映像の中に映り込んだ不要なものを消したくなるときありませんか。
DaVinci Resolve Studio18の新機能の1つにMagic MaskとObject Maskがあります。
この機能を使えば動画に映った被写体と背景を分離させることができます。
分離できれば不要なものを消したり、逆に背景を差し替えたり自由自在です。
Object Mask とは
公式ページには次のように記載されていますが、何のことかわかりませんよね。
新しいオブジェクトマスクは、数千の個別のオブジェクトの動きを識別・追跡。DaVinci Neural Engineにより、動物、乗り物、人物、食べ物など、無数のエレメントを直観的に分離し、高度なセカンダリーグレーディングやエフェクトが適用できる。
ざっくりいうと対象が動いていても切り抜き自由なマスクのこと。
Object Mask(オブジェクトマスキング)機能とは動画上のオブジェクト、つまり人や物などを識別してマスクしてくれる機能です。[1]After … Continue reading
そこで、実際にどう使うか調べました。
この機能を使って動きのある被写体の背景だけモノクロにします。
従来のDaVinci Resolve Studioにも同様の機能がありましたが、18でさらに機能が強化されました。
タイムライン上のマスクしたいクリップをクリックし[カラー]ページを開きます。
[カラー]ページのアイコンからマスクしたいオブジェクトを選択します。この作業ではノードツリーは使いません。
マウスをプレビューモニターに重ねるとペン状に変わるので、マスクしたいオブジェクト上を線を引くように範囲指定します。
するとオブジェクト上に薄い赤色のベールがかかります。
マウスをスクロールして画面を拡大し、余計な部分が選択されていたら、マイナスキーを押しながら補正します。
問題なければ動画再生ボタンを押してトラッキングを始めます。
問題があればストップして修正します。
トラッキングが終われば、マスクされた領域にエフェクトをかけることができるようになります。
空飛ぶ鳥の除去など手軽に被写体を切り抜きたいときなどに便利ですね。
もっとがっつりマスクをかけたい場合はMagic Maskを使います。
Magic Mask とは
ざっくりいうと「アルファチャンネル」を使わせてくれるマスクのこと。
アルファチャンネルそのものがわからない人は、こちらの説明を読むとちょっとわかるかもしれません。
画面の一部を切り抜いたりするとき、切り抜いた透明なエリアなどを操作する上で必要になるチャンネルです。
何ができるかというと、動画の中から人物などを切り抜いて背景を別のものに差し替えるときなどに使えます。
早速チュートリアル動画が公開されたので、おさらいします。
Davinci Resolve Studio18 Object Mask and Alpha Channel
人物を切り抜きアルファチャンネルに別画像をはめ込む工程が解説されています。
人物を切り抜いて背景を差し替える手順
タイムラインに人物が撮影された動画を配置します。
[カラー]ページに移動して、ノードを追加して色補正します。さらにノードを追加して[Magic Mask]を適用します。
インジケーターをクリップの中央近くに持っていきます。
人物をターゲットにして切り抜くため[Person]を選択します。
スポイトマークの[Qualifier]を選択し、人物の上をなぞります。
するとDavinci Resolveが自動的に人物を認識して輪郭を識別します。
識別できているかどうかは[Overlay]ボタンを押すことで確認できます。
再生ボタンを押して、人物の動きを認識させることで動画に写った人物が切り抜ける状態になりました。
ノードをさらに追加して青い端子を点線でつなぎます。
追加したノードの左上にあるハイライトボタンを押すと、人物だけが切り取られます。
人物の背景色を変える
エディットページに戻り、単色ジェネレーターをタイムラインにドラッグ&ドロップして背景を作ります。
背景の上に切り抜いた人物を配置しました。
しかし、これだけでは背景が透過できません。
カラーページに戻ってノードの空白部分を右クリックし[Alpha Output]をクリックします。
すると画面の右端に青い端子が生まれます。
最後に作ったノードの青い端子と、画面の青い端子を接続します。
すると背景色と切り抜いた人物動画が合成できました。
カラーページで[Qualifier]を使った色の抜き方
Qualifierの使い方がイマイチの人には。
初歩から背景の透明化を解説してくれる動画が参考になります。
まとめ
マジックマスクを習得すると、例えばゲーム実況動画などに解説者を合成するなどの演出が手軽にできるようになります。
Davinci Resolve Studio18 では合成に力を入れているので今後の進化が楽しみですね。
アルファチャンネル付きの動画の書き出し方法は下記の動画で解説されています。
Render Out Alpha Channel in Davinci Resolve – YouTube
References
↑1 | After Effectsではロトスコープブラシツールというものがすでに実装されています。撮影されたクリップを被写体と背景に分けて、被写体だけをトラッキングすることができます。 |
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