動画制作受注に繋がる 見積書の作り方

見積書の作り方
フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 見積書の作り方 を書きます。

「動画制作の見積書を見ても、高いか安いかわからない」と言われて困ったことありませんか。

動画制作の仕組みをまたくわからない人から動画制作の依頼を受けるケースが増えています。

仕事の内容がある程度分かり合えるプロ同士ならともなく、相手は素人です。

高いのか相場通りなのか?

お互い納得ずくで合意しないとあとあとトラブルの種になるので、しっかり説明できるスキルを身につけましょう

見積書の書き方をおさらいします。

動画制作 見積書の作り方

一口に動画制作といっても、制作費はピンキリです。

映画やCMのように青天井のように費用のかかるものもありますが、スマホでサクッと編集できるものも少なくありません。

一本の動画を作るためにかかる経費はいくらなのか。

依頼者のほとんどはその違いが分かりません。

したがって制作者側は、依頼内容をしっかり聞き取り、必要な作業量を説明し、依頼者に納得してもらうことが不可欠です。

制作費の三要素

動画制作の制作費はざっくりいうと三つの要素に分けられます。

企画費+人件費+諸経費(機材や場所代など)です。

依頼を受けた制作者は、企画の内容やその企画を実際に映像化するための業務量を類推しながらそろばんを弾きます。

制作費の全体像を依頼者に理解してもらうためには明細を具体化するのが一番です。

企画・構成費

企画・構成費というのはアイデア料のようなもの。

誰が担当するかによって価値が変わるのは、寿司屋の時価のようなもので数値化は困難です。

企画書を読んだだけでは成果物の査定ができないからです。

見積上では、「ランクに相当する担当者 」と表記します。

ただし、これだけでは曖昧なので、ランクづけの根拠が必要になります。

ランクづけの根拠は、担当者の実績が元になります。

放送局の査定部門には、過去の見積書が蓄積されています。

その中にはその企画相当のランクが査定資料として記録されています。

例えば賞を取るような能力を持った人が作る企画はSランクとして日給数万円×日数、駆け出しの若手はアルバイト賃金程度の時給とするなどです。

このように企画費の計上にあたっては、例えば企画した人物のスキルを見える化するのが一番です。

人件費

人件費は動画コンテンツを最も効率よく作るためのマンパワーです。

この企画を実現するためにかかる人件費を単価×数量で積算します。

企画の内容や要求される品質によって人件費はランク分けされます。

ランクは五段階程度に分けて、依頼内容にふさわしい価値を割り付けます。

放送番組を例にとると、見積書に計上する要員はスタッフの人件費のことを指します。

制作側は

  • プロデューサー
  • ディレクター
  • アシスタントプロデューサー
  • アシスタントディレクター

技術スタッフは

  • カメラマン
  • 音声
  • 照明
  • その他

企画に関わる人は上記以外にも多数いますが、経費は別計上します。

プロデューサーの業務は主に危機管理や対外交渉などの管理業務。

ディレクターは制作にかかる作業全般です。アシスタントはそれぞれの補佐です。技術スタッフは実働時間を計上します。

それぞれ担当者のスキルや練度によって基準単価は異なります。

見積書を見える化する上で重要なのが実働部分の明細です。

なぜ明細が必要かというと、いちばん費用が膨らむのがこの部分だからです。

ロケを例にとり、査定します。

放送現場でよくみられる構成は、ディレクター、カメラマン、音声補助の三人体制です。

仮に1日ロケを実施した場合の要員費(人件費)は30千円×1日、30千円×1日、15千円×1日の計75千円などと細かく算出します。

その企画を作る上でかかるであろう業務量を、あらかじめランク×日数のように掛け合わせておくことで人件費の見える化がはかれるのです。

キャスト・モデル、ナレーション費

スタッフ以外の人が制作に参加した場合、必要にな流のが外部人件費です。

出演者の人件費はジャンルや実績ごとに価格帯があります。

この価格帯は需要と供給の上で変動します。

したがって著名な人物に出演してもらった場合はそれなりの予算を計上する必要があります。

出演交渉はアシスタントプロデューサーが行います。

ナレーション・声優の人件費などの中には、プロダクションが入ってマネージメントする場合があります。

投稿動画制作の場合など予算を抑えたい場合に個別交渉するのは手間がかかりすぎます。

その場合はナレーションサービスというクラウドワーキングサイトがあるので必要に応じて利用するといいでしょう。

機材費・スタジオ費

ロケやスタジオ撮影にかかるカメラ機材や編集室の利用料金などを計上します。

