Canvaは、誰でも簡単におしゃれなデザインが作れる神ツール。サムネイルやSNS画像、プレゼン資料など、デザイン初心者の味方ですよね。
そして最近では「動画編集機能」も強化され、「えっ、もうPremiere Proとかいらないのでは?」と感じた人もいるかもしれません。
…でも、ちょっと待ってください。
実はプロの動画編集者の多くは、Canvaの動画編集機能をメインでは使いません。理由は明確で、「初心者向けの手軽さ」と「本格的な編集に必要な自由度」の間に、大きな壁があるからです。
この記事では、Canvaがなぜプロユースに向かないのか、7つのリアルな理由を、初心者の方にもわかりやすく解説します。もちろん、Canvaのメリットも隠さずお伝えします。
プロがCanvaの動画編集機能を選ばない7つの理由|初心者が知らないリアルな壁
理由①:タイムライン編集が「なんちゃって」仕様
Canvaでも一応、タイムライン形式の編集はできます。でも、トラック分けができなかったり、細かいタイミング調整がしにくいという、致命的な制限があります。
たとえば、音声とテロップをミリ秒単位で合わせたいとき。本格的な編集ソフトなら、数フレーム単位でズラして調整できますが、Canvaでは「なんか合ってないけどこれが限界…」ということも。
▶メリット:
- シンプルで初心者でもすぐ使える
- 素材の配置が直感的でわかりやすい
▶デメリット:
- 編集精度に限界があり、細かい演出ができない
- 長尺動画では時間調整がかなりストレスになる
正直、プロ視点で言うなら「これは編集ソフトじゃなく、スライドショー作成ツールだな…」という印象です。
理由②:エフェクトやトランジションが限られている
Canvaにもそれなりにトランジション(場面切り替え)やアニメーション効果がありますが、種類が少なく、自由度も低めです。
「この部分だけ手前に拡大表示」「スライドインの角度を調整したい」みたいなこだわり演出がほぼできません。
Canvaの動画編集機能は、テロップの追加、トリミング、BGMの挿入など本当に最低限のカット編集にとどまっています。
▶メリット:
- ワンクリックで見栄えが良くなる
- テンプレ感のある動きがすぐに実現できる
▶デメリット:
- 動きのカスタマイズがほぼできない
- 他のCanvaユーザーと「被る」編集になりがち
Canvaにもそれなりにトランジション(場面切り替え)やアニメーション効果がありますが、種類が少なく、自由度も低めです。「この部分だけ手前に拡大表示」「スライドインの角度を調整したい」みたいなこだわり演出がほぼできません。
理由③:音声編集機能がとにかく弱い
音量調整・BGMフェードイン・ノイズ除去…
これらの音周りの処理がほぼできません。
ナレーションとBGMのバランス調整も難しく、テロップに合わせて音を切ったり重ねたりといった**「音で演出する力」が極端に不足**しています。
▶メリット:
- 音声付きテンプレがあり、初心者でも音付き動画が作れる
▶デメリット:
- 音の波形が見えないため、編集しづらい
- 複数トラックの音を調整するには限界がある
理由④:PCとスマホで機能差がありすぎる
Canvaはスマホでも使えるのが魅力ですが、動画編集になると話は別。スマホアプリでは操作が重く、クラッシュすることも珍しくありません。
しかも、PCとスマホで使える機能やUIが違うため、「昨日スマホで作った動画、PCで開いたら崩れてた」なんてことも…。
▶メリット:
- スマホだけでも一応編集できる手軽さ
▶デメリット:
- スマホでの操作性が悪く、クラッシュしやすい
- 環境によって機能差があり、統一感のない作業に
理由⑤:書き出し設定にこだわれない(画質・音質)
プロの現場では、最終的に納品する動画の解像度・ビットレート・コーデックなど、書き出しの設定が非常に重要です。
Canvaの書き出し設定はシンプルですが、画質・音質の詳細な調整ができません。
たとえば、YouTube用に「4K・高ビットレート」で書き出したい場合でも、細かい設定が不可。
