カメラから離れた位置の音声を収録するとき使うワイヤレスマイク。
収録にこだわるなら、プロが名指しして使うワイヤレスマイクをお勧めします。
中でも音声さんがよく使うのがソニーのワイヤレスマイク UWP-D21 です。
機能のバランスが取れている上、何かあった時に修理や交換が可能なところが魅力です。
UWP-D21を使いたい撮影現場
・VIPインタビューなど失敗が許されない収録
・街角リポートやワンオペ取材など、カメラマンに負担が多い撮影現場
・電池交換式のため、電源管理がしやすい。(収録の度に電池を交換することで電池切れトラブルを回避できる)
カメラマン一人の運用でも、音量調整不要。安定した信号受信が可能です。
定番のワイヤレスマイク UWP-D21 レビュー
UWP-D21はB型帯(800MHz帯)と呼ばれる周波数を使うB型規格のワイヤレスマイクシステムです。
トランスミッター(送信機)UTX-B40とチューナー(受信機)にあたるURX-P40のセットで構成されています。
カメラマン一人でもセッティングが簡単なこと。
音声の途切れやノイズの発生が抑えられることが評価されています。
無線の利用には基本は国の免許がいりますが、UWP-D21は免許不要で誰でも自由に使うことができます。
電波法の改正により、旧規格のB帯ワイヤレス機器は期限は未定ですが、使用禁止になります。総務省|報道資料|無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申
現在は移行措置として使用が許されていますが2010年ごろまでに生産された機器はほぼアウトです。
URX-B40、UTX-B40 は後継機種として製造販売されています。ソニーのB帯ワイヤレスマイクロホンシステムをお使いの方へ
電波が届きにくい場所でも音が途切れない理由の一つは、2つの受信回路が備わっているからです。
UWP-D21では、送信機から届いた電波をUTX-B40は二つのアンテナで同時に受信します。
そして、受信した電波の中から状態の良い方を自動選択するのです。
最良の受信状態を選択するだけではありません。
受信機側にアンテナが二つあるため、複数の送信機を切り替えて収録することも可能です。
※同時受信には対応していません。
さらに、特別に重要な場面では二台の送信機を使うことで確実な収録も可能です。
このことから、収録の事故が起きないような仕組みが徹底されていることがプロの評価につながっているのがわかります。
たまに、「プロの機材は高級オーディオ以上に聴こえがいい」という人がいますが、それは誤解です。
プロ仕様だからといって高級な音が聞こえるわけではありません。
プロ仕様と一般向け製品の違いを一言で言うと、信頼性、つまり安定感の違いです。
- 過酷な条件下でもトラブルなく動作する耐久性
- ノイズや干渉おきない信頼性
- 製品を交換しても音質の差が発生しない正確性
品質が保障されているからこそ、プロの現場で使い続けられているのです。
ワイヤレスマイクの定番 UWP-D21
ノイズや音飛びがほとんどなく、しっかりとした音が録れることから、インタビュー用などに使われます。
送受信機がペアで一組になっています。
違いはアンテナの数。
一本なのがトランスミッター(送信機)のUTX-B40、アンテナの多い方がチューナー(受信機)URX-P40です。
いずれも単三電池2本で動作します。
トランスミッターUTX-B40(送信機)
送信側の特徴を見ていきます。
UTX-B40がプロ仕様の機種であることを感じるのが、ピンマイク(ラベリアマイク)を繋ぐマイク端子です。
マイク端子はロック式の3.5ミリ3極ミニジャック。
よく見ると普通見かけるミニジャック端子には見られないネジ山があることがわかります。
ソニー独自の仕様で、マイクのピンジャックを差し込んだ後、ネジでマイクをロックする仕様になっています。ロックすることで簡単には抜けない仕組みです。
マイクの端子を見ると根元が太くなっています。
UTX-B40に電力の給電が必要なコンデンサーマイクも接続できます。
その場合は電力が給電できるようにXLR端子プラグを使います。
コンデンサーマイクの端子はXLRなので、上のようなケーブルを使います。
格安のピンマイク(ラベリアマイク)はUTX-B40では使えない場合もあります。
XLR接続のメリット
接触ノイズ対策にはXLRプラグが抜群の効果を発揮します。
