スマホ画面を自然に合成! After Effects × Mocha AEの使い方

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 After Effects × Mocha AEの使い方を書きます。

みなさん、YouTubeや映画で「スマホの画面」が自然に映像に合成されているのを見たこと、ありますよね?

例えばこんなシーン。

  • 俳優さんが手に持っているスマホに、LINEの通知画面がリアルに浮かび上がる。
  • ドラマのワンカットで、主人公が地図アプリを見ながら歩いていて、その画面が自然に動いている。
  • 商品紹介動画で、無機質なスマホにカッコいいアプリのUIがパースぴったりにはめ込まれている。

実はあれ、After Effects標準搭載の「Mocha AE」 というプラグインを使うと、自分でも作れるんです。

今日はその手順を、初心者さんでもわかるように、そして「これなら俺にもできるかも!」と思えるように、リアルな体験を交えて解説していきます。

スマホ画面を自然に合成!After Effects × Mocha AEの使い方

Mocha AEってなに? ― After Effectsに隠されたトラッキングの相棒

Mocha(モカ)はもともと独立したトラッキングソフトでした。映画の合成現場でもバリバリ使われていた有名なツールです。

それが After Effects 2014 あたりから機能制限版がバンドルされ、さらに AE 2019 からは「Mocha AE CCプラグイン」としてガッツリ統合されました。

つまり今のAfter Effectsを持っていれば、追加料金ゼロでプロの現場でも使われるトラッキングができる というわけ。これは使わない手はありません。

スマホ画面をトラッキングしてみよう

では、具体的にスマホ画面を「ハメコミ」してみましょう。

① Mocha AEを立ち上げる

After Effectsでスマホを映したクリップを読み込みます。

そのクリップに 「Mocha AE」エフェクトを適用 → アイコンをクリックすると、別ウィンドウでMochaが立ち上がります。

初めて見る人は「え、なにこのソフト?AEと全然違うじゃん!」ってなるはず。でも安心してください。最初は Essentials ワークスペースが開きますが、上部から Classic に切り替えると少し落ち着きます。

② スマホの画面を囲む

ツールバーの Xスプライン を選んで、スマホの画面を少し大きめに囲みます。

(ここでピッタリすぎると後でトラッキングがズレやすいんですよね。)

ショートカットも覚えておくと便利です。

  • Xキー … ハンドツール(画面移動)
  • Zキー … ズームツール

これを使って、トラッキング対象を見やすい位置に持ってきましょう。

③ トラッキングを実行

画面下の「T」と書かれた再生ボタンを押すと、トラッキングがスタートします。

スマホが多少動いていても、Mochaの平面トラッキングならピタッと追いかけてくれます。

ちなみに、必ずしも映像の最初からやる必要はありません。

例えば「スマホが一番正面を向いているフレーム」を起点にして、そこから前後にトラッキングすると精度が安定します。

After Effectsにデータを戻して合成しよう

Mochaでトラッキングができたら、いよいよAEに戻ります。

① スマホ画面の中身を作る

例えば「アプリの操作画面」をはめ込みたいなら、

1080×1920(縦長HD) の新しいコンポジションを作って、その中に画面素材をデザインしましょう。

② トラッキングデータを適用

元の映像に戻り、Mochaエフェクトの設定から

  1. Create Track Data を押す
  2. 歯車マークをオンにしてOK
  3. Export Option → Corner Pin を選ぶ
  4. Layer Export To に作った「スマホ画面のコンポジション」を指定
  5. Apply Export をクリック

すると…スマホにちゃんとはめ込まれます!

ただし。ここでよく起きるのが「画面がちょっとズレる」問題。

これはアンカーポイントの仕様で、手動で修正する必要があります。

例:1920×1080の映像をトラッキングしているなら、アンカーポイントを 960, 540 に打ち直すと位置がピタッと合います。

「えー、なんで自動でやってくれないの?」と思うんですが、これはもうAEあるあるですね(笑)。

文字やグラフィックを連携させてみる

画面の合成だけじゃなく、Mochaのトラッキングデータを使えば「文字」や「エフェクト」もスマホに追従させられます。

例えば、スマホの上に「LINE着信!」みたいなテキストを浮かせるシーン。

  1. AEで「ヌルオブジェクト」を作成
  2. Mochaから Transform データを書き出して、そのヌルに適用
  3. テキストレイヤーをそのヌルに親子付け

これで、スマホの動きにピッタリついていく文字が完成します。

さらにモーションブラーをオンにすれば、実写になじんでめちゃくちゃ自然に見えます。

実際に使うとどんな映像ができる?

例えば僕が以前作った動画では、友達がスマホを手に取る瞬間に「未来的なUI」が浮かび上がる演出を入れました。

Mochaで画面をトラッキング → スマホにSF風インターフェイスを合成。

完成した映像を見せたら「え、これ本当に手で映してるの?アプリ作ったの?」と聞かれてニヤリ。

Mochaを使えると、ただの実写が“映画のワンシーン”に化けるんです。

まとめ:Mocha AEはAe使い必須のスキル

  • Mocha AEはAE標準搭載の強力トラッキングツール
  • スマホ画面のハメコミは映像制作でよく使う定番テクニック
  • Corner PinやTransformを活用すれば、グラフィックや文字も自在に連携できる

慣れるまではちょっと操作に戸惑うかもしれません。

でも、一度マスターすると「映像の幅が掛け算で広がる」感覚を味わえるはずです。

ぜひ、自分の映像に取り入れてみてください。