
先日、地域のイベントを取材させてもらい3分の動画にしました。
こうしたイベント取材はカットやシーンが増える傾向が強いので、動画編集は格段に難しくなります。使えるカットをどうやって選ぶのか。どの順番に並べたらいいのか。選択肢が指数関数的に増えるからです。
では動画づくりの腕をあげるにはどうしたらいいのでしょうか。
初心者の皆さんからよく聞かれるのは上手くなるための方法です。放送局で学んだ四つの鉄則があります。
- 圧倒的に数をこなす
- 完成に先立ち試写版を人に見せる
- 批判を受け入れ、志は曲げず、作り直す勇気を持つ
- 構成の趣旨をわかりやすく語れるようにする
圧倒的に数をこなす

動画づくりは企画から撮影、編集といくつかの工程を経て完成します。それぞれに基本的な型があり、続けてみないと見えてこない部分があります。
例えば視聴者にメッセージを伝えるために、映像をどのように撮り、どのような順番に並べたらいいかなど、体験を通じて学ぶ部分がかなりあるからです。
狙い通りに撮影ができず絵が足りなくなった時も編集経験の量がピンチを救ってくれることだってあるのです。さらにYouTubeなどで公開する場合も、コンテンツの数が増えた方が有利です。
作品を数多く編集するうちにヒットする動画が現れます。視聴回数が多い動画がきっかけとなってチャンネル全体の認知度が上がっていくのです。
完成に先立ち試写版を人に見せる

他人の目で作品を見ることは回り道のように見えて実はゴールへの最短ルートです。
試写版は制作に携わる上司やスタッフを交えて行います。試写版を作るときめざすのは、可能な限り早く作り修正する時間を確保すること。不完全でもいいので一本に繋ぐことです。
ポイントは、試写には見物客としてではなく意見を語る人に来てもらうことです。試写終了後に必ず自分よりできる人の意見を聞きます。
構成や試写など、第三者の目を通じて作品を見ていくと気がつかなかった間違いや不要なシーンを発見することができます。
批判を受け入れ、志は曲げず、作り直す勇気を持つ

映像制作者の中にはプライドの高い人がいます。プライドは動画づくりの原動力ですが、高すぎると逆効果のことがあります。
放送局では企画、撮影前の構成、荒編集、完成試写と様々な機会を通じて他人の意見を聞く機会がありますが、ここでは上司や同僚が視聴者の立場で気になる点をかなりストレートな形で制作者に返します。
この時点で完成形を作ってしまうと場合によっては試写版はズタズタにされてしまうこともあります。そのため、制作者は本編の3割増くらいの尺に水増しして試写版を作ります。
この中には明らかに不要なシーンや、見方を変えれば使えるシーンなども入っているので再編集すると見違えるように動画の質が上がる場合が少なくありません。
構成の趣旨をわかりやすく語れるようにする
動画は視聴者に伝わって初めて評価されます。驚かれる人もいるかと思いますが、映像の編集は絵の美醜で繋ぐのではありません。
シーンもカットも基本は理屈で繋ぎます。別の記事に書いたように、人間は直前見た映像に引きずられて次の絵の意味を受け取ります。シーンについても同様で、伏線があって、その伏線の上に物語が作られます。
したがって作り直すときも頭の中でその意味をしっかり固め、聞かれたらその意味をわかりやすく論理的に伝えることができなくてはなりません。
まとめ

動画づくりの腕をあげるにはどうしたらいいか。「編集は論理で繋げ」と新人時代叩き込まれました。
「この絵が綺麗だから」「かっこいいトランジションがつけたいから」と感性で繋いだ映像は「フィラー映像だ」と一刀両断されました。
フィラーとはfillするためのもの。隙間を埋める映像です。かっこいい映像は視聴者の目を引くためにはそれなりの役割がありますが、まとまったメッセージを伝えるためには理詰めで並べた動画にはかないません。
感性と論理をバランスよく使い分けることが大切です。