動画取材のヒントが見つかる「ハイパーハードボイルドグルメリポート」

ハイパーハードボイルドグルメリポート
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

はじめて動画取材をする時って、すごく緊張しますよね。取材拒否されたらどうしようとか、マイナスのことばかり頭に浮かびます。でも大丈夫。プロのディレクターだってドキドキしながら取材してます。

誰もが知りたい動画取材の進め方。テクニックよりも姿勢に注目すると乗り切る力が湧いてきます。

ハイパーハードボイルドグルメリポート

ドキュメンタリー系の映像制作は撮れたものが全てです。そこが無から有を作り出す創作系の動画と違うところです。ではどうやって撮影するのか。そのルートは山登りと同じです。新人たちは経験ある人の仕草をみて学んできました。

頼るべき先輩がいない初心者が撮影感覚を身に付けるにはどうしたらいいか。私が勧める方法は体験談を読むことです。

ロケはスポーツだ。瞬間の判断の積み重ねがVTRを紡いでいく。カメラのモニターは見ずとも思った絵が撮れなければ単独のロケは難しい。

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」はテレビ東京の深夜枠で放送される異色の旅番組。

世界でもっとも危険な場所で生活している人が食べているものを探る企画です。

犯罪都市として知られるナイロビの中でも、とりわけ危険と言われるエリアが三つある。一つは銃の輸入と転売で荒稼ぎするソマリア人居住区の「イーストエリア」。もう一つは”パンガニ6″なるギャングが権勢を振るう「パンガニエリア」。そして最後がこのゴミ集積場を擁する「タンドラエリア」である。アフリカ屈指の危険地帯ナイロビにあって、その地を踏むのがどれほど危険かは推して知るべしというところか。

この番組のスピンオフ。取材の裏側を克明に記録した本が番組と同名の「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。著者はテレビ東京のディレクター上出遼平さんです。番組制作の体験を元に書いたルポルタージュです。

この本を読むと、テレビドキュメンタリーづくりの極端な例。つまりハイリスクな現場に挑む取材者の動きがかなりくっきりした輪郭線をもって見えてきます。

動画取材時たまにあるアクシデント
  • 海外ロケを直前に控え、大使館から「あなたの報道許可証は偽物です」と言われた
  • ロストバゲジ(預けた手荷物が行方不明になること)は日常茶飯事。ではどうするか
  • 取材先にアポなしで潜入したところ見つかって刃物を突きつけられた。

食べ物系旅番組と言っても、取材先は異国の暮らし。お店を訪ねて食レポをするようなものではありません。経験した人はわかると思いますが現場取材は緊張の連続です。日本ではありえないような出来事が、世界すなわち取材先では当たり前のように起きます。

    ロケには僕一人しかいない。カメラマンもアシスタントディレクターもいない。だから僕が全ての機材を選び、管理し、充電し、使用する。
    使用機材は全て家電量販店で購入できる。カメラは4台。手のひらサイズのハンディカム、左手に小さなGOPro、首からはコンデジ。背中には小型ドローンを忍ばせる。
    いつ何が起きるかわからないロケではカメラを止めない。「あの時カメラを回していれば」というのはドキュメンタリーのディレクターを悩ませてきた慚愧の念である。

撮影はどのような段取りで行うのか、機材は何が必要か。予期せぬ事態が起きた時のしのぎかたは何か。読者はいつしか撮影現場に立つ制作者そのものになり問題と向き合うことになります。

いい映像とは何か。その映像を撮るためには何をすべきか。そもそも何が目的で撮影をするのか。ドキュメンタリー系の動画作りに欠かせない気づきが詰まっています。

放送局には番組を作る制作部と編成部があります。制作部が企画を出して、編成部が採択します。編成は売れる企画を探し出し波の付加価値を高めなくてはなりません。

付加価値とは多くの人に見てもらうこと。つまり少数の人だけが熱狂的に支持するような企画は難度が高いことがわかります。

まとめ

こんなヤバイ現場に飛び込むのはムリ。
そう感じられた人も多いと思います。
だがしかし、取材をすること。撮影することは、動画作品を作る上では万国共通です。
機材、段取り、危機管理、健康それに好奇心の持ち方など、この本には制作に携わる人のリアルが詰め込まれています。

取材は暴力である。
取材活動がどれだけ社会正義に即していようと、それがだけかの人生を捻じ曲げるのであれば、それは暴力だと僕は思っている。どれだけ人の命を救おうが、その正しさは取材活動の免罪符にはなるけれど、暴力であることから逃してはくれない。

読み始めると止まらないのは、撮影される人に対するある種のリスペクトが行間から滲み出てくること。
巧みな文章力と事実のインパクトが良質のミステリー小説のように読者の心をつかんで離しません。

取材者は彼らの生活領域に土足で侵入しカメラを向けることでエンターティンメントを担保する。
だけどひとつだけ、行いが許された気持ちになる瞬間がある。「また来てね」「あなたに会えてよかった」別れ際にそういつてくれる人たちがいる。

もしあなたが映像制作者をめざそうとしているなら読んだだけの価値がある本です。それは最後に記された三行に凝縮されているからです。

僕たちには聞きたい言葉がある。
彼らには話したい言葉がある。
ドキュメントを撮るとは、そういうことだと僕は思う。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。