
RAWデータ、Log収録、LUT・・・。
カラーコレクション(色補正)やカラーグレーディング(色加工)に一歩踏み込むと初心者にはイマイチ理解不能な三つの言葉に出会います。
業界の人は「Logとは」「RAWとは」と説明なしに会話しています。しかし初心者にはその違いがわかりません。
用語の意味から学びなおすことにしました。
初心者は100パーセント RAWとLog の違いがわかりません
元ディレクターといっても、撮影に関してはほとんどプロのカメラマン任せだったので知識ゼロ。
断言できるのは、初心者は100パーセント RAWとLog の違いがわからないということです。
私が動画制作に使っているカメラはsonyのハンディカムHDR-CX680です。
HDR-CX680 はXAVC S HD形式、つまりH.264形式の動画を撮影します。撮影した動画はきれいな色で再生できます。
それに比較してBMPCC4KのRAWで撮影した映像が「うすボケて見える」といったらあきれられました。
プロのカメラマンが仕事で使うのはRAWです。
動画制作とりわけ色の編集で使われる動画はハンディカムのような”普通”のカメラで撮影したものではありません。
この違いを知ることが色編集の第一歩なのです。
ハンディカム映像と RAWとLog 映像の違い
私たちが動画を撮影する時、レンズを通して撮像素子(イメージセンサー)に映る明暗情報はデータとなって保存されます。
その保存の仕方の違いでRAWとLog、それにハンディカムなどの普通の映像は区別されます。
三者の違いをわかりやすく説明してくれているのが下の図です。

RAWとは
- レンズを通して、撮像素子(イメージセンサー)に映る明暗情報をほとんどそのまま保存される生データ。
- 写真RAWと同じくそのままの状態では未完成で、編集(現像)前提の記録方式。
- 明暗・ホワイトバランス・シャープネスなどを自在に設定可能。
- データ容量は極めて多い。
LOGとは
- RAWデータから色調・彩度・諧調を処理した圧縮データ。
- 編集とカラーグレーディング前提の記録方式。
- 高いダイナミックレンジで、白飛びや黒潰れを無くせる。
- 適正露光は撮影時に設定する必要があり、編集可能な幅は小さい。
- 低コントラスト撮影になるため、ガンマ表示アシスト機能やLUT対応のモニターが必要。
- 暗部においてノイズが目立ちやすい場合もあり、露出補正をプラスにする必要がある。
RAWは全部入り、Logはネギ抜き
この表を見て気づくように、RAWとLog、そして普通のカメラの違いは記録するデータの範囲と程度です。
RAWは撮影した動画データをほとんど余すことなく記録します。
logは必要な部分だけ絞って記録します。
普通のカメラは撮影したデータをもとにカメラの中で再加工して記録します。
この差がプロとアマチュアの違いとなっていたのです。
基本、RAWとLogの違いとは不要不急のデータに対する扱い方だけです。
RAWとLogはすべての諧調にわたってデータを余さず記録します。
反対に普通のカメラで撮影した映像はデータがかなり削られています。
削られているということは映像を補正したいと思っても使えるデータがほとんどないということです。
編集段階で色を補正したくてもできないのが普通のカメラで撮った映像だったのです。
logの場合は保存項目が限られています。
しかし、あまり使うことがないデータは保存しなくても大勢に影響はない。むしろ利便性を優先したほうがいいというのが Logの考え方。
明暗や色調シャープネスなど制作する人が自由に編集して自分好みの映像イメージを作ることを前提とした
仕様であることがわかります。
編集の仕方
使う使わないにかかわらず、撮影したデータを全部記録したRAW、一部割愛して収録したLogデータはそのまま編集するとボケたような眠い画質になってしまいます。
そのため、編集ソフトの中で「現像」という処理をして、使わないデータを整理する必要があります。
その工程を担うのがDaVinci Resolve17でいうと「カラー」ページです。
ここではマニュアルで調整ができるほか、テンプレートのようなLUTと呼ばれる色味専用のプラグインも用意されています。
LUTは標準仕様のものが付録でついているほか、カメラメーカーが商品専用に作ったもの、サスペンス映画や家庭用CM向けに作ったものなど、有償無償さまざまなものがネットで手に入れることができます。
使い慣れると自分好みの世界観が作れるようになるのでここから先は必須というより趣味の世界かもしれません。
まとめ
動画カメラの収録にはRAW、Log、普通のカメラの三通りがある。
RAWとLogは、被写体の撮影データを余さず記録しているが、普通のカメラは一部しか保存しない。
RAWとLogは記録したデータを使って多彩なイメージが再現できるが、普通のカメラではムリ。
LogはRAWではあまり使わない情報は保存しないためデータ量が軽い。編集がしやすい。
再生に不要な情報を整理する必要があるためRAWとLogは編集ソフトなどで”現像”処理をする必要がある。
RAWとLog を特定の色調に”現像”してくれる便利なプラグインが「LUT」と呼ばれるプラグイン。DaVinci Resolve17にも標準でいくつかのLUTが搭載されている。
「●●専用LUT」のように記載されたLUTがあるが、仕上がりの良しあしは制作者が判断するものなので、気に入ったものがあれば自由に使ってOK。
LUTは編集カットを選択し、好みのLUTをダブルクリックすることで勝手に適用される。複数カットに適用するには複数のカットにまたがる調整クリップを作って当てるとOK。
動画の色調を一瞬で調整するlogとlutの正体とは | ぶいろぐ
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