失敗しない セミナー動画 の作り方

セミナー記録動画
フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 セミナー動画 を書きます。

商品を消費者相手に販売するのが目的の動画と違い、 セミナー動画 はBtoB、関係者向けに伝えるのが目的になります。

作り方も見せ方も異なる セミナー動画 作りのコツを紹介します。

失敗しない セミナー動画 の作り方

先日、講演イベントの記録を五分程度にまとめる動画をつくりました。

ロケ半日、編集およそ8時間の作業量でした。

講演やセミナーを収録した動画の特徴は二つあります。

一つは、テキストで伝えるより視聴者が受けとるインパクトが強いこと。

もう一つは、文字情報だけでは伝えられない話者の個性が伝わることです。

なので、企業の中には積極的に動画を使った広報に力を入れるケースが増えています。

しかし、こうした動画は商品を売るのが目的ではありません。

予算もそれほどかけることができないため、広告代理店や動画プロダクションに頼むことができません。

やむなく社内の有志が制作するケース、インハウス制作がほとんどです。

この記事では、インハウスでセミナーやイベントを動画記録するときの注意点をまとめました。

講演会の動画リポートとは

セミナーや講演会の動画とはどんな動画なのでしょうか。

ざっくり表現すると、放送のニュースリポートです。

ねらいは、講演会に参加できなかった人にも講演会の趣旨がわかるように伝えること。

いつ、どこで何が起きたのか。いわゆる5W1Hを映像に落とし込んで会場の雰囲気を伝えます。

記録というと議事録のような講演者の発言をそのまま録画したものを思い浮かべるかもしれません。

しかし、人に伝えるためには記録では不十分です。

今の時代、動画は加工されているのが当たり前。素材だけ提供されても誰も見ないのです。

わかりやすく伝えるためには、制作者の意図や取材力が仕上がりの印象を左右します。

そのために気を付けるのは次の三点です。

  • 構成を練る
  • インタビューを録る
  • 撮影機材

イベントの内容を漫然と撮るのではなく、発言の骨子や流れ、出演者の狙いなど視聴者の代わりになって要所を抑えることがポイントです。

動画のストーリー・構成を練る

人にものを伝えるための動画づくりは、たとえ数分の内容でも、構成を立てることをお勧めします。

構成とはシーンの組み立てのことです。「演者登壇、講演、質疑応答、終了」という構成でも構いません。

では構成表とはどういうものでしょうか。

ある日のニュース企画をもとに、企画段階の構成表に置き換えてみました。

エディブルフラワー構成表

構成表は左から[項目][内容][ラップ]の三項目で作られます。

図の場合、右側に撮影日程が一項目追加されています。

撮影日程を落とし込んでおくとスケジュール調整が楽になります。

構成表は全体の流れや必要な情報、メッセージやテンポが一目で分かるように作ります。

構成を作る課程で、必要な映像や語るべき内容を推敲し、余分な情報を省いていきます。

構成表を事前にたてておくと一見単調に見える講演会でも、エキサイティングで魅力的な映像に仕上げることができます。

  • 講演の内容を短くまとめられる
  • 引用映像を使って話の補強ができる
  • メッセージが聞こえやすくなる
  • 重要な場面をクローズアップで撮影ができる
  • 集団で情報を共有することで効率的な仕事ができる

制作の中には「予習表」と言い換えている人もいましたが、「頭の整理票」といってもいい物かもしれません。

情報は捨てるもの

ゴミ箱

なぜ構成があるとわかりやすくなるのでしょう。

秘密は情報を「捨てること」にあります。

講演会の収録映像を聞き返すとわかりますが、ライブでは面白かった内容が、後で聞き直すとそうでもないことがあります。

それは、余計な情報があるからです。

構成を事前にたてることで、何が必要な情報で何が不要な情報か制作者は頭の中で予行演習することができます。

不要な情報をざっくり切り捨てていくことで講演会の素材は骨の部分だけが残ります。

その骨の部分を使って再構成するのです。

構成をつくると足りない情報が見えてくることがあります。

説明に使う資料やパネルなどもその一つです。

講演のテーマと引用する素材があらかじめわかっていればインサート映像を編集することでメリハリのついた動画にすることができます。

質疑応答も、質問者の単独インタビューができればインタビューの動機や応用などから深い展開に進む可能性も増えます。

平板な動画も、構成次第でオリジナリティにあふれたコンテンツにすることができるのです。

費用対効果の面からも構成があるとなしでは違いが生まれます。

下の構成表は学生さんが、撮影計画を立てる前につくったロケ構成表です。

学園アイドルの活動を紹介する動画の撮影前構成。

内容は講演会ではありませんが、これから起きるイベントと、番組構成上撮るべき映像を照らし合わせながら、素材を組み立てていく課程がわかります。

いったん構成表をつくり、それを見直すことで最適解を探していくことができます。

事前に構成を組み立てておくと使わない場面を撮影する無駄が省け仕事がスピードアップします。

撮影だけではありません。

仕事をしながら次の段取りの準備ができたり、スタッフ間の意思疎通も図れるので作業効率やコミュ力も上がります。

イベント撮影の現場では出来事が脈絡なく進みます。

撮影してみてわかるのですが、一見派手に見えるイベントほど、核心にあたるシーンは少なく、あれもこれも詰め込んだ動画になりがちです。

話題を並列に並べるのではなく、象徴する話題一つに絞り込むのがポイントですが、話題を絞り込みストーリーの骨組みをつくるために構成は必要なのです。

インタビューを撮る

上記の動画の場合、構成のカギはインタビューです。

狙ってインタビューを撮ることでシーンを作り動画の店舗を上げることができるのです。

ポイントは三つ。これだけは逃さず撮るようにしました。

  • 講演の同録から印象的な一言を切り出す
  • 参加者のリアクション(評価)
  • 講演の主人公のコメント(動機と豊富)

