【法律】 雑踏の撮影 と通行人の権利 の考え方

通行人 肖像権
フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 雑踏の撮影 を書きます。

街角を撮影していると通行人が映り込んでしまう場合があります。

「どうしたらいいでしょう」という相談が結構あります。

私の場合、許諾が取れればOKですが、取れなければ画面を加工します。

よくある通行人や雑踏の撮影 と 肖像権侵害 の考え方

写り込んだ人の顔が特定できない(判読できないほど小さい)場合は処理せずに公開します。

これが正解・・・というものはありません。

当事者間ではセーフだったが公開したら社会的にNGだったなんて場合もあるからです。

要は被写体との信頼関係です。

ヤバイ場所での撮影ならばそれなりの配慮が必要ということにつきます。

テレビでは、映り込んだ人の顔は編集ソフトでモザイクをかけて処理します。

万が一肖像権の侵害でクレームがつくことを避けるためです。

しかし、私たちが街の雑踏を撮影してYouTubeに投稿することはよくあります。

偶然映りこんでしまう通行人にいちいち許諾を取るのは事実上不可能です。

ソフトがなければモザイク処理だってできません。

よくある問題を法律はどう判断しているのか。私たちはどうやって対処したらいいのでしょうか調べました。

ロケ現場でよくある問題が、公共の場所で不特定の人の撮影についてどう対応すべきかという事案です。

番組によっては通行人や風景全部をぼかすものもあります。

反対にぼかしなしで全て見せてしまうものもあります。

業界基準が統一されていなく、バラバラな対応が起きるのはいったいなぜでしょう。

鍵を握るのが「肖像権」です。

街の雑踏の様子や、帰省ラッシュの駅構内などを撮影して番組で使用しようと思いますが、一般の人が写り込んでしまうと肖像権侵害になるのでしょうか?

第2版 よくわかるテレビ番組制作の法律相談

放送局ではこうとした相談や悩みが毎日のように発生しています。

それでも大きな問題にまで発展することはほとんどありません。

著作権などに詳しい専門家の判断を仰ぎながら対応しているからです。

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商店街の風景を撮影したり、公園で記念写真を撮影したり。

公共の場所で不特定の人の撮影という事案は最もよくある相談の1つです。

専門家は肖像権についてこう判断しています。

公共の場所で、不特定の人を撮影しているにすぎない場合であれば、通常は肖像権侵害とはなりません。

第2版 よくわかるテレビ番組制作の法律相談

肖像権とは「誰しも、無断で自分の姿を撮影・公表されない」という人格権です。

肖像権は憲法13条(個人の尊厳)にある法的権利ですが著作権法のような条文はありません。

撮影の目的が違う上、本人の意思に反して意図的に撮影されたものではないなどの事情に鑑みての判断でしょう。

撮影目的も判断基準になります。

写された人物が誰であるか容易に特定できない場合には上記の人格権を侵害したことに当たらないのです。

本書では、これに加えて映像の持つ特性、つまり動画や音声が時間とともに変化する媒体であることも考慮する必要があると論じています。

動画の場合、録画してコマ送りして見る場合は極めて稀な場合ですが、そのような稀な状態で見ることは「容易に特定」とは言えないのです。

はっきり写っていた場合

はっきり写っている場合でも、写っていることが「我慢できる範囲内」であるならば人格権を侵害したことに当たらないと言います。

普通に生活している姿が撮影されたからといって、今の世の中では動画に写っていることがとても不利益になることは極めて稀です。不利益のことを「受忍限度」と言います。

その万が一の不利益にまで「肖像権侵害にあたるから」と写された人の主張を認めることは世の中的に無理があるというのです。

やめてくれと言われた場合

撮影する側としては、安心と思われるかもしれませんが、撮影された人から「使わないでほしい」と申し出があった場合は別です。

この場合は本人から明確な拒絶の意思が示されたことになります。

つまり「受忍限度」を超えたことになるので、人格権を侵害したことに当たるのです。

トラブルに巻き込まれないためにすべきこと

撮影したはいいが「やめてくれ」ともしも言われたら使えない。

撮影のリスクを避けるためにはどうしたらいいでしょうか。

一番いい方法は、撮影する際、誰がみても撮影しているということに気付いてもらうことです。

カメラをあえて目立つように見せること、腕章を着用することなど見た目にわか流ようにすることです。

前もって自分が撮影されるかもしれないことがわかると、撮影されたくない人は避けて通ります。

撮影する側も、特定の人物にフォーカスせず、誰だかはっきりわからないようなアングルにするなど考慮していることを示すのです。

まとめ

先日、街角無断撮影のリスクについて書きました。

撮影を始めたばかりの初心者にとって人物の撮影は厄介です。

人格的利益が問われる人格権に加えパブリシティ権などの権利と混同してしまいがちだからです。

パブリシティ権とは肖像に経済的価値が張り付いた状態を思い浮かべるとわかります。

知名度が高く、経済的に価値が高いと判断される人の氏名や肖像はパブリシティ権によって保護されているのです。

人の顔を撮るときは、様々な問題が起きうる可能性があると考え、慎重に撮影する姿勢が求められます。