最近、Sora やRunway、Pikaを触っている方の間でよく聞く悩みがあります。
「動画の最後の方で、急に構図が変わった」
「人物が消えて、別の映像に切り替わった」
これ、僕も最初にSora 2を触ったときにめちゃくちゃ悩みました。
冒頭5秒までは完璧なのに、ラスト3秒でまるで違う世界線に飛ぶんです。
生成した画像にこんな感じにプロンプトをつけて生成します。
シネマティックでアニメ風の動画。旧いティール色の建物の中、暖かいオレンジの光が漏れる部屋で少女が静かに読書をしている。
窓越しには雲がゆっくり流れ、小雨が降る夜の東京の街並みが見える。
カメラは完全固定(パン・チルト・ズーム一切なし、三脚固定ショット)。
部屋の光がわずかに揺らめき、植物の影がゆっくりと動く。
ノスタルジックで夢のような雰囲気。現実的な質感と照明、アニメ映画のような構図と色彩。
静かなLOFIムード、穏やかな時間の流れを感じるシーン。
生成した動画がこれ。
でも、実はこれ――AI動画生成の“仕様的なクセ”なんです。
AIは「ストーリーを進めたい」「次の展開を作りたい」という欲求を持っている。
そのせいで、同じシーンを維持することが苦手なんですね。
このままでは何回やってもうまくいきません。
ただ、安心してください。
工夫すれば、異なる動画が混ざるのをほぼ防ぐことができます。
ここでは、僕が実際に試して効果の高かった
5つの現実的な対策を紹介します。
Sora で「動画の末尾が別シーンになる」現象を防ぐには
🎥 対策①:動画を短く複数生成し、使える部分だけ繋ぎあわす(最も有効)
正直これが一番効きます。
AI動画生成モデルは「長時間の一貫性」を保つのが苦手です。
特にSora では、最初の5〜8秒が最も安定している。
なので、1本20秒で作るより、
5秒×4本をつくって後で編集ソフトでつなぐ方がずっと自然。
✅ 具体例:
--duration 5や--duration 8を指定して短めに生成- 同じプロンプト+同じseed値で複数本作る
- DaVinci ResolveやCapCutで自然につなぐ
たとえば「雨上がりの夜景を時間経過で見せたい」とき、
AIに20秒連続で生成させると途中で“別シーン”を作ろうとする。
でも5秒×3本をクロスフェードで繋ぐと、
「静かな夜がゆっくり進む映像」に見える。
これ、AI任せより圧倒的に綺麗です。
🧭 対策②:「same scene」「no transition」を明記する
Sora のプロンプトには“指示の明確さ”が超重要。
AIはちょっとでも曖昧だと勝手に話を進めます。
だからこそ、「同じ場面を維持してね」「Camera: static shot, no zoom, no dolly」などのように明記すると、カメラワークのズームやパンを抑えられる可能性があります。
🪄 プロンプト例:
static shot, no camera motion, same scene entire video, consistent lighting and colors, no transition, no cut, continuous moment in one fixed frame
これを冒頭か中盤に入れるだけで、
AIが「別カットを作ろう」とするのをかなり抑えられます。
僕の感覚では、これを入れると末尾の崩れが半分以下になります。(100%ではないです)
【日本語】
この画像を参照して、構図を変えずに10秒間の動画を生成してください。カメラは固定(ズーム・引き・パンなし)、アスペクト比16:9、被写体を中央に据えて、静かな雰囲気で。
【English】
Using the uploaded image as reference, generate a 10-second video with the framing unchanged. Camera: static shot, no zoom, no dolly, no pan. Aspect ratio: 16:9. Subject remains centered, motion minimal.
🪩 対策③:動く対象を限定する
AIは「何か動かさなきゃ!」と思った瞬間に混乱します。
動くものが曖昧だと、別シーンを新しく作ってしまうんです。
だから、「どこが動くのか」を明確に指定してあげましょう。
❌ ダメな例:
fog and light move slowly in the distance.
これだと“光”と“霧”の両方が動くため、AIが混乱してシーンを変える。
✅ 良い例:
only the fog outside moves slightly; everything else remains still.
こう書くと、AIは「動いていいのは霧だけ」と理解します。
結果、背景や構図を変えずに動きを出せる。
特に「静止した室内+外の動き」を見せたいときに有効です。
⚙️ 対策④:同じseed値を使って再現性を上げる
AIは毎回ランダムに生成しますが、
同じseed(シード)値を指定すれば、
「同じ構図・照明」で再生成できます。
✅ 使い方:
--seed 42
seedを固定して複数回生成すれば、
動き方だけが微妙に違うバージョンが手に入ります。
そこから「一番自然な映像」を選べる。
僕はこの方法で、
夜の部屋のシーンを5回生成 → seed固定 →
「光の揺らぎが一番リアルなもの」を採用しました。
一貫性と再現性を両立できる、地味だけど強力な手法です。
🎞 対策⑤:編集で末尾を自然に処理する
どうしてもSora側で制御できない場合は、
動画編集で“崩れを演出”に変えるのがプロのやり方です。
💡 テクニック例:
- 数フレーム手前でフェードアウト
音楽と合わせると「静かな終わり方」にできる。 - Freeze Frame(静止フレーム)で止める
映像が崩れる直前の1フレームを静止させ、余韻を作る。 - グレイン(粒子)やノイズで統一感を出す
崩れたカットも「フィルム感」に見せられる。
これで、「違う映像になった」ではなく
「映像が静かに終わった」に変わります。
AI任せにせず“編集で救う”のも、クリエイターの腕の見せどころ。
🧩 まとめ:異なる動画が生成されないための5つの対策
| 対策 | 効果 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 動画を5〜8秒に分割 | ★★★★★ | 最も安定する方法 |
| 2. 「same scene」「no transition」を明記 | ★★★★☆ | プロンプトでAIの暴走を防ぐ |
| 3. 動きを限定する | ★★★★☆ | “どこが動くか”を明確に |
| 4. seed固定 | ★★★☆☆ | 再現性アップ・構図維持 |
| 5. 編集で末尾を処理 | ★★★☆☆ | 見た目を自然に整える |
🗣 最後に:AIは“監督”がいないと迷走する
AIはすごいけど、完璧ではありません。
僕らが「監督」として、
「どう動いて、どこで止まるか」を指示してあげる必要がある。
Sora の映像はまるで“夢”のようです。
でも夢は、放っておくとすぐに別の夢に変わる。
だからこそ、5秒単位で区切り、同じシーンを守らせる。
それが“AI動画時代の編集者”の新しい仕事なんだと思います。
🎁 まとめポイント
- 長尺生成より短尺×編集が安定
- 「same scene」「no transition」を必ず入れる
- 動きを明確にしてAIを迷わせない
- seed固定で再現性アップ
- 編集で“崩れ”を演出に変える
これを意識すれば、「最後の数秒だけ別の映像になる」という問題は、
ほぼ解決できます。
AIが作る夢のような世界を、あなたの手で“現実的に美しい”映像に仕上げましょう。
──それが今の時代の、最高のクリエイティブです。












こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 Sora で動画の末尾が崩れる…? の対策を書きます。