民生品のマイク端子は3.5ミリのプラグ端子が一般的です。
以前私もハンディカムにマイクを外付けして使っていました。
しかし、困ったことに3.5ミリプラグは接触の当たりが悪いとガリガリっという接触ノイズが発生したのです。
なるべく端子に触れないように収録しましたが、これでは精神衛生によくありません。
なのでタイミングを見て機材を一新。
3.5ミリからXLR端子が使える機材に入れ替えました。
するとガリッというノイズの発生がピタリと止みました。
チューナーURX-P40(受信機)
受信側がURX-P40です。
大きさは6センチ×8センチほどで片手に入るくらいの大きさです。
デジカメのカメラシューに取り付けて収録機に伝送します。
ワイヤレスマイクは基本一チャンネルで運用します。
なのでステレオで収録したい場合は受信機がもう一台必要になります。
左のPHONE端子は3.5ミリのステレオミニジャック。ヘッドホンを接続してモニターします。
右のアウトプット端子は専用の変換ケーブルを使ってXLR端子もしくは3.5ミリに変換した上でカメラなどに接続する仕様になっています。
セッティングのしかた
受信機側のセッティングをした上で、送信側・マイク側の電源を入れ、周波数を合わせて使います。
まず、受信機側の電源を入れます。
すると液晶部分に上から「バッテリー残量」「ALL BO」「周波数」の表示が出ます。
この状態で「マイナス」ボタンを押して「AUTO SET」を選択します。
同じ状態で今度は「SET」ボタンを長押しします。
画面表示された「YES」が点滅するので、そのままの状態でもう一度「SET」を押します。
この状態ですかさず送信機の電源を入れます。
自動で空いているチャンネルを探しはじめます。
待つことおよそ15秒。「SYNC」と表示されたら接続が完了です。
詳しくは下記の動画で分かりやすく解説されています。
セッティングの仕方はこちらの記事にも詳しく書かれています。
対談の収録などで、複数の音源を収録する場合は、収録チャンネル数に応じてUWP-D21のセットが必要になります。
また、複数のチャンネルを記録するためには、タスカムのPCMレコーダーなどを使って収録トラックごとに別録音し、手間がかかりますが編集で一本化します。
初心者には難易度があがるので注意しましょう。
チュートリアル動画
ワイヤレスマイクシステム比較
UWP-D21はプロ仕様のため民生用のワイヤレスマイクよりも高額です。
民生品のメリットは低価格であること。送受信にデジタル帯域を使うケースが多いためキレのいい音質が期待できることなどです。
なので、収録の目的によっては価格の安い民生品を選んだ方がコスパが勝ることがあります。
ロングセラーの民生品二機種と比較してみましょう。
Hollyland – Lark 150
Hollyland – Lark 150は受信機1つに送信機2つがセットになった製品です。送信機は“ 世界最小 “という点が売りです。
Rode – Wireless GoⅡ
Rode – Wireless GoⅡはデュアルチャンネル対応の受信機と2 台の送信機で構成される、非常に多機能で超コンパクトなワイヤレスマイクシステムです。
製品画像 | UWP-D21(D11後継機種) | Hollyland – Lark 150 | Rode – Wireless GoⅡ |
価格(税抜) | 75,500円 | 33,000円 | 46,064円 |
発売日 | 2019年9月2日 | 2020年12月25日 | 2019年9月27日 |
寸法(L × W × H) | 送信機:63×73×19mm 受信機:63×82×20mm ※アンテナ含まず | マイク:37 × 37 × 17.5mm 受信機:67 × 41 × 20.5mm | マイク:44 × 45.3 × 18.5mm 受信機:44 × 46.4 × 18.5mm |
重量 | マイク:16.2g 送信機:83g(電池含まず) 受信機:51g(電池含まず) | マイク:20.5g 受信機:51g | マイク:31g 受信機:31g |
バッテリー持続時間 | 送信機:約10 時間 受信機:約6時間 | マイク:4.5時間 受信機:7.5時間 充電ケースで約2.5回分充電可 | マイク:7時間 受信機:7時間 |
指向性 | 無指向性 | 全方向性 | 全方向性 |