機材費は、機材単価×実働で積算します。機材単価の参考資料はレンタル企業が公開している価格表を参考に査定します。

投稿動画のように自前の機材や環境を使う場合は予算に計上しません。

音響効果費

映像に合わせて挿入する音楽の購入・使用料を計上します。

BGM・SE使用料は厳格に著作権管理を行う必要があります。

YouTubeではYouTubeに限って使える著作権フリーの音源などもありますが、使用料がかからなくても明細は用意します。

利用にあたっては使用した楽曲を別途一覧表にして納品します。

有料の楽曲を使用した場合は、楽曲の使用料を計上します。

サブスクで利用中のサービスを使う場合は素材サイトの楽曲単価をそのまま見積もりに計上します。

管理費

動画制作者のもうけ。つまり利益に当たる部分です。忘れないように計上します。

但し書きは「スケジュール管理など」とします。 制作費合計の10%程度を計上します。

消費税

制作費と管理費の合計に10パーセントの消費税率をかけて計上します。

消費税の納税義務から外れる稼ぎが少ないフリーランサーの場合でも消費税は明細に書きます。

見積書をつくる手間を省くには

見積書の書式は自由に作ることができるので、あらかじめ計算式などを盛り込んだエクセルシートを雛形として用意しておくと楽です。

それでも見積書の書き方に不安がある人は、会計ソフトに付属したサービスをご紹介します。

会計ソフトは確定申告など、フリーランスとして働く人にも役に立つサービスです。

私が有料で契約している会計ソフトfreeeを例にとり解説します。

見積・請求はfreeeの中にあるサービスです。

トップページの[取引][取引の一覧・登録]を開き、下にスクロールすると

受発注管理のボタンがあります。有料契約していなくても請求案件が少ない個人事業主は無料で利用できます。

請求書の作り方は簡単です。

見積・請求・納品書などのタブが並んでいます。ここから各種書類を作ることができます。

書式はすでに用意されているので、指示に従って情報を登録します。

見積書のポイントは作業の詳細を箇条書きに記入できることです。

この機能を使えば「時給3000円のカメラマンが3時間ロケをする」「編集に3時間かかる」など、業務内容と料金を細かく積み上げていくことができます。

依頼者が企業などの場合は料金の金額の多寡よりも、説明性・透明性のある説明が好まれます。

したがって、正直に経費を積み上げましょう。

※表には管理費を入れ忘れました。管理費は総額の10%が目安。は受注者のもうけにあたります。

できあがったらPDFにすることができるので依頼主と相談の上送付します。

会計ソフトには納品書や納品が終わったあと依頼主に提出する「納品書」や「領収書」の入力画面もあります。

なお、取引の記録は会計ソフト上に残っているので面倒な帳票整理も必要ありません。

明細をきちんと書くことの意味とは

残念なことに動画制作の世界では、きちんとした明細を作る習慣は最近までありませんでした。

「この値段の中でできるかどうか」という、悪く言えば阿吽の呼吸で「どんぶり勘定」の取引が成立している時代が長く続いていました。

バブルがはじけた頃になってようやくそれではダメだという機運が芽生え始め、明細をつけるような習慣が出来上がったのはつい最近のことだったのです。

動画制作の見積書の見方をプロが教えます。見積もりを安く抑えるポイントも解説! | 動画幹事

動画制作の見積について詳しく説明する記事も見かけるようになりました。

しかし、中にはヘアメイクやポスプロのスタジオ費など、プロでなければ使わないような費用もあります。

依頼者の要望を聞きながら、現実的に実現可能なプランを提示・説明する。

無理のない解決策を作ることがこれからの制作者には求められます。

見積書は基本的に単価と数量の合計金額しか書かれていません。

工程ごとの明細を明らかにすることは透明性確保と依頼者の不安軽減につながるのです。

まとめ

動画制作を委託したい人の理由は二つあります。

一つは自分一人ではできない動画作品を、スキルのある人の力を借りることで作りたいというねがい。

もう一つは、動画制作に欠ける時間を節約するため、他人の力を金で買うという計算です。

動画を作る側としては、依頼者が持つ二つの理由を見極めてアプローチしなくてはなりません。

以前の記事 動画制作 仕事の見つけ方 | ぶいろぐ でも書きましたが、動画制作という仕事はオーダーメイドのものづくりです。

自分が相手に何を作って欲しいのか、いくらならOKなのか。

相手の希望に自分はどのような回答ができるのか。期日や予算を含め納得のいく説明ができるのか。

お互いのコミュニケーションが一致しないといい結果につながりません。

制作スキルの中には、職人としてのスキルとは別のマーケティングスキルも含まれていることを忘れてはなりません。