今のようにパソコンで動画に文字を表示できなかった時代。
番組制作者は原稿を書きアートさんと呼ばれる写植職人の手で紙焼きのテロップを作ってもらっていました。
タイトルやパターンなどはデザインを手書きする職人さんがいて、その人たちに頼んでいました。
時間に追われる放送局はちょっとしたデザイン工房だったのです。
いまではパソコンでフォントや配置などを考えながら動画作りができます。
テロップ入れくらいは出来ないと放送局でやってゆけない時代なのかもしれません。
動画にテロップ(文字)を入れる手順をおさらいします。
テロップを使いこなすことでできること
最近ノーナレーションで作られた番組を見かけるようになりました。
テレビでさえ、ナレーションなしの番組を見る時代ですから、携帯で見ることの多い動画はなおさらです。
メリットはふたつあります。
- しゃべりが苦手な人でも作れる
- 手間がかからない
喋るのが苦手な人にとって映像とテロップだけで動画が作れるようになると楽です。
ナレーションを入れようとすると、自分が喋るか人に頼むしかないからです。
人に頼むとコストがかかります。
事前に読み原稿をつくり、リハーサルをしたり、収録用の機器を揃える必要も出てきます。
テロップを自在に使えるようになると、ナレーションを入れるための工程が減ります。
頭に思いついた文字を直接編集画面に打ち込んでいけばいいので、作業が簡素化されます。
テロップ作業のタイミング
編集画面を開き、タイムライン上に動画を配置し終わったところで、文字やテロップの作業に移ります。
最近の編集ソフトは文字の入力も充実しているので、かなり凝った表現が可能になりました。
山登りには様々なルートがありますが、テロップ作業も色々な方法があります。ここでは簡単で確実な方法を見ていきます。
テロップ原稿は尺に繋がってから書き始める
たまに、編集中にテロップを作り始める人がいますが、はっきりいって時間の無駄です。
なぜなら編集はやり直しになることがよく起きるからです。テロップをあてたカットが削られてしまったらそれまでの苦労は水の泡になります。
ちなみに、私はillustratorというグラフィックソフトを使うことが多いので、ソフトを使って一枚一枚のテロップを作り、画像として編集ソフトに読み込む方法をとっています。
テロップを別に作っておけば、編集に直しが入っても深手を負うことはありません。修正したい部分だけ対応した方が時間のロスが少ないからです。
慣れてくるとわかると思いますが、単純作業は効率化するのがコツです。
また、テロップの原稿はカットの時間によって字数を見直すこともあります。
カットが固まったところでテロップ作業に進みます。
テキストをレイヤーにドロップするとは
ここからは編集ソフトを使ったテロップ作業の実際を見ていきます。
動画を並べたタイムラインの上に、余白のタイムラインが広がっています。
テロップはこの余白に並べます。タイムラインは上にあるものが画面に表示される仕組みになっているからです。
テロップの用紙にあたるのが、画面左のエフェクトライブラリーです。
この中の〔タイトル〕がテロップ用紙です。タイトルとあるのは、文字を拡大すれば動画のタイトルになるからです。
まず並べて見た上で削り込む
この〔タイトル〕をマウスでドラッグして、タイムライン上に落とすとテロップの台紙ができます。
初期画面では画面にTitleという文字が浮き出ます。この枠をクリックすると選択され赤枠になります。
同時に編集画面の右上にインスペクタ[1]ソフトウェアの機能や種類の一つで、指定した対象の現在の状態や内部構造を示す情報を一覧表示してくれるものを言いますと呼ばれる操作パネルが出現するので、ここから文字をワープロ感覚で入力します。
入力すると編集画面に反映されます。
テロップづくりの基本は以上です。あとは必要な枚数をタイムライン上に配置していくだけです。
一通り入力したところでプレビューを見てバランスを調整します。
文字の大きさやフォント、色や影、さらには動きなど検討の余地があることがわかります。
入力した文字の見え方を調整して、見やすい画面にしていきます。
インスペクターでの作業とは
インスペクターでは文字の大きさやフォントを変えることができます。
さらに作った文字の背景に影をいれたり、上下左右、あるいはナナメにすることもできます。よく使うのは影です。
ドロップシャドウというこの作業は、illustratorなどのグラフィックソフトでは定番の作業で、文字を見やすくするためには欠かせない方法です。
“おまけ”は使わない方がスマートです
編集ソフトには様々なおまけが付いています。
例えば、ストロークと呼ばれる文字の輪郭付けや、バックグラウンドと呼ばれる文字の背景に座布団のような帯をつける作業などがあります。
初心者の頃は面白がって使うこともありましたが、そのうち使わなくなりました。その理由は飽きたからです。
人が作った動画を見ても、余計な装飾ははじめのうちはインパクトがあっても、そのうち何にも感じなくなります。見ていて飽きるからです。
おまけに付いているような効果に頼っていてはオリジナリティを発揮するのは難しいので、作る側としても使わない方がスマートかと思います。
離れた位置にテロップしたい場合は
DaVinci Resolveでは〔タイトル〕は一文字列につきひとつしか作れません。
たとえば画面の右上と左下などに文字を配置したい場合などは。
右上に文字を配列したテロップと、左下に配列したテロップをそれぞれ作り、編集ソフト上で合成するのです。
好きな位置に文字を配列したテロップが必要な場合は、編集ソフトを使わずにテロップを1枚の映像としてつくることです。
私はillustratorなどのグラフィックソフトを使って動画サイズ(例:1920×1080)のテロップ画面をつくっています。
できた画像はpng形式の画像にして保存します。こうすると文字以外の背景は透明になるので素材の上に重ねやすくなるのです。
入りと出をスムーズにしたい時は
初期画面ではテロップのオンオフはスイッチを入れたり消したりするような味気ない動きです。
一手間かけることで見た目に優しい効果を産むのがフェードの作業です。すーっと現れ、すーっと消える見え方です。
操作方法は難しくありません。〔タイトル〕を見ると四角い枠になっています。
その上部を見ると左右の端に逆三角の目印が見えます。この三角をマウスで移動すると直角だった枠が台形に変化します。
台形の斜めの部分が画面上の見え方になります。斜面が急なら急に現れて消えるように、緩やかなら現れ方も緩やかになります。
三角の横に表示されるのはフレーム数です。私の場合は13フレームに設定しています。約0.5秒かけて現れ消えるというタイミングです。
文字数は欲張らない
糸井重里さんは主宰するウェブサイトの文字数を27字に決めています。
目をあまり横に動かさなくても読める文字数が27文字以内だったことから生まれたルールなのだそうです。
実はテレビの文字スーパーも、視聴者から見た読みやすさを意識して作られています。
それは二度読みできる間はスーパーし続けるというルールです。
目を左右に動かさなくて二度読みできる文字数というのはかなりアバウトなルールですが、平均すると一行20字程度です。
映像で見てわかることは映像に任せればいいので書くことは限定されます。
短く簡潔に書くことがテロップづくりのコツと言えるかもしれません。
まとめ
テロップ作業は編集の終盤。つまり締め切り間際の一番忙しい頃に当たります。
ここで文字原稿づくりを初めても手遅れになるので、番組制作者は編集段階あたりから頭の中で原稿を温め始めます。
締め切りから逆算して早めに着手することを習慣化させましょう。
よろしければチャンネル登録お願いします。
References
↑1 | ソフトウェアの機能や種類の一つで、指定した対象の現在の状態や内部構造を示す情報を一覧表示してくれるものを言います |
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こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 テロップ を書きます。