映像制作の見積書チェックポイント

映像制作と見積書
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

映像制作に注目が集まっています。これまで注目されたことのないようなテーマの動画作品がどんどん登場しています。視聴者層も拡大し、これまでネットで動画をみたことがないような人まで動画を楽しんでいます。

映像を作る側にも変化が出はじめました。動画制作を請け負ったり、デザインを手伝ったりと、事業として映像制作に乗り出す人が増えています。

映像制作を始める人が直面するのが動画制作にかかる経費です。映像制作には機材や人件費といったお金がかかります。このジャンルの動画はいったいいくら経費がかかるのか。しっかり計画を立てておかないと赤字になってしまいかねません。

赤字を出さないようにするにはお金を出す側。つまり委託者側から見ていく方が簡単です。「この範囲で作ってね」と言うだけ。わかりやすいのです。

動画制作に必要な見積もりの査定方法を見ていきます。

制作会社は足元を見ます

放送局は動画制作を行うプロダクションに向けて企画を募集します。

制作会社の中には「いい作品を作るためには費用がかかります」といって、けっこうな制作費を予算に盛り込むケースがあります。そうした企画に限って見積書がアバウトな場合が少なくありません。

動画制作動画制作にかかる経費は高級寿司屋のお品書きのように時価で決まるものではありません。制作費は工業製品のように見積もり書に落とし込むことができます。

制作担当者に聞くと見積もり化しにくい原因は、製品にどれ一つとして同じものがないことだといいます。細かく積み重ねるとその通りかもしれませんが、それは半分違います。

放送番組は時間帯によって予算枠が決められています。その予算内に収まるように工夫するのが制作者側の能力なのです。

予算内に収まるような仕組みや構成を考え、日程化、予算化していけばいいだけなので実は簡単です。そしてその基本は単価×数量という計算式に落とし込めるのです。

見積書に注意

映像制作業者に動画制作を依頼した場合、気を付けるのは、制作費だけで判断しないことです。

仕上がりの良しあしを決めるのは人です。誰が作るかによって仕上がりは大体予想できます。放送の世界は広いようでいて意外に狭く、番組制作者の力量は風に乗って広がります。

同様に、制作手法がわかればおおよその経費もはじき出すことができます。

しかし、一般の方が制作会社のつくった見積を見て理解できるかというとなかなかむつかしいと思います。

安い値段で請け負う業者も中にはいますが、仕上がりや追加料金を巡ってトラブルが発生することもあります。

例えば、海外ロケを格安で請け負った制作会社が別の仕事を同時に請け負っていて旅費、宿泊費を二重取りしていたケースがありました。無理な計画で企画した海外ロケ番組の中には現地の事情でロケが中断し、納品されないこともありました。

見積予算を見るときはリスク回避のための保険という視点を持つことも大切です。

依頼者の意図をしっかり伝える

伝えたいことを明確にする。制作業者の技量を見極める。複数の業者に構成・演出プランを提出させる。作業量を人数と時間に換算し、相見積もりをとる。

値段だけで選ぶのではなく、事前に業者が作成した動画を見せてもらう

“アートな作品”には気を付ける

デザインの経験をしてよく聞いたのが「目立つデザインにしてほしい」という依頼です。依頼者からすると狙いを伝えたつもりでしょうが、制作する側からすると見せ方も含め丸投げされたことになります。

