーグレーディングの基本ステップ
カラーグレーディングは主に2つのステップに分かれます:
1. カラーコレクション – 露出や色味を自然な状態に戻す作業。
2. カラーグレーディング – 映像の雰囲気や「世界観」を作り出す作業。
この2つを組み合わせることで、映像がさらに魅力的になります。
ステップ1: カラーコレクション(色補正)
タイムライン上の映像のカラーコレクションはカラーページを使って次の段取りで進めます。
1. ノードの追加
カラーグレーディングでの編集はノードを使って管理します。ノードはエフェクトのレイヤーのような役割を果たし、それぞれに異なる編集を施すことが可能です。
• ノードを追加する方法:右クリックして「シリアルノードを追加」を選択、またはキーボードショートカットのOption + S(Mac)を使います。
2. 露出の調整
シリアルノードをクリックします。まずは露出を自然な状態に戻しましょう。DaVinci Resolveには露出を調整するためのツールがいくつか用意されています。
主な調整ツール
• Lift – 映像の暗い部分の露出を調整します。Liftスライダーを上げると暗い部分が明るくなり、下げると暗くなります。
• Gamma – 中間調(ミッドトーン)の露出を調整します。映像全体の明るさをバランスよく調整したい場合に使用します。
• Gain – 明るい部分の露出を調整します。Gainスライダーを上げると明るい部分がさらに明るくなり、下げると抑えられます。
• Offset – 映像全体の露出を一括で調整します。映像全体を均一に明るくしたい場合に使用します。
Tips:波形スコープを表示し、映像の暗い部分が0(真っ黒)、明るい部分が1023(真っ白)に近づくように調整するのが理想です。
具体例
1. Liftを調整 – 暗い部分の露出を自然に戻すために、Liftスライダーを微調整します。暗部が深くなりすぎないように注意し、黒潰れがないか波形スコープをチェックしながら調整します。
2. Gainを調整 – ハイライトの露出を調整し、明るすぎたり白飛びしている部分がないようにGainを操作します。
3. Gammaでバランスを取る – 中間調を調整するためにGammaを調整し、映像のディテールをしっかりと残します。
3. 彩度(サイド)の調整
露出を整えたら、次に彩度を自然な色合いに戻します。彩度は、映像全体の色の鮮やかさを調整する重要な要素です。
• 彩度を調整する方法:彩度スライダーを少し上げることで色味が鮮やかになります。一般的に彩度は「75%」前後に設定すると自然な仕上がりになりやすいです。
4. ホワイトバランスの調整
ホワイトバランスは、映像内の「白」を正確に表示することで、全体の色味を自然な状態に戻します。
1. スポイトツール – 「ホワイトバランス」項目にあるスポイトアイコンをクリックし、映像内の白い部分を選択します(例:白い服や壁など)。
2. 自動的にホワイトバランスが調整され、色味が正確な状態に戻ります。
5. ビフォー・アフターの確認
調整が完了したら、ビフォー・アフターを確認して、露出と色味が自然な状態に戻っているかを確認します。
• ビフォー・アフターの確認方法:キーボードのCommand + Dを押すことで、調整前と調整後の状態を見比べることができます。
カラーコレクションをまとめると次の流れになります。
- ノードを追加し、基本的なカラーコレクション用のノードを作成。
- 露出をLift、Gamma、Gainで調整し、波形スコープで確認。
- 彩度を調整して自然な色味にする。
- ホワイトバランスをスポイトツールで設定し、色味を整える。
- ビフォー・アフターで最終チェック。
これで映像の露出と色味が自然な状態に戻り、より美しく見えるようになります。カラーコレクションが終わったらカラーグレーディングに移ります。
ステップ2: カラーグレーディング(色彩調整)
カラーグレーディングの基本
カラーグレーディングでは、映像の色味を変えることで、特定の雰囲気や世界観を作ります。ここでよく使われるのが、映画でよく見られる「ティールオレンジ」のカラースキームです。
1. カラー ホイール – リフト、ガンマ、ゲインなどで暗い部分や明るい部分の色味を調整します。
- リフト – 暗い部分の色味を調整。
- ガンマ – 中間調の色味を調整。
- ゲイン – 明るい部分の色味を調整。
「ティール・オレンジ」のスタイルを作る(基本的なカラースタイル)
ティール・オレンジは、映画などでよく見られるカラーグレーディングの手法で、暗部に青や緑系、明るい部分に暖色を入れることで印象的な雰囲気を作ります。
例「JOKER」など
手順:
1. ノードを追加し、「カラーホイール」を使います。
2. Lift(暗部):ホイールを少し青や緑に寄せます。これで暗い部分にティール(青緑)の色味が入ります。
3. Gain(明るい部分):ホイールを少しオレンジ寄りにします。これで明るい部分に暖色系の色味が加わります。