選べるのはせいぜいMP4かGIF、1080p固定、という感じで、細かい書き出し条件が一切いじれないのが大きな欠点。
たとえば「ProResで書き出して映像編集の後工程に回したい」なんて、商業用や高品質配信を狙う動画には致命的です。
▶メリット:
- すぐにMP4で書き出せるスピード感
▶デメリット:
- 画質が勝手に圧縮されることがある
- 高品質動画が必要なプロ現場には不向き
つまり、「ちょっとしたSNS投稿動画」や「社内報告ムービー」くらいなら問題ないですが、YouTube動画や広告動画、映画、ドキュメンタリーのような本格作品には到底足りません。
理由⑥: 書き出し後にリンク切れ・画質劣化が起きることも
Canvaはクラウドベースのツールなので、使い方次第ではリンク切れ・素材欠損が起きることも。
2024年8月のストレージ仕様変更により、無料プランではクラウド保存容量が廃止され、新規アップロード・編集ができなくなるという大きな制限も加わりました。
つまり、プロジェクトの途中で「素材が見つからない」「画質が落ちた」というトラブルに遭遇しやすい。これは納期が命の現場では致命的です。
理由⑦: 編集途中の共同作業が危険すぎる
Canvaには複数人での「共有編集」機能がありますが、同じプロジェクトに複数人が同時アクセスできてしまうため、
- 上書きリスク
- 編集ミスの発見が遅れる
- 誰がどこを編集したか分からない
といった問題が起きやすい。
これはチーム作業に慣れているプロにとってはかなりストレスフルなポイントです。
☝️とはいえ、Canvaはダメなツールではない
ここまでデメリットを中心に語ってきましたが、Canvaが悪いわけではありません。むしろ素晴らしいツールです。
Canvaが向いている人・向いていない人
✅Canvaが向いている人
- SNSやYouTube Shorts向けの簡易動画を作る人
- デザイン初心者で、まずはテンプレを使いたい人
- スライド動画・PR動画など「雰囲気重視」系の編集
❌Canvaが不向きな人
- 映像で細かい表現をしたい人
- 長尺の本格編集をしたい人
- 高画質・高音質にこだわるプロ志向の人
ただ、Canvaの動画編集はあくまで「ライト層向けの簡易編集」であって、プロ仕様の編集には適していないというのが現実です。
🎬じゃあ、プロは何を使っているの?
プロが使っている代表的な編集ソフトはこちら:
ソフト名 | 特徴 |
---|---|
Premiere Pro | 業界標準。エフェクトも豊富。Adobe製との連携強力 |
DaVinci Resolve | 無料でも使える本格派。カラーグレーディングが最強 |
Final Cut Pro | Mac専用。高速レンダリングと安定感が魅力 |
After Effects | モーショングラフィックス・VFX特化 |
これらのツールはCanvaと比べて圧倒的に自由度が高く、表現力が段違いです。
💡まとめ:Canvaで十分か、物足りないかは目的次第
Canvaの動画編集機能は、爆速で動画を量産したい人には最高のツールです。
でも、「自分の世界観を動画で表現したい」「音と映像で感動を伝えたい」と思った瞬間、Canvaでは物足りなくなるはず。
プロの現場では、Premiere ProやDaVinci Resolveのようなソフトが選ばれる理由が、ここにあります。
目的に応じてツールを使い分けることが、編集の本当の力です。
Canvaは“入り口”としては最高。
でも、本格的に伝えたいことがあるなら、一歩先のツールへ進むタイミングかもしれません。Canvaの動画編集機能は、「編集を気軽に始めたい初心者」には最高の入口です。
でも、プロとして仕事にするなら、Canvaのままでは通用しないことも理解しておくべきです。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。プロが Canva で動画編集しない本当の理由を書きます。