桝本和也「アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本」

フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

放送局ではラジオドラマの演出家になるのが夢でした。

しかし組織の一員ですのでわがままは通りません。取材やドキュメンタリー、実用番組などを経験することになりました。

テレビの仕事ならアニメーションと、途中からアニメーションを希望しましたが、時遅く事務部門から外部制作のアニメを見る立場を経験したに止まりました。

アニメを仕事にする本

若い頃目を通していれば(今の生活はできなくても)冒険できたかもしれない。痛切に感じた世界。自分が面白いと思う仕事に身を投じることが実は一番大切なことなのだと教えてくれる本です。

一般的に放送局のアニメ担当は放送波の編成方針に関わるとともに、その方針にあった企画を番組化するのが仕事で、実際にアニメの制作にタッチすることはありません。

したがってプロダクションと関係も予算の査定を軸にした付き合いになります。

「制作費なんとかならない」とか「委員会方式でやりましょう」とか「リクープ(資金回収のスキーム)はどうしましょう」なんて志もロマンもない現実的な所に落ち着きます。

もしも番組制作者がスキルを生かしてアニメーション制作を担うことになるとしたらどんな仕事になるのか。

多分こんな仕事なのだろうと共感したのがこの本「アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本」です。

制作進行はディレクターと同じ

映像制作という仕事の流れをアニメの制作進行という視点から俯瞰した本。

制作進行という仕事は、プロジェクトワークにおける後方支援業務にあたります。

スケジュールと現場調整と予算管理の責任を持つ立場で、テレビ番組制作においてはディレクターを束ねる制作デスクにあたります。

クリエィターを目指す人から見ると、「ちっともアートではない」立場ですが、アニメ制作に関わるすべてのことを見通せる要のような役割であることがわかります。

制作進行を知れば、アニメがわかる!
50年の歴史を積重ね、週に50本以上の作品が放送されるまでになった、世界一のアニメ大国日本。作品評価やビジネス的価値についての議論は数あれど、その制作工程について詳しく説明がされる機会はありません。本書は、アニメがどのようにして作られているかを、作品制作の全工程に関わる唯一の役職「制作進行」の視点からお伝えします。お届け元は、『キルラキル』、『リトルウィッチアカデミア』等を制作し、アニメファンの気持ちを鷲掴みにしている制作会社TRIGGER。事例に不足はありません。アニメを見るのはもちろん楽しいけど、作るのはもっともっともっと楽しい!(そしてしんどい!)

プロダクション経営者の中には、制作進行という仕事の経験者が少なくないことが、この仕事の位置づけを物語っています。

アニメが作られるまでに、どんな人が関わりどんな事をするか細かく書かれている。脚本、絵コンテ、原画、アフレコは知っていたが、カット割り振り、色美打ち、動画作業など多くの工程があり、細かく分業されているのだと知った。
 
仕事術としても学べるところが多い。メールで済ませず顔を突き合わせる意義は何か。利害がぶつかる双方をどう調停するのか。それと経済学関係で下記が引用されているのを見たのがこれを買ったきっかけなのだが、「暗黙の実務」が数多く存在し、鍵を握るという点も見逃せない。技術とは簡単に言語化できにくいものも多いのだ。
 
大きく2点が個人的に参考になりました。 1:新人社員に対して仕事を教えるやり方、取り組み方。 2:アニメーションを作る一連の流れ。 特に1については目から鱗が落ちる思いです。 定期的に何度か読み直したい一冊です。
 
制作進行とはゲーム制作でいう所のプロジェクトマネージャー。アニメ制作もゲーム制作と同じく(よりシビアに?)組織的な動きが要求され、その荒波の中で培われた制作進行のノウハウは参考になる所も多い。舛本氏は演出原画と合わせて制作進行を3本柱として重視している。

絵が描けなくても作る側にいられます

アニメーション関係の仕事に就きたいけど「絵を描く才能なんてないし」と思い悩むあなたには、絵の才能なんてなくても人をつなぐ力で生きていくことができると勇気を与える本です。

ネットと通信の融合とは、放送という産業に先がないことを暗示しています。

コストのかかるコンテンツづくりは今後ますます外部プロダクションが担うことになります。

放送よりもネット優先の傾向は強まり、力のある制作者は流出していくでしょう。

放送の仕事は先が見えたので、コンテンツ産業に転身したいという放送人が最近増えています。

転身するなら若いうちです。組織の中に長く居続けるとその組織の中でしか活躍できなくなります。

好きなことをやり続けることの幸せを実感させてくれる本です。







ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。