インタビューの音声は、その場でしか聞くことができない生きた証拠物件です。

しっかりした証拠さえ撮れれば、それを柱にすることで物語を組みたてることができます。

演者の記録

講演会のエッセンスは講演会の発言内容に隠れています。

発言は大きく二つに分かれます。

一つは説明。

もう一つはメッセージです。

動画リポートの場合重要な取材ポイントはメッセージの部分です。

説明は講演者出なくても内容の再現は可能ですが、メッセージはその人自身出なければ語れないオリジナルな情報だからです。

また、優れたメッセージは動画を見る人の心に深く刺さります。

エモーショナルな要素をいかに撮影できるかが動画のクオリティを決めます。

演者の発言

動画制作のためだけに行うインタビューです。

公的な行事である講演会の発言とは異なり、動画制作のためだけに取材を行います。

したがって、主催者や演者にあらかじめ了解を取ることが必要です。

質問は制作者が事前に用意します。

動画の編集だけに使用することから、長広舌なインタビューをする必要はなく、その代わり一言で全体をいい尽くすようなシャープな返答を収録できるようこころがけます。

私の場合はだいたい三つの決まり質問を用意します。

  • 動機
  • 挫折
  • 展望

動機とは、インタビュー相手の発意をさします。「なぜそのことを始めたのか」と言う素朴な疑問です。

挫折とは、物語の掘り起こしです。

一般に物事はすんなり成し遂げられることは少なく、大抵の場合何らかの障害があるものです。

その障害はインタビュー相手だけに起こるものではなく、視聴者も共有できる普遍的な課題ある場合が少なくありません。

その障害を乗り越える過程は、視聴者の利便性にも繋がる価値があるのです。

展望とは将来です。これから何を目指すのか。

その言葉が明確であればあるほど視聴者も納得できます。

展望は主に動画のまとめ部分に使えるので、ゴールラインを明確にする上で欠かせないのです。

参加者のリアクション

講演会は情報の送り手と受け手の二人がいて成り立ちます。

受け手の評価をしっかり撮影することで、送り手の立ち位置を明確なものにすることができます。

大抵の場合、リアクションは複数人撮影します。

一人だけではバランスが悪いからです。

撮影機材

人の話を撮影する場合、三脚付きのカメラは不可欠です。

画像がブレていては発言の中身がしっかり伝わりません。

また、音声をクリアに取ることも重要です。

極端な話、この人が発言している映像がワンカットあれば、重要な発言は音声だけで構成することもできます。(逆はありえません)

現場が流動的な場合は手持ちカメラでインタビューを取ることもあります。

インタビューされる人は状況に応じ発言の中身が変わるからです。

作業中に話しかけた方が興に乗る場合もあれば、落ち着いた雰囲気の中で聞き出した方が深い話が聞きだせる場合もあります。

その判断は現場に臨む制作者の勘と経験に寄る部分があります。

カメラマンと共同で取材する場合は事前に打ち合わせ、呼吸を揃えて話をきく柔軟な姿勢も大切です。

コスト査定

イベント撮影の規模にもよりますが、査定の基本は人件費。

つまり作業時間×スキル単価と機材費です。

作業時間は、ロケ前とロケ、ポスプロの三つに分けるとわかりやすくなります。

ロケ前は打ち合わせや取材と企画・構成づくりです。

ざっくりした企画をもとに方向性を決め、実時間の取材をもとに構成を作ります。

この動画の場合は、事前に出演者との面談に1時間程度かけました。

打ち合わせの中でインサート用の映像取材が必要になる場合があるかもしれません。

講演で予定される話の流れをつかんでおくと作業が楽になります。

ロケはイベントの実時間が作業時間になります。ここにスタッフの人数を掛け合わせます。

撮影に使用する機材の費用もカウントします。

今回はカメラ2台と三脚を使用しました。

単価についてはレンタル業者の価格表にあわせて計算します。

ポスプロは編集の実時間になります。撮影した素材を通しで見るラッシュや、試写、修正した動画の試写などが加算されます。

タイトルやテロップの作成時間など些末のようでいて時間がかかるものもあります。

動画制作にかかる作業時間は動画を発注する側に立つてみると見えにくいものです。

「短尺なのになぜこれだけ必要なのか」と問われる場合もあります。

打ち合わせ段階でかかる作業量について確認することがトラブルをされる秘訣です。

まとめ

発言内容を的確に切り出すためには、取材前の構成も大切ですが、取材後の整理も重要です。

放送番組では撮影後、インタビューの内容は逐一ノートに文字起こしすることで使えるインタビューとそうでないものを選り分けます。

一旦文字化することで映像を見返すことなく、瞬時に選択する上で文字は映像に勝るからです。

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