周波数帯 | 3.2GHz | 2.4GHz AFH | 2.4GHz |
送信遅延 | 約0.35ms | 5ms | 6ms |
伝送範囲 | 100m | 100m | 70m |
内容物 | ラベリアマイク(ピンマイク) ×1 ウインドスクリーン ホルダークリップ UTX-B40用XLR-BMP変換入力ケーブル(長さ約1.5m) URX-P40用XLR-BMP変換出力ケーブル(長さ約46cm) シューマウントアダプター ベルトクリップ(2個) ステレオミニ-BMP変換ケーブル(長さ約40cm) | 充電ケース × 1 マイク × 2 ラベリアマイク(ピンマイク) × 2 レシーバー × 1 風防 × 2 3.5mmケーブル × 1 USB Type-A to Type-Cケーブル × 1 収納ポーチ(布製) × 1 | マイク × 2 レシーバー × 1 風防 × 2 3.5mmケーブル × 1 USB Type-A to Type-Cケーブル × 2 収納ポーチ(布製) × 1 |
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UWP-D21のメリットデメリット&ユーザー評価
UWP-D21の特徴をまとめました。
・広い場所や障害のある場所でも音切れやノイズの発生が少ない
・速度遅延が起きにくい
・単三電池で長時間収録できる
・製品ごとの違いがほぼない
・ワイヤレスマイクはガンマイクと比較すると明らかに音声がクリアになる
・価格がデジタル商品に比べ高額
・やや嵩張る
・音質がこもりがち
・特殊仕様の3.5mmロックネジプラグのためサードパーティのマイクが使いにくい
・演者のズボンやベルトに送信機を装着する際は別売りのベルトクリップが必要
・マイクをカメラに装着するために使うシューアダプターも別売
以上を比較すると、デメリットが目立ってみえるかもしれません。
ユーザー評価
安物ワイヤレスって音質もそうですがレイテンシーがすごいっすよね。せっかくワイヤレスで録ったのに微妙に口元とズレててあとから切り貼りするという本末転倒な商品が安物には多いです。
ソニーのB帯デジタルはレイテンシーも混線もほとんどなく実用的なので、いい買い物をされたと思います。
安定性・音質を考えれば、これが一番。
ワイヤレスマイクは様々なメーカーからお手頃な価格帯から出ていますが、初めからこれを買っておくのを強くオススメします。
音質もいいです、150mぐらい電波が届きます。1対1なのが難点です。送信機2個も接続可能ですが受信機側で切り替えが必要です。2人の声を録りたい場合は2セット必要です。
B帯のが距離離れても飛ぶから安心感あるんすよね。2.4gHz帯はWi-fi規格も含まれているので混信が起こりえるのと回折力の低さがネックです。
SONY UWP-D21は信号が途切れたりすることが少ないです。雑踏とかでも途切れないです。業務で使う機材が安心の機材であることは重要だと思います。
広い帯域で、かつ低域にピークがあります。気になるピークポイントはEQなどで削れば良く、男女ともに使いやすいマイクです。またマイクの付ける位置で帯域が変わりやすいので、遊び心のあるマイクともいえます。
設定方法
送受信機を近づけてボタンを押すだけで通信準備完了という手軽さはいいですね。
離れた距離でもしっかり音が拾えることもわかります。
ノイズもないです。
収録時の音量レベルが多少低くても編集でなんとかなるので問題ありません。
導入に際しては以上のようなユーザーレビューもあわせて検討しましょう。
迷ったらレンタル品で確かめる
予算に余裕がないけど一度使ってみて様子を見たいと言う時、便利な方法があります。
機材を短期間レンタルしてみることです。
UWP-D21のレンタル価格は二泊三日で6,160円。製品の一割程度の出費で使い勝手がわかります。
ソニーのワイヤレスマイクUWP-D21をレンタルするまとめ
繰り返しますが、プロの現場は収録の失敗が許されません。
インタビューやリポートなどの撮影では音の収録が動画全体の質を左右します。
- 音が途切れたり、ノイズが乗ったりするのは絶対避けたいと思ったらプロ仕様。
- 多少のリスクはあっても安くてコスパがいいものが欲しいなら民生品。
目的と理由をはっきりさせて選びましょう。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 UWP-D21 を書きます。