4. Gamma(中間調):中間トーンにわずかに青や緑を加えます。これで全体のバランスが取れ、自然に見えます。
この手順で、映像に映画的な雰囲気を作り出せます。反対に、リフトを青みがかった色にすることで、映像全体に落ち着いた雰囲気を持たせることができます。
プロが教えるカラーグレーディング〜作品世界の雰囲気を決める各種エフェクトを使いこなそう | カラーグレーディングワークフロー&シネマカメラ 第2回 – PICTURES
2. カーブを使った調整 – 曲線を使って明るい部分と暗い部分の輝度を細かく調整します。
カラーカーブは色のコントラストをさらに微調整するために使用します。DaVinci Resolveのカラーパネルにある「カーブ」で色調を細かく調整することで、より独特なトーンが出せます。暗い部分を下げ、明るい部分を上げると、メリハリのある映像に仕上がります。
手順:
1. RGBカーブ:RGBカーブを選び、各色(R、G、B)を個別に調整します。
• 例えば、R(赤)を調整すると、映像に赤みを増やしたり、逆に冷たい青みを増やしたりできます。
2. Y(輝度)カーブ:全体の明るさを調整しつつ、影やハイライトの明るさを微調整できます。
特に、暗部を少し下げて(シャドウを暗くし)、ハイライト部分を持ち上げると映像に立体感が出やすくなります。
ホワイトバランスの調整
ホワイトバランスは映像全体の色のバランスを整えるための重要なプロセスです。
1. スポイトツールを使い、映像内の「白」と認識したい部分をクリックするだけで、自動でホワイトバランスが調整されます。
ステップ1、2以外の方法として「LUTを当てる」という方法もあります。
ステップ3: LUTを使用して色調を一発で調整
LUT(ルックアップテーブル)を使うことで、瞬時にプロのような色味を付けることができます。DaVinci Resolveには、いくつかのプリセットLUTがあり、これらを適用するだけで簡単に独自の世界観を作成可能です。
1. LUTを追加 – 「LUTホルダー」からお好みのLUTを選択し適用します。
2. 強弱の調整 – キー出力でLUTの強度を調整し、映像に自然な仕上がりを持たせます。
ワンポイント:DaVinci Resolve内に搭載されている無料LUTもおすすめです。特に「フィルムルックス」は映画風の表現に最適です。
ステップ4: 特定の色を微調整
DaVinci Resolveでは、特定の色をピンポイントで調整できます。
1. 色相 vs 彩度 – 例えば、緑の部分だけ彩度を上げたり、青の部分だけ明るくすることが可能です。
2. 色相 vs 色相 – 緑を青寄りに変えたり、赤みを強くしたりして、自分好みの色合いに調整しましょう。
ステップ5: グレーディングのコピー&ペースト
他のクリップに同じ色調補正を適用したい場合、以下の手順で簡単にコピー&ペーストできます。
1. スチルを保存 – 編集したクリップを右クリックして「スチルを保存」します。
2. グレード適用 – 保存したスチルを右クリックし、「グレード適用」で他のクリップに適用します。
まとめ
今回ご紹介した手順を踏むことで、DaVinci Resolveで初心者でも簡単にカラーグレーディングを行い、映像に奥行きと雰囲気を加えることができます。
市販のデジカメで撮影した動画はカラーグレーディングできますか?
市販のデジカメで撮影した動画もカラーグレーディングは可能です。カラーグレーディングは基本的にどのような動画にも適用できますが、以下の点が映像のグレーディングに影響します:
1. 映像のダイナミックレンジ:
市販のデジカメは、プロ用カメラに比べるとダイナミックレンジ(明暗の幅)が狭い傾向があります。このため、特に暗部や明部の色やディテールが乏しい場合がありますが、適度な調整をすれば色彩を豊かにしやすいです。
2. 撮影フォーマット:
デジカメで撮影した映像が「ログ」や「RAW」などのフォーマットであれば、カラーグレーディングの自由度が高くなります。これらのフォーマットは通常、暗部や明部の情報が多く保持されているため、カラー調整の幅が広がります。しかし、一般的なデジカメで撮影される「MP4」や「MOV」などの圧縮形式でも、基本的なカラーグレーディングは問題なく行えます。
3. ビット深度:
デジカメでの撮影が8ビットカラーの場合、カラーグレーディングの際に色の破綻(バンディングなど)が起きることがあります。10ビット以上であれば滑らかにグレーディングができ、映像が美しく仕上がります。ですが、8ビットでも慎重に調整すれば十分効果的なカラーグレーディングが可能です。
要するに、撮影時の映像品質やフォーマットによってグレーディングの自由度が変わりますが、カラーグレーディング自体は市販のデジカメで撮影された映像にも適用できるため、映像の雰囲気や色調を引き立たせるのに役立ちます。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 DaVinci Resolve を書きます。