するとどういうことが起きるかというと、仕事の境目が見えにくいため業務量に歯止がかかりにくくなのです。

例えば、最近動画でよく目にする字幕スーパー。一枚一枚の作業量は日々たるものですが、凝った仕掛けや数量によっては制作費を圧迫します。

例えば、1時間のテレビ番組ならば、まずロケ撮影やスタジオ収録した映像素材を、番組の規定尺(規定の時間)におさめて編集します。テロップ(字幕スーパー)が全く入っていない「シロ」といわれる映像を作ります。これで1日くらいかかります。で2日目、「シロ」にテロップを入れます。近年のテレビ番組を見て頂けると分かる通り、最近のテレビ番組にはテロップが多すぎます。情報テロップを入れて、出演者の名前を入れて、視聴者に伝わりやすい、必要なテロップを入れていきます。で、ひと昔前ならばココまでで良かったのですが、最近ではコメントフォローやらサイドスーパーやらが入ります。コメントフォローというのは、出ている人が喋っている内容のテロップです。番組によってはほぼすべてのコメントを載せているものもありますね。これがとても時間がかかります。やったー!終わった!と思っても、さらに、サイドスーパーです。テレビ番組を見ると画面の左上や右上に、いま何をやっているか等の情報が載った小さなテロップありますよね。あれです。あれを、何パターンも入れていきます。これも時間がかかります。1時間番組でもサイドスーパーの数や内容によっては、4時間程度かかるかもしれません。この2日目のテロップ入れ作業が、相当に時間を要すのです。

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「いいものをつくるため」という理由で、経費が青天井になることもあります。依頼者側の脇が甘いと、頼んでもいない演出が行われ、その経費が見積に乗せられることもあります。

予算に厳しいエンターテインメント番組のプロデューサーの中には、セットの電飾に使われる電球の数を調べ、画面に映らない部分の電球代を査定した人がいました。

上記の過剰スーパーにしても、サイドスーパーが本当に必要なのでしょうか。依頼した制作プロデューサーの中には、過去もそうだったからという理由で思考停止している人がいないとも限りません。

動画制作の中には、制作者が個性を表現するための手段として使うアートな動画もあります。その反対に情報を伝える手段として映像を使うケースもあります。

後者の場合、凝りに凝った映像美がないと作品にならないわけではないはずです。

見積もりは単価×数量に落とし込む

動画の演出方針が固まれば、制作に関わる要員や日数は見えてきます。この動画だけにしかない特殊な演出は別途計算することにして、単価と日数に分解していきます。

例えば、一人語りした素材を編集するだけの動画なら、事前準備に何時間、撮影に何時間、編集の何時間と実働時間を割り出します。編集を外注する場合は、外注委託費を加算して、編集時間を除きます。

放送番組の工程を例に取ると次のようになります。

事前打ち合わせ 取材・ロケハン 取材・撮影 編集(予備・本番)・監修 修正 納品

これに時間数と要員数を掛け合わせます。同じようにして「機材費、旅費、交通費」など単価と数量があらかじめ分かっているものは項目を立てて加算します。

価格がランクによって分かれているものや随意契約、時価のものは相場をもとに足し上げます。ナレーター、吹き替え・翻訳などその人や業務のスキルによって価格が変動するものも同様です。

こうして足し上げた合計に管理費や税金の料率を加えると見積価格が見えてきます。

一般の製造物と違うのは、一度作ってみたものの作り直しが出る場合です。特に追加料金が発生しやすいのが「映像の修正」です。よくあるのが発注者のイメージ通りに動画が仕上がらなかったりするケースです。この場合、修正費用をどのように扱うのか事前に話し合っておかないとトラブルの元になります。

制作時間や撮影時間などはトラブルも含めて少し余裕をみて査定することがありますが、それは調整を見越しての知恵といえます。

まとめ

近い将来人間の仕事はあらかた機械に置き換えられるのだそうです。童画家祝いを眺めると、亡くなった歌手をAIで再現したり、ナレーションを自動的に読み上げる仕組みなどこれまでにない作りの動画コンテンツが増えてきました。

AI化した将来、動画はどうなるのだろう心配する声はあまり聞きません。

動画コンテンツはほとんどが大量生産に向かない受注製品のようなものです。内容にあわせて取材や演出を毎回のように変えざるを得ません。

動画制作の現場も自動化が進んでいます。でも仕事を奪われる心配を感じている人の声は聞きません。なぜならば、動画制作は手作業に近いため仕事の全てを機械に置き換えることができないからなのです。

仕事がなくなるとしたらそのリスクは信頼から生まれるのかもしれません。信頼を得るためにはまじめにコストを計算し適正な対価を請求することしか内容に思います。




ABOUTこの記事をかいた人

元テレビ番組制作者。再就職→窓際→WEBコンテンツ制作で復活。64歳にして動画制作に自分の価値を見いだしました。目指すのは地域に根ざした"伝える系"の動画制作です。スキルアップと感謝の気持ちを持ちながら楽しく生きていきます。編集のお手伝いも始める予定です。